文献情報
文献番号
201415110A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性膵疾患に関する調査研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-075
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
竹山 宜典(近畿大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 伊佐地 秀司(三重大学大学院肝胆膵・移植外科学)
- 片岡 慶正(大津市民病院)
- 神澤 輝実(東京都立駒込病院内科)
- 佐田 尚宏(自治医科大学消化器一般外科学)
- 成瀬 達(みよし市民病院)
- 石黒 洋(名古屋大学大学院健康栄養医学)
- 清水 京子(東京女子医科大学消化器内科)
- 伊藤 鉄英(九州大学大学院医学研究院病態制御内科学)
- 杉山 政則(杏林大学医学部外科)
- 武田 和憲(国立病院機構仙台医療センター外科)
- 正宗 淳(東北大学大学院消化器病態学分野)
- 真弓 俊彦(産業医科大学救急医学講座)
- 峯 徹哉(東海大学消化器内科)
- 池上 博司(近畿大学医学部内分泌・代謝・糖尿病内科)
- 岡崎 和一(関西医科大学内科学第三講座)
- 北野 雅之(近畿大学医学部消化器内科)
- 乾 和郎(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院消化器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
18,847,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、重症急性膵炎、慢性膵炎、嚢胞線維症の3疾患についての、実態把握と疫学調査を行うとともに、診断・治療法の標準化とその普及、さらに疾患の情報と生活指針などの予防と予後改善に向けた、患者、患者家族および一般社会への啓発活動を目的とした。
研究方法
嚢胞性線維症
新規承認薬の使用状況、診断法の現況について調査し嚢胞性線維症患者の栄養評価を行った。第5回嚢胞性線維症(CF)全国疫学調査を開始した。全国登録制度に登録されている27名の患者の病状の変化を調査した。嚢胞性線維症が疑われた19名のCFTR遺伝子解析を行った。国際シンポジウム「アジアにおける嚢胞性線維症-基礎から臨床へ-」を開催した。
慢性膵炎
膵全摘症例における代謝・栄養プロフィールを手術前後で詳細に解析した。遺伝性膵炎の全国調査を行うための体制を構築した。患者と家族に対する支援の一環として患者情報交換会を開催した。疼痛に対する内視鏡治療と外科治療を比較する調査研究を計画した。早期慢性膵炎に対する前向き予後調査を計画し症例登録を開始した。遺伝性膵炎の全遺伝子解析用検体を収集し、全エクソーム解析を行った。2011年の全国調査を対象として、慢性膵炎における消化酵素薬の使用状況、膵石治療の現況、慢性膵炎に合併した糖尿病の現況について検討した。本邦における膵石症治療の実態を把握するため、全国アンケート調査を開始した。
自己免疫性膵炎
第3回 AIP 全国疫学調査の解析結果について検討した。その結果から次回の全国調査を計画した。自己免疫性膵炎の標準的ステロイド治療法の確立を策定する目的で、自己免疫性膵炎1型 の治療に関するアンケートを開始した。
急性膵炎
平成25年度重症急性膵炎医療費受給者証交付申請状況を調査した。初期治療コンセンサスの改訂作業を開始した。地域におけるチーム医療モデル形成に向けた体制を構築した。全国登録症例を対象として、免疫指標や栄養指標と予後との関係を解析した。急性膵炎の重症度判定、感染診断における血清プロカルシトニン測定などの有用性を多施設で評価する研究計画した。膵虚血早期診断におけるperfusion CTの有用性に関する多施設共同研究の研究計画書を作成した。重症度別の急性膵炎の抗菌薬の投与の実態調査を行った。
新規承認薬の使用状況、診断法の現況について調査し嚢胞性線維症患者の栄養評価を行った。第5回嚢胞性線維症(CF)全国疫学調査を開始した。全国登録制度に登録されている27名の患者の病状の変化を調査した。嚢胞性線維症が疑われた19名のCFTR遺伝子解析を行った。国際シンポジウム「アジアにおける嚢胞性線維症-基礎から臨床へ-」を開催した。
慢性膵炎
膵全摘症例における代謝・栄養プロフィールを手術前後で詳細に解析した。遺伝性膵炎の全国調査を行うための体制を構築した。患者と家族に対する支援の一環として患者情報交換会を開催した。疼痛に対する内視鏡治療と外科治療を比較する調査研究を計画した。早期慢性膵炎に対する前向き予後調査を計画し症例登録を開始した。遺伝性膵炎の全遺伝子解析用検体を収集し、全エクソーム解析を行った。2011年の全国調査を対象として、慢性膵炎における消化酵素薬の使用状況、膵石治療の現況、慢性膵炎に合併した糖尿病の現況について検討した。本邦における膵石症治療の実態を把握するため、全国アンケート調査を開始した。
自己免疫性膵炎
第3回 AIP 全国疫学調査の解析結果について検討した。その結果から次回の全国調査を計画した。自己免疫性膵炎の標準的ステロイド治療法の確立を策定する目的で、自己免疫性膵炎1型 の治療に関するアンケートを開始した。
急性膵炎
平成25年度重症急性膵炎医療費受給者証交付申請状況を調査した。初期治療コンセンサスの改訂作業を開始した。地域におけるチーム医療モデル形成に向けた体制を構築した。全国登録症例を対象として、免疫指標や栄養指標と予後との関係を解析した。急性膵炎の重症度判定、感染診断における血清プロカルシトニン測定などの有用性を多施設で評価する研究計画した。膵虚血早期診断におけるperfusion CTの有用性に関する多施設共同研究の研究計画書を作成した。重症度別の急性膵炎の抗菌薬の投与の実態調査を行った。
結果と考察
嚢胞性線維症
新規承認薬の適応と使用基準を含めた治療指針の大綱を作成し、我が国の実情に適した肺病変の重症度評価基準案の作成を行った。栄養調査の結果、患者の多くは膵酵素の分泌不全により脂質やタンパク質の消化吸収不良を呈していた。国際シンポジウムでは、欧米から多くの研究者と情報交換し、我が国での今後の研究方針決定の参考となった。
慢性膵炎
膵全摘例では、血糖の動揺性が大きいことが判明した。患者、患者家族と医療従事者が一堂に会して意見交換を行い実態の把握と啓発活動として有意義であった。栄養指導の現状調査では大部分の施設で栄養士によって栄養指導、禁酒指導が行われていることが明らかになった。この結果から具体的な栄養指針の作成を行う。早期慢性膵炎全国疫学調査では年間受療患者数は5,410などと推計され、男女比は1.88:1であった。早期の慢性膵炎の拾い上げと、早期からの治療・生活指導により、膵炎進行を阻止できる可能性が見いだされた。
自己免疫性膵炎
第3回 AIP 全国疫学調査の解析結果から次回の全国調査に盛り込むべき項目についての知見が得られた。また、膵外病変を有した例の再燃率が高いことが判明し、長期経過観察も今後の課題となることがわかった。
急性膵炎
重症急性膵炎医療費受給状況では不適切な更新理由などが見受けられ更新に際しての適切な運用の啓発が必要であると考えられた。免疫能指標や栄養指標は急性膵炎重症化の予測因子になりうる可能性が示唆され、重症度判定因子に組み込むかの議論が必要である。
本年度に改訂された診療ガイドラインの普及啓発に向けての活動が重要であろう。
新規承認薬の適応と使用基準を含めた治療指針の大綱を作成し、我が国の実情に適した肺病変の重症度評価基準案の作成を行った。栄養調査の結果、患者の多くは膵酵素の分泌不全により脂質やタンパク質の消化吸収不良を呈していた。国際シンポジウムでは、欧米から多くの研究者と情報交換し、我が国での今後の研究方針決定の参考となった。
慢性膵炎
膵全摘例では、血糖の動揺性が大きいことが判明した。患者、患者家族と医療従事者が一堂に会して意見交換を行い実態の把握と啓発活動として有意義であった。栄養指導の現状調査では大部分の施設で栄養士によって栄養指導、禁酒指導が行われていることが明らかになった。この結果から具体的な栄養指針の作成を行う。早期慢性膵炎全国疫学調査では年間受療患者数は5,410などと推計され、男女比は1.88:1であった。早期の慢性膵炎の拾い上げと、早期からの治療・生活指導により、膵炎進行を阻止できる可能性が見いだされた。
自己免疫性膵炎
第3回 AIP 全国疫学調査の解析結果から次回の全国調査に盛り込むべき項目についての知見が得られた。また、膵外病変を有した例の再燃率が高いことが判明し、長期経過観察も今後の課題となることがわかった。
急性膵炎
重症急性膵炎医療費受給状況では不適切な更新理由などが見受けられ更新に際しての適切な運用の啓発が必要であると考えられた。免疫能指標や栄養指標は急性膵炎重症化の予測因子になりうる可能性が示唆され、重症度判定因子に組み込むかの議論が必要である。
本年度に改訂された診療ガイドラインの普及啓発に向けての活動が重要であろう。
結論
本研究は、嚢胞性線維症、慢性膵炎、自己免疫性膵炎、急性膵炎という難治性膵疾患の治療成績の向上を目指すもので、それには現時点でのこれらの疾患の実態調査に基づいた疫学的事実を把握するとともに、その疾患固有の遺伝的、社会的背景を把握することが重要である。本年度は、これまでの本研究班の研究を継続するとともに、新たな試みとして、患者および患者家族と研究者との円滑なコミュニケーションを図るために患者会開催などの相方向的啓発活動を開始した。さらにこれらの疾患治療における医療資源の有効活用と治療の均霑化目的としたチーム医療の導入の試みを開始した。本研究は単年度の研究ではあるが、これらの研究はまだその緒に就いたばかりであり、今後も継続して研究者の意思を統一し資源と努力を傾注する必要があると考えられた。
公開日・更新日
公開日
2015-06-26
更新日
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