ミトコンドリア病の調査研究

文献情報

文献番号
201415088A
報告書区分
総括
研究課題名
ミトコンドリア病の調査研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-053
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
後藤 雄一(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 神経研究所疾病研究第二部)
研究分担者(所属機関)
  • 小坂 仁(自治医科大学)
  • 大竹 明(埼玉医科大学)
  • 北風 政史(国立循環器病研究センター)
  • 古賀 靖敏(久留米大学)
  • 小牧 宏文(国立精神・神経医療研究センター)
  • 佐野 輝(鹿児島大学)
  • 末岡 浩(慶應義塾大学)
  • 田中 雅嗣(東京都健康長寿医療センター研究所)
  • 三牧 正和(帝京大学)
  • 山岨 達也(東京大学)
  • 米田 誠(福井県立大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
8,539,000円
研究者交替、所属機関変更
分担研究者の三牧正和の所属が東京大学医学部小児科から帝京大学医学部小児科へ変更。

研究報告書(概要版)

研究目的
ミトコンドリア病の検査手段(病理検査、生化学検査、DNA検査)の標準化と集約的診断体制の確立、本疾患に関する情報提供手段の整備等を行い、臨床病型、重症度、合併症、主な治療の内容などの全国調査を行う。患者レジストリーを進め、具体的な治療に関する臨床研究や治験を進めるコーディネーター役を行うこと、また主に小児のミトコンドリア病を対象としている難治性疾患実用化研究事業の村山班と連携し、本研究班では成人のミトコンドリア病と多臓器症状に関する診療ガイドラインを作成するとともに、患者会での勉強会、難病情報センター等を活用し、広報活動を行うことを目的とする。
研究方法
1)認定基準の改定、重症度スケール、グローバルな診断基準作成に参加
 新たな難病政策における指定難病として、診断基準と重症度分類を策定する。
2)診療ガイドラインの作成
 ミトコンドリア病では、多くの臨床病型が知られている。ミトコンドリア病に比較的よく合併する臓器症状を診ている関連診療科の専門医も参加し、実用化研究事業の村山班と協力して、診療ガイドラインを作成する。
3)ミトコンドリア病に詳しい医師のネットワークと情報提供体制の整備
 患者・家族や本疾患を診ている医療従事者に対して、本疾患の医療情報をホームページ等で提供する。また保健所等でのセミナーも積極的に行う。「ミトコンドリア病に詳しい医師のネットワーク」を構築する。
4)実態調査を兼ねた患者レジストリーの構築
 全国の主要な総合病院に対して、小児科、神経内科ばかりでなく、耳鼻咽喉科、眼科、精神科、循環器内科、腎臓内科、糖尿病内科などにも、調査用紙を配布する実態調査を平成27年度に行う。実用化研究事業の村山班と協力して、連携しながら、日本におけるミトコンドリア病患者レジストリーを構築する。
結果と考察
1)診断基準、重症度スケールの作成
 2009年に制定した「ミトコンドリア病の認定基準」には、何点か問題点があったため、大改訂を行った。これまでの6つの罹患臓器症状の記述から、糖尿病を含む11臓器症状に増加させた。また目の症状に限定されたレーバー視神経萎縮症の特徴を考慮し、眼底所見を項目に追加した。重症度スケールは、2008年の厚生労働科学研究費(古賀靖敏班長)において作成されたものを基盤にして、本研究班で検討し確定した。
2)診療ガイドラインの作成
 実用化研究班(村山班)と協力して、診療ガイドライン作成を行う予定であるが、本年度はその計画の役割分担を行うことに止まった。
3)ミトコンドリア病に詳しい医師のネットワークと情報提供体制の整備
 患者・家族や本疾患を診ている医療従事者に対して、本疾患の医療情報を難病情報センター等の情報媒体で提供することを目指しており、本年度は新たな診断基準、重症度スケールの紹介を中心に、難病情報センターに情報を提供した。「ミトコンドリア病に詳しい医師のネットワーク」を構築する計画については、平成27年度に具体的な活動を行うこととしている。
4)実態調査を兼ねた患者レジストリーの構築 
 実態調査については、本年度に制定された新たな診断基準に基づく実態調査を平成27年度の最重要課題として位置づけている。患者レジストリーについては、実用化研究班(村山班)と連携して行うこととし、村山班では主に先天代謝異常症として小児(成人)患者レジストリーを、国立精神・神経医療研究センターでは、神経症状を中心とする成人(小児)患者レジストリーを行うこととした。国立精神・神経医療研究センターにおけるミトコンドリア病患者レジストリーは、トランスレーショナル・メディカルセンターが実施している筋ジストロフィーの登録事業(Remudy)を敷衍する形態で作業を進めた。このレジストリーは臨床試験を行う患者を確保する、病気の自然歴を明らかにするという目的で進めており、Remudyが平成26年秋からウェブ登録を開始したことに伴い、ミトコンドリア病の患者登録も同様な方式を採用し、平成26年度末にほぼ完成した。


結論
今年度は、政策研究班としてミトコンドリア病班が設立された1年めであった。全国レベルの診断体制の整備、新たな診断基準や重症度スケールの作成などを終えた。疫学調査と患者レジストリーを確実に進める事が次年度以降の課題である

公開日・更新日

公開日
2017-03-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201415088Z