BPSDにより精神科病院に入院する認知症患者を対象とした全国規模での入院実態調査

文献情報

文献番号
201419044A
報告書区分
総括
研究課題名
BPSDにより精神科病院に入院する認知症患者を対象とした全国規模での入院実態調査
課題番号
H26-精神-一般-004
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
岡村 仁(広島大学 大学院医歯薬保健学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 石井 伸弥(東京大学 医学部附属病院老年病科)
  • 石井 知行(医療法人社団知仁会)
  • 渕野 勝弘(医療法人渕野会緑ヶ丘保養園)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 障害者対策総合研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
14,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
認知症専門病棟(急性期病棟、一般病棟を含む)を持つ精神科病院に、新規に認知症行動・心理症状(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia:以下「BPSD」)管理のために入院した 認知症患者を対象に、入院時の患者、家族の特性のみならず入院中の身体疾患を含めた治療の実態とBPSDの経過、退院支援の実態とその結果、退院後の経過を評価する前向きコホート研究を行うことで、これまでに調査されていない因子も含めて治療や退院・在宅復帰を妨げる危険因子を同定  
すること。
研究方法
全国の認知症専門病棟(急性期病棟、一般病棟を含む)を持つ精神科病院に入院した認知症患者(目標症例1000例以上)に対し、入院時、入院2,4,6ヶ月後に質問紙及び面接調査を行うとともに、入院から退院に至り在宅等に移行した患者に対しては、退院後の経過を調べるため、さらに2ヶ月間隔で6ヶ月間の追跡調査を行う。平成26年度は、調査票や研修用DVDを作成するとともに、前向きコホート研究として全国の認知症専門病棟を持つ精神科病院に対して説明会と参加施設の登録を行い、BPSD管理のために入院した認知症患者の登録、および入院から6ヶ月間の追跡調査を開始した。平成27年度以降は、前向きコホート研究を続けると共に、得られたデータの回収、整理を行い、早期退院につながる因子を多変量解析により同定する。さらに、前向き調査中在宅等に退院した認知症患者を対象に追跡調査を行い、退院後有害事象の危険因子を多変量解析により同定する。

結果と考察
まず、本研究に先立ち実施した広島県におけるパイロットスタディでの調査状況や解析結果をもとに、煩雑であったり、答えにくかったりした調査項目を削り、有用と思われる調査項目を追加する形で調査項目を絞り込んでいく作業を研究代表者ならびに研究分担者の間で繰り返し行い、調査票を完成させた。併せて、研究概要や調査の実施方法などを説明した研修用のDVDを作成した。以上のステップを踏まえたうえで、研究計画書を日本精神科病院協会倫理審査委員会ならびに広島大学疫学研究倫理審査委員会に提出し承認を受けた。調査参加施設のリクルートにあたっては、まず研究協力団体である日本精神科病院協会を通して全会員病院である1206病院に研究協力依頼文書を送付した。その結果、「参加」「検討中」「内容説明希望」と回答したのが484病院であった。そこで、この484病院に対して説明会の案内を送り、全国を8地区に分け、各地区で担当者を集めた説明会を開催し参加施設の登録を開始した。平成26年末の時点で、4地区で説明会を実施し、計167病院、196名の参加が得られた。その結果、計305病院、372名の参加が得られ、このうち225病院が本研究への参加を表明した。参加登録が完了した病院に対しては調査票一式を送り、症例登録ならびに調査が開始となる予定である。本研究においては、全国の各地区それぞれの施設から参加を募ることにより全国規模での調査が可能になるとともに、都市部、農村部などそれぞれの地域からある程度の施設数が含まれるよう分散させることにより、各地区における地域特性も調査できることを目指している。そのためにも、いかに各地区における参加施設を増やすかが重要であり、研究参加へのアプローチを継続して行っていきたいと考えている。
結論
BPSD管理のために精神科病院に入院した認知症患者を対象に、入院時の患者、家族の特性のみならず入院中の身体疾患を含めた治療の実態とBPSDの経過、退院支援の実態とその結果、退院後の経過を評価する前向きコホート研究を行うことで、治療や退院・在宅復帰を妨げる危険因子を同定することを目的に研究を開始した。目標症例数1000例以上を計画し、初年度は研究開始が可能となるまでのステップを踏み、参加施設の登録を行うことで、各施設での調査を開始できるまでの準備を整えることができた。

公開日・更新日

公開日
2015-09-17
更新日
-

収支報告書

文献番号
201419044Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
18,200,000円
(2)補助金確定額
18,200,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,016,492円
人件費・謝金 1,295,595円
旅費 1,086,610円
その他 10,601,303円
間接経費 4,200,000円
合計 18,200,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-09-17
更新日
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