特発性心筋症に関する調査研究

文献情報

文献番号
201415078A
報告書区分
総括
研究課題名
特発性心筋症に関する調査研究
課題番号
H26-難治等(難)-一般-043
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
筒井 裕之(北海道大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 久保田功(山形大学 医学部内科学第一講座)
  • 下川宏明(東北大学 大学院医学研究科)
  • 永井良三(自治医科大学)
  • 小室一成(東京大学 大学院医学研究科)
  • 福田恵一(慶應義塾大学 医学部)
  • 磯部光章(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 後藤雄一(国立精神・神経医療研究センター)
  • 室原豊明(名古屋大学 大学院医学研究科)
  • 山岸正和(金沢大学医薬保健研究域医学系)
  • 木村剛(京都大学 大学院医学研究科)
  • 坂田泰史(大阪大学 大学院医学研究科)
  • 北風政史(国立循環器病研究センター)
  • 中谷武嗣(国立循環器病研究センター)
  • 斎藤能彦(奈良県立医科大学)
  • 矢野雅文(山口大学 医学部付属病院)
  • 砂川賢二(九州大学 大学院医学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
22,385,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班は、1974年に旧厚生省特定疾患調査研究班として、特発性心筋症の疫学・病因・診断・治療を明らかにすべく設立され、その後約40年間継続して本領域での進歩・発展に大きく貢献してきた。1980年にWHO/ISFC合同委員会が特発性心筋症の分類定義をし、1995年に改訂され、現在広く用いられている。分子生物学や遺伝子解析の進歩による特発性心筋症の病因・病態が明らかにされるにつれ、2000年にESCやAHAで新たな分類定義が提唱された。しかしながら、我が国独自の新たなエビデンスを収集、分析、評価し、診療に応用することが必要である。
現在までに、我々は心不全患者を対象とした全国規模のレジストリー研究(JCARE-CARD)を行い、心筋症患者の特徴、予後規定因子を明らかにした(Circ J 2012, 2011など多数)。特に、拡張相肥大型心筋症の特徴や予後を明らかにした(J Cardiol 2013)。この様な状況で、本研究は心筋症の実態を把握し、日本循環器学会、日本心不全学会と連携し、診断基準や診療ガイドラインの確立を目指し、研究成果を広く診療へ普及し、医療水準の向上を図ることを目的とする。さらに、研究成果の社会への還元を行うことも本研究の重要な目的の一つである。
研究方法
JCARE-CARDのレジストリーを用いて、心筋症の長期予後を解析する。さらに、特定疾患登録システムを用いた心筋症調査研究システムを構築し、データ収集方法を確立する。将来的に、このデータベースを用いて、長期予後をフォローし、生存率やイベント発生率を評価し、それらに影響を与える予後規定因子を解析する。また、これまで行われてきた心筋症症例登録研究(CCMM研究)の継続とデータの解析を行う。CCMM研究では希少心筋症の登録も行われており、【平成27年度】にはこれらの解析も行う。
結果と考察
<研究結果>
I.全体研究
本年度はそれぞれの研究を継続、推進、準備した。指定難病の個人調査票を改訂し、心筋症調査研究システムの構築準備を行った。
II.サブグループ研究
①わが国における拡張相肥大型心筋症を対象とした登録観察研究
多施設登録観察研究のプロトコールを作成し、北海道大学病院の自主臨床試験倫理審査委員会での承認後、登録を開始した。
②重症心不全患者の予後を推定する予測式の構築
国立循環器病センターにおいてプロトコールを作成し、分担研究者各施設での倫理委員会承認後、web登録を開始した。現在、150症例の登録が進んでいる。
③心筋症患者を対象とした栄養状態・運動能力調査および栄養・運動の包括的な介入プログラムの開発
多施設登録観察研究のプロトコールを作成し、北海道大学および各施設での倫理審査承認後、登録が進められ、156例が登録された。
III.個別研究
各分担研究者が特発性心筋症の発症関連要因・予防要因や重症化の危険因子、予後関連因子を多面的に解明する研究を行い、進捗状況が班会議で報告された。詳細は分担研究者からの報告を参照。
IV.診療への普及と患者・社会への還元
日本循環器学会および日本心不全学会と協力し、特発性心筋症の重症度分類を作成した。現在、特発性心筋症の認定基準として用いられている。さらに、難病情報センターのホームページを改訂し、特発性心筋症の詳細な情報公開を行った。また、複数の市民公開講座(平成26年6月1日・奈良県立医科大学、同6月21日・東京医科歯科大学、同10月5日・秋田大学、平成27年1月18日・福島県立医科大)を行った。
<研究考察>
研究班全体で全体研究、サブグループ研究、個別研究の3層の研究に取り組んできた。全体研究では症例登録数の増加や解析システムの構築などが来年度の課題である。サブグループ研究は計画通り順調に進んでおり、患者登録数も伸びている。心筋症患者の栄養状態・運動能力の調査研究は156症例で登録を完了し、解析予定である。これらの研究を通して、最終的には本研究期間内に多くのガイドラインの改訂を目指す。
特発性心筋症を含む難病指定制度が変更されたが、それに併せて特発性心筋症の重症度を作成した。現在、難病認定に用いられており、診療への普及という点で役割を果たしていると考える。今後、今回作成した重症度分類の評価が必要である。
 本年度は、難病情報センターのホームページ改訂を行った。さらに、複数の市民公開講座を行った。これらの取り組みを通して、今後も本研究班の研究結果を幅広く情報発信していくことが重要である。
結論
全体研究、サブグループ研究、個別研究をそれぞれ推進した。また、研究結果を診療や社会へ普及させる取り組みを行った。

公開日・更新日

公開日
2015-06-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
201415078Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
29,100,000円
(2)補助金確定額
29,100,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 18,185,000円
人件費・謝金 200,000円
旅費 3,000,000円
その他 1,000,000円
間接経費 6,715,000円
合計 29,100,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2018-06-07
更新日
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