C型肝炎ウイルスの増殖制御機構解明と創薬開発のための分子基盤

文献情報

文献番号
201423007A
報告書区分
総括
研究課題名
C型肝炎ウイルスの増殖制御機構解明と創薬開発のための分子基盤
課題番号
H24-肝炎-一般-008
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 哲朗(浜松医科大学 医学部医学科感染症学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 加藤 宣之(岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 岡本 徹(大阪大学 微生物病研究所)
  • 森石 恆司(山梨大学 大学院医学工学総合研究部)
  • 勝二 郁夫(神戸大学 大学院医学研究科)
  • 有海 康雄(熊本大学 エイズ学研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 肝炎等克服実用化研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者の変更について 研究分担者を松浦善治(大阪大学微生物病研究所)から岡本 徹(同)へ変更した。本研究班での研究、実験を担当することになったため。

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究グループのこれまでのHCV研究の成果を基盤とし、保有する実験ツール、解析手法を最大限に活用して創薬のための分子基盤の確立に資する研究を推進する。C型肝炎ウイルス(HCV)生活環制御、病態発現の分子機構の解明を進め、得られた知見を基に阻害剤スクリーニング系を構築する。また、肝炎ウイルス研究、阻害剤開発に有用な新たな感染増殖細胞系を作出する。研究成果は、創薬開発、肝がんを含めた慢性肝疾患の治療戦略に資することが期待される。
研究方法
HCV及びその遺伝子として、JFH-1株、0株及びCon1株を用いた。HCV感染、遺伝子発現にはヒト肝がん細胞株Huh-7, Huh7.5, Huh7.5.1またOR6、ORL8を用いた。
結果と考察
以下の研究成果を得た。
1)HCV 3’UTRをパッケージングシグナルとして初めて同定し、創薬標的の可能性を示した
2)CV粒子形成に重要なNS5AキナーゼとしてCK1alphaを同定、同阻害剤の抗HCV活性を見出した
3)経口抗マラリア薬N-89とその誘導体N-251に強い抗HCV活性を見出し、リバビリンと相乗的、DAAと相加的な治療効果を示した(臨床試験開始予定)
4)市販されているサナギタケカプセル剤に抗HCV活性を見出した
5)新規HCV複製調節因子として脱ユビキチン化酵素USP15, USP20を同定した
6)USP15は脂質代謝、脂肪肝発症に関与することを培養系とマウスモデルで証明した
7)HCV複製調節因子FKBP6の阻害剤DM-CHXが抗HCV活性を有し、IFNと相乗的、DAAと相加的に働くことを示した
8)NS5Aを修飾しHCV複製に関与するユビキチンリガーゼDZIP3を同定した
9)NS5AはHerc5によってISG15化されること、脱ユビキチン化酵素OTUD7Bと会合することを見出した
10)RNAヘリケースDDX21、RNA結合因子Staufen1とUPF1がHCV生活環に関与することを見出した
11)DNA損傷修復関連因子によるHCV複製調節機構とDNA-PK阻害剤による抗HCV活性を見出した
結論
C型肝炎治療薬の新たな創薬標的を見出すべく基盤的研究を行った。得られた成果を更に発展させることにより、以下のような実用化への貢献が期待できる。1)新規抗HCV経口治療薬の臨床試験、実用化、2)新たなメカニズムによるDAA(パッケージング阻害)の開発、3)宿主因子を標的としたC型肝炎治療薬の探索

公開日・更新日

公開日
2017-01-20
更新日
-

文献情報

文献番号
201423007B
報告書区分
総合
研究課題名
C型肝炎ウイルスの増殖制御機構解明と創薬開発のための分子基盤
課題番号
H24-肝炎-一般-008
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 哲朗(浜松医科大学 医学部医学科感染症学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 加藤 宣之(岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 松浦 善治(大阪大学 微生物病研究所)
  • 岡本 徹(大阪大学 微生物病研究所)
  • 森石 恆司(山梨大学大学 院医学工学総合研究部医学学域)
  • 勝二 郁夫(神戸大学大学院 医学系研究科)
  • 有海 康雄(熊本大学 エイズ学研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 肝炎等克服実用化研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
将来を見据えた長期的なウイルス肝炎対策として、現行のDirect Acting Antiviralsとは作用機序の異なる新規C型肝炎治療薬の開発は重要な課題である。本研究では、HCV生活環制御、病態発現の分子機構の解明を進め、阻害剤開発に有用な実験系の作出、また阻害剤探索を行う。
研究方法
HCV及びその遺伝子として、JFH-1株、0株及びCon1株を用いた。HCV感染、遺伝子発現にはヒト肝がん細胞株Huh-7, Huh7.5, Huh7.5.1またOR6、ORL8を用いた。
結果と考察
1) HCV 3’UTRをパッケージングシグナルとして初めて同定、特に3’末端側のstem-loop領域二カ所が重要であることを明らかにした。創薬標的の可能性を示した、2) CK1alpha による NS5Aリン酸化のHCV粒子形成における重要性を明らかにした。同阻害剤の抗HCV活性を見出した、3) 臨床試験実施予定のN-89とN-251の作用機序を明らかにし、リバビリンと相乗的、DAAと相加的な治療効果を示した、4) 市販薬サナギタケカプセル剤の抗HCV活性を見出した、5) 新規HCV複製調節因子として脱ユビキチン化酵素USP15, USP20を同定し、USP15は脂質代謝、脂肪肝発症に関与することを培養系とマウスモデルで証明した、6) HCV複製調節因子FKBP6の阻害剤DM-CHXが抗HCV活性を有し、IFNおよびDaclatasvirとの併用では、相乗あるいは相加効果を示した、7) NS5Aを修飾しHCV複製に関与するユビキチンリガーゼDZIP3を同定した、8) NS5AはHerc5によってISG15化されること、脱ユビキチン化酵素OTUD7Bと会合することを見出した、9) RNAヘリケースDDX21、RNA結合因子Staufen1とUPF1がHCV生活環に関与することを見出した、10) DNA損傷応答経路に関与するDNA-PKcsとRad18がHCV複製制御に働くことを見出した。DNA-PK阻害剤は抗HCV活性を示した。
結論
本研究グループのこれまでのHCV研究の成果を基盤とし、保有する実験ツール、解析手法を最大限に活用して創薬のための分子基盤の確立に資する研究を推進した。C型肝炎ウイルス(HCV)生活環制御、病態発現の分子機構の解明を進め多くの新知見を得た。得られた成果を更に発展させることにより、1)新規抗HCV経口治療薬の臨床試験、実用化、2)新たなメカニズムによるDAA(パッケージング阻害)の開発、3)宿主因子を標的としたC型肝炎治療薬の探索、などの実用化への貢献が期待できる。

公開日・更新日

公開日
2017-01-20
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201423007C

収支報告書

文献番号
201423007Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
39,000,000円
(2)補助金確定額
39,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 24,517,152円
人件費・謝金 379,328円
旅費 2,222,660円
その他 2,880,860円
間接経費 9,000,000円
合計 39,000,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2016-06-03
更新日
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