稀少難治性皮膚疾患に関する調査研究

文献情報

文献番号
201415104A
報告書区分
総括
研究課題名
稀少難治性皮膚疾患に関する調査研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-069
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
天谷 雅行(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 青山 裕美(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚科学)
  • 秋山 真志(名古屋大学大学院医学系研究科皮膚病態学)
  • 池田 志斈(順天堂大学大学院医学研究科皮膚科学・アレルギー学)
  • 岩月 啓氏(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚科学)
  • 宇谷 厚志(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚病態学)
  • 黒沢 美智子(順天堂大学医学部衛生学講座)
  • 澤村 大輔(弘前大学大学院医学研究科皮膚科学講座)
  • 清水 宏(北海道大学大学院医学研究科皮膚科学分野)
  • 下村 裕(新潟大学大学院医歯学総合研究科皮膚遺伝学)
  • 玉井 克人(大阪大学大学院医学系研究科再生誘導医学)
  • 照井 正(日本大学医学部皮膚科学系皮膚科学分野)
  • 橋本 隆(久留米大学医学部皮膚科学教室)
  • 武藤 正彦(山口大学大学院医学系研究科皮膚科学分野)
  • 山上 淳(慶應義塾大学 医学部)
  • 鈴木 民夫(山形大学医学部皮膚科学講座)
  • 横関 博雄(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
22,539,000円
研究者交替、所属機関変更
平成26年6月18日付けにて下記2名の研究者が分担研究者として加わった。 1.鈴木 民夫(山形大学医学部 皮膚科学講座)・ 教授 *理由:眼皮膚白皮症を研究対象に加えるため。 2.横関 博雄(東京医科歯科大学医歯薬学総合研究科 皮膚科学分野)・教授 *理由:特発性後天性全身性無汗症を研究対象に加えるため。

研究報告書(概要版)

研究目的
原因不明で治療法が確立していない難治性皮膚疾患に対する医療の基盤を強化するため、各疾患の診断基準・重症度分類基準の策定と普及、疫学調査とデータベースの作成、全国共通で国際的に通用する診療ガイドラインの開発・改定を目的とする。
研究方法
1. 各疾患群の研究
[天疱瘡] 臨床症状スコアであるPDAI(pemphigus disease area index)による重症度判定について評価を行った。
[類天疱瘡(後天性表皮水疱症を含む)] 過去の症例を用いて、臨床症状スコアであるBPDAI(bullous pemphigoid disease area index)による重症度判定の評価を行った。
[膿疱性乾癬] IL-36RN遺伝子異常などの新知見を盛り込んだ診断基準、重症度判定基準の見直しを行った。
[表皮水疱症] 1998年に厚生省特定疾患皮膚結合組織調査研究班が作成した案を参考に、診断基準および重症度判定基準を策定した。
[先天性魚鱗癬] 病型分類、診断基準、重症度判定基準の策定を行った。2010年度に行われた全国疫学調査の結果をもとに、各症例の臨床症状および重症度分布を解析した。
[弾性線維性仮性黄色腫] 2010年に行われた全国調査の結果をもとに、診断基準、重症度判定基準の策定を行った。
[眼皮膚白皮症] 小児慢性特定疾患との整合性を検討しながら、診断基準、重症度判定基準の策定を行った。疫学に関する全国調査を行った。
[特発性後天性全身性無汗症] 診断基準、重症度判定基準の策定を行うとともに、過去の経験症例の背景および治療経過などをまとめた。
[遺伝性血管性浮腫] 治療情報(血漿C1-INH製剤の処方情報)および報告例などから、我が国における臨床疫学像を調査した。
[肥厚性皮膚骨膜症] 経験例および過去の報告例から、診断基準および重症度判定基準の策定を行った。
2. 共通研究課題
[症例登録と疫学解析] 臨床調査個人票データベースを活用して、膿疱性乾癬の頻回再発に影響する要因などが検討された。
[医療情報提供と社会啓発] ホームページ掲載を継続するとともに、啓発パンフレット改定の準備を行った。
[生体試料蓄積] 独立行政法人・医薬基盤研究所・難病研究資源バンクと提携しながら生体試料収集を継続した。
[統括的ゲノム解析] 生体試料バンクとの連携体制を整えるとともに、天疱瘡の新規患者試料の受け入れ、ゲノムDNAの抽出と保存を行った。
結果と考察
1. 各疾患群の研究
[天疱瘡] 研究結果に基づいて、PDAIによる重症度判定基準のカットオフ値を策定した。診療ガイドラインの英語版を発表した。[類天疱瘡(後天性表皮水疱症を含む)] 研究結果に基づいて、BPDAIによる重症度判定基準のカットオフ値を策定した。[膿疱性乾癬] 診断基準および重症度判定基準を確認するとともに、診療ガイドラインの改訂が完了した。[表皮水疱症] 新しい重症度判定基準を策定し、病型に関わらず皮膚症状および合併症をスコア化して重症度を判定できるように改定した。[先天性魚鱗癬] 病型分類を、1.ケラチン症性魚鱗癬、2.道化師様魚鱗癬、3.道化師様魚鱗癬以外の常染色体劣性遺伝性魚鱗癬、4.魚鱗癬症候群の4亜型とし、診断基準と重症度診断基準について検討した。[弾性線維性仮性黄色腫] 患者データをもとに、診断基準の改定およびスコア化による重症度判定基準を策定した。[眼皮膚白皮症] 全国調査の結果、年間患者数の概数が把握できた。診断基準と重症度診断基準について検討した。[特発性後天性全身性無汗症] 患者背景および治療経過などについての情報がまとめられた。
[遺伝性血管性浮腫] 全国調査の結果、日本における患者数が増加傾向にあることが確認された。[肥厚性皮膚骨膜症] 指定難病の拡大に向けて、診断基準と重症度診断基準について検討した。
2. 共通研究課題
[症例登録と疫学解析] 膿疱性乾癬における頻回再発要因の解析などを通じて、既存のデータベースが十分に生かされることが示された。[医療情報提供と社会啓発] ウェブサイトでの情報更新を継続するとともに、アンケート調査などを通じて、より要望に応える形態について検討された。[生体試料蓄積] 新たな疾患の生体試料を集積する一方、生体試料バンクのウェブサイトが整備された。[統括的ゲノム解析] 各施設との連携を強め、円滑に試料提供が受けられる体制を整えた。
結論
本年度は難病対策の端境期にあたり、既存の指定難病(天疱瘡、表皮水疱症、膿疱性乾癬)の認定基準の見直し、拡大対象の候補疾患(類天疱瘡、先天性魚鱗癬、弾性繊維性仮性黄色腫、眼皮膚白皮症、特発性後天性全身性無汗症、遺伝性血管性浮腫、肥厚性皮膚骨膜症)における診断基準と重症度判断基準の策定と検証を重点的に行った。

公開日・更新日

公開日
2015-06-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
研究成果の刊行に関する一覧表
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2017-03-31
更新日
-

収支報告書

文献番号
201415104Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
29,300,000円
(2)補助金確定額
28,122,551円
差引額 [(1)-(2)]
1,177,449円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 7,292,913円
人件費・謝金 11,292,096円
旅費 1,644,300円
その他 1,132,242円
間接経費 6,761,000円
合計 28,122,551円

備考

備考
・効率的な執行に努めたため、残金が発生した。

公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
-