HAM及びHTLV-1関連希少難治性炎症性疾患の実態調査に基づく診療指針作成と診療基盤の構築をめざした政策研究

文献情報

文献番号
201415061A
報告書区分
総括
研究課題名
HAM及びHTLV-1関連希少難治性炎症性疾患の実態調査に基づく診療指針作成と診療基盤の構築をめざした政策研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H26-難治等(難)-一般-026
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
出雲 周二(国立大学法人鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 岡山 昭彦(宮崎大学・医学部 )
  • 中村 龍文(長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科)
  • 高嶋  博(鹿児島大学大学院 医歯学総合研究)
  • 中川 正法(京都府立医科大学大学院 医学研究科)
  • 久保田龍二(鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科)
  • 山野 嘉久(聖マリアンナ医科大学)
  • 藤田 次郎(琉球大学大学院 医学研究科)
  • 川上  純(長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科)
  • 鴨居 功樹(東京医科歯科大学 医学部)
  • 中尾久美子(鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科)
  • 松浦 英治(鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
17,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1986年のHAMの疾患概念提唱を契機に、各診療科の現場でHTLV-1キャリアに生じている種々の慢性炎症が注目され、気管支肺胞炎、慢性関節リウマチ、シェーグレン症候群、多発性筋炎、ぶどう膜炎、慢性甲状腺炎などの慢性炎症性疾患とHTLV-1との関連が報告された。しかし、これらの難治性炎症性疾患は各診療領域で独自にすすめられており、慢性関節リウマチ、多発性筋炎、シェーグレン症候群、慢性肺疾患など、それぞれの大きな疾患枠の中にマイノリティーとして埋もれており、適切な疾病対策や研究の推進の妨げになっていた。また、感染者のごく一部にのみ発症する希少性や地域偏在性、疾患の多様性のために集約的な研究が困難で、その実態と発症病態の解明が待たれている。本研究課題はHTLV-1感染者に起こる個々の慢性難治性炎症疾患について、「HTLV-1感染症」として包括的に捕らえ、自験例の再調査を通して各疾患に共通の問題点とその対策を検討し、診療指針作成など、HTLV-1感染症総合的対策に資する診療基盤を整備することを目的としている。
研究方法
本研究は各疾患を長期に追跡調査・研究してきた研究者により組織され、初年度となる本年度は2回の班会議を通して本研究課題について意見交換を行い、認識を共有するとともに、1; HAMの長期予後に関する後方視調査と治療の検証、2; 非HAM HTLV-1関連希少炎症性疾患の後方視的、横断的検索、3; HTLV-1陽性難病患者の診療実態調査、の3つの観点から各研究組織の患者データベースをもとに調査を開始した。
結果と考察
HAMについては、まず、診断基準となる髄液抗HTLV-1抗体価測定法の妥当性を検討し、従来のPA法と現在一般に採用されているCLIA法、CLEIA法が強い相関を有しており、診断基準、重症度基準として採用可能であることを明らかにした。また、HAM患者のデータベースを用いて長期予後を解析し、複数の合併症の有無が重症度と関連していること、HAMに家族集積性があり、臨床的特徴を有していることを明らかにした。「HAMねっと」の調査からは、発症早期の高い疾患活動性が予後不良因子となることを明らかにした。HAM患者の過活動膀胱に対して経口プロスルチアミン内服療法は有効であることを明らかにした。今後、これらの成果を取り込んだHAMの重症度分類の作成と診療マニュアルの改訂をすすめていく。
非HAM HTLV-1関連希少炎症性疾患については鹿児島大学、東京医科歯科大学でHTLV-1陽性のぶどう膜炎例の選定、調査が進められ、特徴的な眼所見として顆粒状硝子体混濁や、血管や網膜への顆粒付着、発症の高齢化などが抽出された。長崎大学ではシェーグレン症候群と早期関節炎における抗HTLV-1抗体陽性患者の特徴と予後を後方視的に解析中である。琉球大学で糞線虫とHTLV-1の重複感染を解析し、HTLV-1陽性者は移植、免疫抑制療法、抗癌化学療法により播種性糞線虫感染症、または糞線虫過剰感染症候群を呈する例があることを明らかにした。HTLV-1感染との関連が報告されている他の疾患、特に皮膚炎、肺疾患についても、来年度は研究協力者により調査を開始し、各疾患を包括した「HTLV-1関連希少難治性炎症性疾患総合診療の手引き」の策定をめざしたい。
HTLV-1陽性難病患者の診療実態調査については鹿児島大学で多発性筋炎、皮膚筋炎、封入体筋炎の臨床情報をデータベース化し、HTLV-1陽性者における臨床症状や筋病理所見の特徴を検討している。宮崎大学でHTLV-1陽性慢性関節リウマチ患者、特に生物製剤治療との関連につて解析が進行中で、抗TNF製の効果が陰性患者に比して弱い傾向が示された。他の抗リウマチ薬についても検討する。合併症や治療とATL発症リスクとの関連についても検討している。今後、難病診療におけるHTLV-1感染者の診療におけるQ & Aなどに反映していく。
結論
1) 髄液抗HTLV-1抗体価測定法として、従来のPA法と現在一般に採用されているCLEIA法、CLEA法が強い相関を有し、診断基準、重症度基準として採用可能である。
2) HAMに家族集積性があり、臨床的特徴がみとめられる。
3) HAMでは発症早期の高い疾患活動性が予後不良因子となる。
4) HAM患者の過活動膀胱に対して経口プロスルチアミン内服療法は有効である。
5) HTLV-1感染者においては糞線虫との重複感染の頻度が高く、移植、免疫抑制療法、抗癌化学療法により播種性糞線虫感染症、糞線虫過剰感染症候群を呈する例がある。

公開日・更新日

公開日
2015-06-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
201415061Z