高齢者の筋骨格系変性を改善・予防する在宅ロボットリハビリシステム開発とその実証試験

文献情報

文献番号
201417017A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者の筋骨格系変性を改善・予防する在宅ロボットリハビリシステム開発とその実証試験
課題番号
H25-長寿-若手-008
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
住谷 昌彦(東京大学 医学部附属病院緩和ケア診療部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 長寿科学総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
1,346,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療の進歩によって平均寿命は延び高齢者人口が増加し続けているが、高齢者の多くが身体に関する愁訴を持ち実際に身体活動に制限があるため、健康寿命は平均寿命よりも約10歳下回っている。さらに、健康寿命の延長は平均寿命に比して鈍化しており、不健康な高齢者が増加している。高齢者の身体活動制限の最大の原因は加齢による筋骨格系の変性と疼痛であり、これらによる身体活動の低下は関節拘縮や筋力低下の増悪を引き起こし転倒と骨折、さらに寝たきりといった重度の身体活動の制限を来たす悪循環(ロコモティブ症候群)を形成しており、加齢による筋骨格系変性の予防と改善は喫緊の健康課題である。このような課題を解決するために2014年度に開発、特許化した在宅ロボット・リハビリシステムについて、インターネットを介して距離的に離れた2地点で同時に使用する双方向性の情報交換機能を開発し、在宅ロボット・リハビリの遠隔化とオーダーメイド化、さらに複数患者の運動情報の収集と保管、統合によるリハビリ指導の最適化を実現することを目的とする。
研究方法
現在は1台のPCで在宅ロボット・リハビリシステムを使用しているが、これをインターネット回線を介して離れた距離にある2台のPCを繋ぐことによって、(1)遠隔地に居住する患者/高齢者の運動情報を取得する、(2)遠隔地で在宅ロボット・リハビリシステムを使用している患者/高齢者に提示する運動教示(デモ)を適宜配信しリハビリメニューを変更することができるようにする、(3)複数の患者/高齢者が実行した運動情報を、経時的な変化が追えるように複数回分を統合的に保管することによってデータベース化し、患者全体のリハビリ進捗状況を俯瞰、解析することによって個々の患者に対するリハビリメニューの最適化に繋げる、システム構成を開発する。
結果と考察
2013年度末に特許出願したシステムを、(1)遠隔操作できるようにシステム構成した。これにより遠隔地での在宅ロボットリハビリの実施に向けて、患者/高齢者自身が、自分でパソコン操作ができない場合にも補助者(家族や医療者)が遠隔地からシステム操作できるようになり、在宅ロボットリハビリシステムを自宅で導入・実施できるような環境を整備した。(2)在宅ロボットリハビリシステムで得られた患者の関節運動情報をインターネット回線を介して遠隔地のPCで入手するシステムを構成した。これにより、遠隔地で患者/高齢者が在宅ロボットリハビリシステムを使用した場合に、その運動情報を補助者(家族や医療機関)がreal-timeで確認し、さらに運動情報を共通サーバーに保管・統合できるようになった。(3)在宅ロボットリハビリシステムで提示する運動教示(デモ)の情報を、遠隔地にいる補助者(家族や医療者)が患者/高齢者のPCに送信するシステムを構成した。これにより患者のオーダーメイドリハビリが可能になった。在宅ロボット・リハビリシステムを、インターネットを介して距離的に離れた2箇所で同時に使用できるようなシステム構成にした。これは、患者/高齢者の運動情報を遠隔地にいる補助者(家族や医療者)が取得することによって患者/高齢者が自宅で運動を実際に行っているかだけでなく、正しい運動を行っているかという運動の質の評価を行えるようになったことを意味する。また、逆方向に、患者/高齢者に提示する運動教示(デモ)の運動情報を患者/高齢者が自宅で使用しているPCに送信する機能を構成したことにより患者/高齢者の運動機能に応じた運動教示(デモ)を提供できるようになり、在宅リハビリをオーダーメイドで実施できるようになったことを意味する。また、遠隔地の患者/高齢者からインターネットを介して収集した運動情報を、医療機関側で保管するだけでなく、複数人の患者/高齢者の運動情報を、経時的な変化を追える複数回のデータとした統合するシステムを構成することにより、患者の運動情報のデータベース化できた。将来的には患者/高齢者の運動特性やリハビリに対する反応性などの解析を行うことができ、患者に提供する運動教示(デモ)の最適化が可能になる。
結論
2014年度末に特許申請を予定したシステム構成を、2013年末までに前倒し的に開発したため、今年度は遠隔機能の構成を継続的に行った。

公開日・更新日

公開日
2015-06-03
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2016-01-22
更新日
-

収支報告書

文献番号
201417017Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,186,000円
(2)補助金確定額
2,186,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,263,680円
人件費・謝金 212,973円
旅費 4,740円
その他 200,607円
間接経費 504,000円
合計 2,186,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2017-10-03
更新日
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