びまん性肺疾患に関する調査研究

文献情報

文献番号
201415100A
報告書区分
総括
研究課題名
びまん性肺疾患に関する調査研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-065
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
本間 栄(東邦大学 医学部医学科内科学講座呼吸器内科学分野(大森))
研究分担者(所属機関)
  • 高橋 弘毅(札幌医科大学医学部呼吸器・アレルギー内科学講座)
  • 西村 正治(北海道大学大学院医学研究科呼吸器内科学分野)
  • 稲瀬 直彦(東京医科歯科大学呼吸器内科)
  • 吾妻安良太(日本医科大学内科学講座呼吸器・感染・腫瘍部門)
  • 坂東 政司(自治医科大学内科学講座 呼吸器内科学部門)
  • 酒井 文和(埼玉医科大学国際医療センター画像診断科)
  • 須田 隆文(浜松医科大学 第二内科)
  • 長谷川好規(名古屋大学医学部附属病院呼吸器内科)
  • 伊達 洋至(京都大学大学院医学研究科器官外科学講座    呼吸器外科学)
  • 井上 義一(独立行政法人国立病院機構近畿中央胸部疾患センター 呼吸不全・難治性肺疾患研究部)
  • 河野 修興(広島大学大学院医歯学総合研究科分子内科学)
  • 西岡 安彦(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部呼吸器・膠原病内科学分野)
  • 海老名雅仁(東北薬科大学病院 呼吸器センター)
  • 福岡 順也(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 病態病理学 (第二病理) )
  • 渡辺憲太朗(福岡大学医学部 呼吸器内科)
  • 中山 健夫(京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻 健康情報学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
21,084,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班はこれまで組織的・体系的に研究が行われてこなかった希少難治性びまん性肺疾患{(1) ヘルマンスキーパドラック症候群合併間質性肺炎(2) 肺胞微石症(3) 難治性気道疾患(難治性びまん性汎細気管支炎・閉塞性細気管支炎・線毛機能不全症候群)}について全国的な疫学調査を行い、全国共通の診断基準・重症度分類等の確立を目指す。また、客観的な指標に基づく疾患概念が確立している難治性びまん性肺疾患{(4) 肺胞蛋白症(5) 特発性間質性肺炎(特発性肺線維症、気腫合併肺線維症・上葉優位型肺線維症)(6) サルコイドーシス}については、科学的根拠を集積・分析し、エビデンスに基づいた診療ガイドライン等の作成および改訂等を推進し、臨床現場における医療の質の向上を図り、国民への研究成果の還元を促進することを目的としている。
研究方法
班組織の中に、以下にあげるような分科会・部会組織を作り、より機動性、横断性をもって成果が上がるように企画した。
A. 稀少難治性びまん性肺疾患分科会 
1. ヘルマンスキーパドラック症候群(HPS)合併間質性肺炎部会
2. 肺胞蛋白症部会
3. 肺胞微石症部会
B. 難治性気道疾患分科会(難治性びまん性汎細気管支炎(DPB),閉塞性細気管支炎,線毛機能不全症候群)
C.特発性間質性肺炎分科会
1.特発性肺線維症 (IPF)(IPF診療ガイドラインの刊行部会,IPF合併肺癌ガイドライン策定部会,IPF患者QOL改善の検討部会,IPF診断の標準化部会)
2.気腫合併肺線維症 (CPFE),上葉優位型肺線維症 (PPFE)
CPFE, PPFE診断基準の策定部会
D.サルコイドーシス分科会
結果と考察
A.稀少難治性びまん性肺疾患分科会 
上記各部会において第一次全国アンケート調査を終了し、疫学的研究、新重症度・認定基準・診療指針作成等、ガイドライン作成に向けて大きく前進した。肺胞蛋白症部会では診断基準を改訂した。また、重症度に基づき、指定難病を前提とした管理区分を策定した。
B.難治性気道疾患分科会
上記3疾患について疫学的研究、診断基準・遺伝子診断策定、症例集の作成等を開始した。
C.特発性間質性肺炎分科会
上記5つの各部会において疫学的研究、合併肺癌の治療法策定、新重症度分類の策定、診断の標準化(画像と病理)、CPFE, PPFE診断基準の策定などが大きく進行した。
D.サルコイドーシス分科会
サルコイドーシスの診断基準の改訂と重症度分類の作成を行った。日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会の承認を得た。サルコイドーシス診断ガイドラインを作成するために、作成委員会を立ち上げ、平成26年10月、呼吸器内科,眼科,皮膚科,循環器内科,神経内科の専門医およびアドバイザリーボードで組織する第1回診療ガイドライン策定委員会を開催した。また、診療ガイドライン作成の企画書(スコープ)を作成した。
結論
特発性間質性肺炎の中でも患者数が多く、きわめて予後の悪い特発性肺線維症(IPF)に対して、全般的ならびに合併肺癌・急性増悪に対するガイドライン作成を行うことにより、きわめて難治な本疾患患者への恩恵が期待される。さらに、新重症度分類の策定により、必要な患者への早期治療介入が可能になると考えられる。また、ヘルマンスキーパドラック症候群合併間質性肺炎、肺胞微石症、難治性びまん性汎細気管支炎、閉塞性細気管支炎、原発性線毛機能不全症候群などその実態は現在まで殆ど未知であるこれらの難治性希少疾患についての疫学調査、診断基準・重症度分類の確立、診療ガイドライン作成は厚生労働行政の指定難病対策に大きな貢献ができる。また、全ての前記難治性びまん性肺疾患患者を対象にした患者会の創設によって、難病患者のQOL改善が期待され、難病に対する厚生労働行政の課題へ大きく寄与出来るものと考える。さらに、画像・病理データベースの構築により、診断の難しい肺疾患の診断標準化への道を一歩踏み出すこととなる。将来的にはこういったデータベースの整備を通して、呼吸器内科専門医にとっても難しい本領域の診断を普遍化できる。
サルコイドーシスは、近年まで正確な疫学的調査がなく、今回の調査により実態の把握が行われ、合わせて難治例の抽出、診断基準の改訂と重症度分類の作成が行われることにより、厚生労働行政を行う上での基礎資料が得られる。

公開日・更新日

公開日
2017-03-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201415100Z