文献情報
文献番号
201417018A
報告書区分
総括
研究課題名
サルコペニアの予防を目的とした総合的研究
課題番号
H25-長寿-若手-009
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
山田 実(筑波大学 人間系)
研究分担者(所属機関)
- 青山朋樹(京都大学大学院医学研究科)
- 荒井秀典(国立長寿医療研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
1,506,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
サルコペニアの予防における介入研究は近年増加傾向にあり、2014年に報告されたレビュー論文でも運動を主体とした予防プログラムの有用性が示されている。しかしながら、様々な側面から検討が進んでいるとは言い難く、現時点ではあくまでレジスタンストレーニング主体の運動プログラムとなっている。
そこで本研究では、サルコペニア予防に有用な運動プログラムの開発を目標に、レジスタンストレーニングとウォーキング、さらにはその組み合わせによる効果の検証をクラスター無作為化比較対象試験によって検証した。
そこで本研究では、サルコペニア予防に有用な運動プログラムの開発を目標に、レジスタンストレーニングとウォーキング、さらにはその組み合わせによる効果の検証をクラスター無作為化比較対象試験によって検証した。
研究方法
21地区246名を対象としたクラスター無作為化比較対象試験であった。21地区を無作為に3地区に分類し、それぞれ①レジスタンストレーニング群、②ウォーキング群、③レジスタンス+ウォーキング群として3ヶ月間の介入を実施した。レジスタンストレーニングは、週に1回の教室型とし、油圧式のトレーニングマシーンを用いて上肢、下肢、体幹の主要な筋群に対して10回×3セット実施した(図2)。ウォーキング介入は日々のウォーキングであり、歩数計とカレンダーを配布して2週間毎にフィードバック(10%upの目標値の設定)を実施した。アウトカム指標としては、生体電気インピーダンス法による骨格筋量と各種運動機能(歩行速度、TUG、片脚立位、ファンクショナルリーチ)とした。サブ解析として、健常高齢者とフレイル高齢者の層別分析を実施した。フレイルはFriedらの定義に従い、体重減少、活力低下、活動度減少、歩行速度低下、握力低下の項目を採用し、ここでは2項目以上該当者をフレイルとした。
なお、本研究は京都大学医の倫理委員会の承認を受けて実施した。
なお、本研究は京都大学医の倫理委員会の承認を受けて実施した。
結果と考察
246名はそれぞれ、レジスタンストレーニング群90名、ウォーキング群82名、併用群74名に分類され、それぞれ84名、78名、69名が分析対象となった。3群間の比較を二元配置分散分析によって検証したところ、SMIや移動能力、バランス能力で有意な主効果(時間)は認められるものの、有意な交互作用は得られなかった(表2)。しかしながら、SMIに関してはF=2.84、P=0.06とその傾向は認められた。3群間のSMI変化率を比較すると、レジスタンス群1.1%、ウォーキング群0.7%、レジスタンス+ウォーキング群3.2%となっており、レジスタンス+とウォーキングの併用で最も筋量増加に寄与する可能性が示唆された。この傾向は健常高齢者では弱まるものの、フレイル高齢者ではより顕著になる傾向にあった。本研究結果より、どのような運動を選択してもある程度は筋肉量が増加する傾向にあることが示唆された。また傾向としては、レジスタンストレーニングとウォーキングを組み合わせたグループで最も改善効果が高かった。このことは、例え低頻度な運動介入であっても介入非実施日に積極的なウォーキングを実施することで筋量増加効果が得られやすい可能性を示唆している。また、このような結果は特にフレイル高齢者で顕著なる傾向があり、今後の介護予防を想定した場合に、有用な指導材料となりうると考えられた。
結論
レジスタンストレーニングとウォーキング、さらにはその組み合わせによる効果の検証をクラスター無作為化比較対象試験によって検証したところ、両者の組み合わせで最も介入効果が高まる傾向が得られた。この傾向は特にフレイル高齢者で顕著となる傾向にあった。
公開日・更新日
公開日
2015-05-12
更新日
-