防疫上緊急対応を要する一類感染症や新興・再興感染症に対する予防・診断・治療法に関する研究

文献情報

文献番号
201420027A
報告書区分
総括
研究課題名
防疫上緊急対応を要する一類感染症や新興・再興感染症に対する予防・診断・治療法に関する研究
課題番号
H25-新興-一般-004
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
下島 昌幸(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
研究分担者(所属機関)
  • 有川 二郎(北海道大学 大学院医学研究科)
  • 高田 礼人(北海道大学 人獣共通感染症リサーチセンター)
  • 安田 二朗(長崎大学 熱帯医学研究所)
  • 小林 剛(大阪大学 微生物病研究所感染症国際研究センター)
  • 西條 政幸(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
  • 森川茂(国立感染症研究所 獣医科学部)
  • 松山 州徳(国立感染症研究所 ウイルス第三部)
  • 伊藤 睦代(高山 睦代)(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
  • 加来 義浩(国立感染症研究所 獣医科学部)
  • 吉河 智城(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
  • 堀本 泰介(東京大学大学院 農学生命科学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
21,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
開発等に伴う人・動物ベクターの行き来や環境変化を原因に、一類感染症や新興・再興感染症が国内で発生する可能性は十分考えられ、緊急対応を要する。本研究では、これらの感染症に対するより正確・迅速な診断法の整備や予防法・治療法の開発に取り組んでいる。各感染症がおかれた状況は様々なため取り組み方も様々で、すぐ利用可能な段階まで来ているものから来年度以降の成果が期待されるものまである。
研究方法
(結果と考察に合わせて記載)
結果と考察
フィロウイルス感染症では西アフリカでエボラ出血熱を起こしているウイルスも検出できるようLAMP法を改良し、また新規にインドネシアにエボラウイルス(LLOV)が存在する可能性を示唆した。ハンタウイルス感染症の診断では鑑別に必要となるレプトスピラ症も区別できるようMultiplex ICG法の開発を開始した。ラッサ熱ではラッサウイルスの増殖後期過程に起こる出芽に重要なアミノ酸を同定した。東南アジアでヒトに呼吸器症状を引き起こす新規レオウイルスにおいては抗体検出ELISA法を確立し、またウイルスの遺伝子操作による病原性解析と蛋白質機能解析を開始した。クリミア・コンゴ出血熱では迅速・簡便な代替中和抗体価測定法の英国への技術移転と、新たな地域(モンゴル)のヒツジおよびヒトで抗体陽性個体が存在することを示した。MERSコロナウイルス感染症では、ウイルスが細胞侵入時に用いるプロテアーゼの依存性を調べることで病原性予測が可能になることを示した。新興感染症の原因ウイルスを持つ可能性が高いコウモリからのウイルス分離を容易にする細胞を作出した。出血熱・新興感染症ウイルスに対するワクチンとして、有効と考えられるウイルスベクターを用いた開発を行い、その一部はマウスにおいて有用性を示した。
結論
これらの各研究の成果は、それぞれの感染症におけるより正確で迅速な診断、治療薬・予防法の開発、最新の疫学状況把握に繋がるものであり、国内侵入予防と国内発生時におけるより適切な対応を可能にすると考えている。

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
-

収支報告書

文献番号
201420027Z