肝疾患患者を対象とした相談支援システムの構築、運用、評価に関する研究

文献情報

文献番号
201422004A
報告書区分
総括
研究課題名
肝疾患患者を対象とした相談支援システムの構築、運用、評価に関する研究
課題番号
H26-肝政-一般-004
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
八橋 弘(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 古田 清(独立行政法人国立病院機構まつもと医療センター松本病院)
  • 中牟田 誠(独立行政法人国立病院機構九州医療センター)
  • 三田 英治(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター)
  • 上司 裕史(独立行政法人国立病院機構東京病院)
  • 高野 弘嗣(独立行政法人国立病院機構呉医療センター)
  • 肱岡 泰三(独立行政法人国立病院機構大阪南医療センター)
  • 室 豊吉(独立行政法人国立病院機構大分医療センター)
  • 小松 達司(独立行政法人国立病院機構横浜医療センター)
  • 正木 尚彦(独立行政法人国立国際医療研究センター)
  • 太田 肇(独立行政法人国立病院機構金沢医療センター)
  • 佐藤 丈顕(独立行政法人国立病院機構小倉医療センター)
  • 米田 俊貴(独立行政法人国立病院機構京都医療センター)
  • 島田 昌明(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター)
  • 杉 和洋(独立行政法人国立病院機構熊本医療センター)
  • 二上 敏樹(独立行政法人国立病院機構西埼玉中央病院)
  • 吉澤 要(独立行政法人国立病院機構信州上田医療センター)
  • 中尾 一彦(長崎大学 医学部)
  • 矢野 博久(久留米大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 肝炎等克服政策研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
40,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 肝疾患患者を対象とした相談支援システムの構築、運用、評価に関する研究をおこなうことで、完成度の高い肝疾患患者を対象とした相談支援システム(アプリケーション)を構築し、主に肝疾患患者相談支援を実施している肝疾患連携拠点病院や専門医療施設に本システムを配布することで、肝疾患患者の悩みの軽減、QOLの向上を目指すことを目的とする。
 先行研究での解析結果によると、C型肝炎患者では治療によりウイルスが駆除されると患者の悩み、ストレスが軽減することが確認されている。近年、C型肝炎、B型肝炎の抗ウイルス治療法の進歩は目覚ましく、新規治療法に関する様々な情報、治療経験は、肝疾患患者の相談支援をおこなう上で重要な要素と考えられる。本研究班においてもC型肝炎の新規抗ウイルス療法のデータを集積するとともに、治療前後で本相談支援システムを活用することで、患者QOLの変化についても明らかにする。
研究方法
 平成23年-25年の3年間に実施した病態別の患者の実態把握のための調査および肝炎患者の病態に即した相談に対応できる相談員育成のための研修プログラム策定に関する研究班で集積された6,331名の患者アンケート調査結果と1,454名の肝疾患患者の自由記述を、それぞれデータマイニング解析、テキストマイニング解析をおこなうことで、肝疾患患者を対象とした相談支援システム(アプリケーション)のプロトタイプを構築する。
 C型肝炎の新規抗ウイルス治療法(シメプレビルを用いた3剤療法、インターフェロンフリー内服治療法)の治療効果、患者QOLを評価する為に、患者登録をおこなう。
結果と考察
(1) 平成23年-25年の3年間に実施した病態別の患者の実態把握のための調査および肝炎患者の病態に即した相談に対応できる相談員育成のための研修プログラム策定に関する研究班で集積された6,331名の患者アンケート調査結果と1,454名の肝疾患患者の自由記述を、それぞれデータマイニング解析、テキストマイニング解析をおこない、その情報を基にして肝疾患患者を対象とした相談支援システム(アプリケーション)のプロトタイプをスパイラル式に検討会を重ねながら構築した。
(2) 肝疾患患者からの電話相談に対応している患者会での平成24年度の相談件数は1,460件で、そのうち1,000件(68.4%)は療養相談内容であった。新しい治療に関する問い合わせ、治療適応、治療時期、副作用などに関する問い合わせ、相談が多数を占めていた(米澤敦子)。
(3) 平成23年12月から平成24年10月末までの期間、37施設においてC型慢性肝炎に対するシメプレビルを用いた3剤併用療法は541例に導入された。今後、治療効果判定をおこなう予定である。
(4) 今後のC型肝炎治療の主流となるDAAs(Direct Acting Antivirals)を用いた治療法では、RAVs(Resistance-Associated Variants)の存在が問題となる。長崎医療センターで3剤併用療法、2剤併用療法をおこなった145例を対象に治療前の時点でのNS5AのRAVsの有無を次世代シークエンサー法、ダイレクトシークエンサー法、インベーダー法で検出の比較をおこなった。次世代シークエンサー法とインベーダー法はほぼ同等の感度であることを確認した。またRAVsの頻度は、L31M 6.2%、Y93H 21.4%、L31M+Y93H重複変異例は1.4%と低頻度であった。
(5) 肝線維化に関連する新たな糖鎖マーカーであるWFA+-M2BPが、C型慢性肝炎患者の肝癌発生リスクマーカーとなりうることを明らかにした。
結論
 6,331名の患者アンケート調査結果と1,454名の肝疾患患者の自由記述を、それぞれデータマイニング解析、テキストマイニング解析をおこない、その情報を基にして肝疾患患者を対象とした相談支援システム(アプリケーション)のプロトタイプをスパイラル式に検討会を重ねながら構築した。
 肝疾患患者からの電話相談に対応している患者会での平成24年度の相談件数は1,460件で、そのうち1,000件(68.4%)は療養相談内容であった。新しい治療に関する問い合わせ、治療適応、治療時期、副作用などに関する問い合わせ、相談が多数を占めた。
 C型慢性肝炎患者145例を対象にNS5AのRAVsの頻度を検討したところ、L31M 6.2%、Y93H 21.4%で、L31M+Y93H重複変異例は1.4%と低頻度であった。
 肝線維化に関連する新たな糖鎖マーカーであるWFA+-M2BPが、C型慢性肝炎患者の肝癌発生リスクマーカーとなりうることを明らかにした(Hepatology 2014)。

公開日・更新日

公開日
2017-01-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2017-01-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201422004Z