歯科診療所における恒常的な医療安全管理の基盤構築に関する研究

文献情報

文献番号
201424022A
報告書区分
総括
研究課題名
歯科診療所における恒常的な医療安全管理の基盤構築に関する研究
課題番号
H26-医療-一般-016
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
森崎 市治郎(大阪大学 歯学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 宮本 智行(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 【補助金】 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
2,310,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、歯科診療所におけるインシデント等の実態調査を継続的に実施し、要因分析・検討を行なうことで患者中心の医療安全構築のための情報共有のあり方を検討する。公益社団法人日本歯科医師会や日本歯科衛生士会等とも連携し、訪問歯科診療等も含めた歯科診療所におけるインシデント等の収集・分析・提供のためのシステムをインターネット等を活用して構築するとともに、我が国のいかなる規模・形態の歯科診療所においても院内感染対策等も含めた恒常的な安全管理を実践出来る基盤構築を、地域歯科医療の実態に即し目指すものである。我が国の歯科医療の中心を担う6万8千超の無床歯科診療所は小規模・個人立であり、医療法施行規則に定める医療事故情報収集事業においても歯科診療所におけるインシデント等の情報は収集されにくい環境にある。森崎、宮本らが行なった平成21年度厚生労働科学研究では、歯科に特化した収集様式を開発し多施設の協力の下総計27,857件の報告を得た。口腔機能の低下した高齢者等に対する安全管理の重要性が高まっているにもかかわらず歯科分野では情報収集過程における課題があり、国レベルにおいても実態把握が困難な状況にある。本研究の特徴は、公益社団法人日本歯科医師会等と連携し、訪問歯科診療を含む様々な歯科診療行為におけるインシデント等の収集・分析・提供のためのモデルシステムを構築し、歯科医療における自律的な事故防止体制強化のための検討を行う。
研究方法
本年度研究では、
①歯科診療所におけるインシデント等医療安全関連情報収集システムの改良:我々が先行研究で開発したインターネットを介した情報収集システムは、歯科診療所に特化した25のインシデント事例分類項目を簡便に報告・収集できるものであるが、訪問歯科診療等多種歯科診療形態においても活用できるようなシステム改良を行う。
②全国的規模でのモデル組織構築ならびにサンプル調査(第一次):全国的規模(10地区×10歯科診療所)でのモデル診療所によるネットワークの構築を行う。
③モデル組織における要因分析、医療安全管体制等に関する基礎調査ならびにヒヤリング実施:対象施設への医療安全管理体制等に関する基礎調査ならびにより効率的な運用に向けて必要な改善を行う。
④全国的規模でのモデル組織におけるサンプル調査(第二次):サンプル調査ならびに要因分析を前述のモデル組織にて継続する。
⑤歯科診療所に特化した医療安全関連情報収集・共有システム(仮版)の作成:歯科診療所におけるインシデント等の医療安全関連情報の共有方策を一般社団法人医療安全全国共同行動診療所部会(歯科)等の第三者による分析・評価を踏まえて検討する。

結果と考察
先行研究で開発した情報収集システムの改良を行い、訪問歯科診療等においても対応できるシステム構築を行なった。研究協力者と共に、無床歯科診療所に特化した12のサンプル事例や、本システムに関する説明用DVD等を作成した。公益社団法人日本歯科医師会等の関係者の参画を得て、地区担当責任者への説明会開催の後に、全国的規模(10地区×10歯科診療所)のモデル歯科診療所ネットワーク構築を行った。準備が整った歯科診療所よりシステム運用を開始し、3地区においては研究者が直接赴いてヒヤリングを行い、平成26年11月~12月の1ヶ月間、調査を施行した。試行運用期間1ヶ月間で85施設より、訪問歯科診療を含む302件のインシデント事例報告を得た。その内容として、受付・応対・接遇が66件と最も多く、次いで口腔内への落下、誤飲・誤嚥が40件であった。
結論
本システムはインターネットを介した簡便なシステムであり、調査協力機関からの情報送信ならびに調査協力機関への情報提供においては、連結不可能な匿名性を担保した状態で行うことが可能である。次年度には更に規模を拡大した調査を計画しており、本年度研究の成果が次年度に大いに活用できる。また、今年度研究班にて作成したインシデントサンプル事例については、調査協力歯科診療所におけるアンケート調査にて評価がおおむね良好であり、無床歯科診療所におけるインシデント模擬事例として、教育・研修に活用出来るものであることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2015-12-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-12-16
更新日
-

収支報告書

文献番号
201424022Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,000,000円
(2)補助金確定額
2,250,000円
差引額 [(1)-(2)]
750,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 121,100円
人件費・謝金 0円
旅費 900,850円
その他 538,430円
間接経費 690,000円
合計 2,250,380円

備考

備考
自己資金380円

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-