文献情報
文献番号
                      201423008A
                  報告書区分
                      総括
                  研究課題名
                      科学的根拠に基づくウイルス性肝炎診療ガイドラインの構築に関する研究
                  研究課題名(英字)
                      -
                  課題番号
                      H25-肝炎-一般-001
                  研究年度
                      平成26(2014)年度
                  研究代表者(所属機関)
                      熊田 博光 (国家公務員共済組合連合会虎の門病院 肝臓センター)
                  研究分担者(所属機関)
                      - 岡上 武(大阪府済生会吹田病院・吹田医療福祉センター)
 - 豊田 成司(北海道厚生連札幌厚生病院 肝臓病学)
 - 大橋 靖雄(中央大学理工学部人間総合理工学科)
 - 竹原徹郎(大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学)
 - 四柳宏(東京大学医学部付属病院感染症内科)
 - 黒崎雅之(武蔵野赤十字病院)
 - 松本晶博(信州大学医学部付属病院 消化器内科 )
 - 鈴木文孝(国家公務員共済組合連合会虎の門病院 肝臓センター)
 - 坂本 穣(山梨大学医学部肝疾)
 - 川上由育(広島大学病院臨床研究部)
 
研究区分
                      厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 肝炎等克服実用化研究
                  研究開始年度
                      平成25(2013)年度
                  研究終了予定年度
                      平成27(2015)年度
                  研究費
                      42,600,000円
                  研究者交替、所属機関変更
                      -
                  研究報告書(概要版)
研究目的
            平成26年度科学的根拠に基づくウイルス性肝炎診療ガイドラインの構築に関する研究班のガイドラインを作成する。
      研究方法
            全国の班員・班友の施設から今年度のガイドラインを構築するための共同研究データを集積し作成した。
      結果と考察
            平成27年は、C型肝炎の新規薬剤の認可及び拡大が見込まれており1月版は、genotype 1でIFN不適格/不耐容の症例は高・低ウイルス量ともにIFNフリーの薬剤Dacratasvir + Asunaprevir 24週間投与、前治療無効例は、Dacratasvir + Asunaprevir 24週間、Peg-IFN(24週)+Ribavirin(24週)+Simeprevir(12週)、Peg-IFN(24週)+Ribavirin(24週)+Vaniprevir(12週)投与とした。前治療無効例でDCV+ASVの治療を行う場合は治療前にNS5A・NS3領域の耐性ウイルスの有無を測定することが望ましく肝機能(ALT/AST)を認めることもあるため基準値10倍以上に上昇した場合には中止する。投与中HCV RNA量が最低値から1 Log IU/mLを超えて増加が発現した場合は中止を考慮する。服薬コンプライアンスを十分指導する。Peg-IFN+Ribavirin(24週間)+Simeprevir治療で無効となった例ではNS3領域のD168の耐性が高頻度に見られることから、 Daclatasvir+Asunaprevir の治療開始にあたってはD168の耐性がないことを確認するか、 Peg-IFN+Ribavirin(24週間) +Simeprevir治療が終了後少なくとも24週間以上経過してからDaclatasvir+Asunaprevir の治療を開始すべきである。平成27年1月版のHCV genotype 1, C型慢性肝炎に対する治療のガイドラインの選択肢は、インターフェロン適格の初回・再燃例は、Peg-IFN(24週)+Ribavirin(24週)+Simeprevir(12週)、Peg-IFN(24週)+Ribavirin(24週)+Vaniprevir(12週)の3剤併用投与とし、NS5A/NS3領域の耐性検査が可能であれば、耐性変異株ありの症例では、3剤併用投与とした。一方、耐性変異がない症例及びインターフェロン不適格/不耐容はDaclatasvir+Asunaprevirの内服剤とした。近未来にはHCV genotype 1においては、初回・再燃においてもDaclatasvir+Asunaprevir 内服剤における治療が可能になると思われる。HCV genotype 2の再治療においては、Peg-IFNα2b+Ribavirin(24週間)+Telaprevir(12週間)投与へ改訂した。B型慢性肝炎治療の基本指針は、平成26年版と同様で血中HBV DNA量が持続的に一定以下となればALTも正常値が持続し、肝病変の進展や発癌が抑制され、 さらにHBs抗原が陰性化すればより一層発癌率が低下少する。したがって治療目標は、核酸アナログとIFN(PEG-IFN)を使用し、HBe抗原陰性化とHBV DNA量を持続的に低用量に保つことを第一目標とし、最終的にはHBs抗原陰性化を目指すこととした。第3世代のTenofovir は、Entecavirに比較して妊婦に対する安全性が高い。従って妊娠を希望する場合あるいは妊娠中に核酸アナログ製剤を使用する場合はTenofovir を選択する。TenofovirはAdefovirと同様で、尿細管障害に引き続いて糸球体障害、骨軟化症を起こす場合がある。中程度以上の腎機能障害(eGFR<50mL/min/1.73m2)の場合は、Tenofovir の投与は推奨されない。Tenofovir 使用中は3~6ヵ月毎に血清リン値、eGFRの測定を行い、Adefovirに準じて減量を行う。Tenofovir を投与してもHBV DNA量が4 Log copies/mLを切らない場合、Entecavirを併用することも選択肢となる。
      結論
            ガイドラインは、日本人のエビデンスデータを基に作成しB型・C型肝炎の治癒率を向上させ日本における肝癌の発生を減少させることになる。
      公開日・更新日
公開日
          2017-01-20
        更新日
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