文献情報
文献番号
201415016A
報告書区分
総括
研究課題名
多発性硬化症の新規免疫修飾薬を検証する医師主導治験
研究課題名(英字)
-
課題番号
H24-難治等(難)-一般-007
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
山村 隆(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 神経研究所疾病研究部)
研究分担者(所属機関)
- 佐藤典子(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 放射線診療部)
- 三宅幸子(順天堂大学医学部免疫学講座)
- 大木伸司(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター神経研究所免疫研究部)
- 佐藤和貴郎(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター神経研究所免疫研究部)
- 佐藤準一(明治薬科大学薬学部生命創薬科学科)
- 案浦洋一(アスビオファーマ株式会社生物医学研究所創薬化学研究部)
- 木村 円(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター トランスレーショナル・メディカルセンター臨床研究支援部)
- 米本直裕(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所精神薬理研究部)
- 服部正平(東京大学大学院新領域創成科学研究科)
- 村田美穂(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター病院)
- 鈴木麻衣子(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター トランスレーショナル・メディカルセンター臨床研究支援部)
- 中村治雅(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター トランスレーショナル・メディカルセンター臨床研究支援部)
- 岩渕和也(北里大学医学部免疫学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
185,819,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者交替について
中村治雅(平成26年4月11日より追加登録)
米本直裕(平成26年6月11日までで終了)
岩渕和也(平成26年6月12日より追加登録)
研究報告書(概要版)
研究目的
多発性硬化症(MS)は人生の開花期を迎える若年者に発症し、患者の人生に影響を与える深刻な疾病である。本研究の目的は、国産の経口薬OCHをMSの標準薬として開発することである。OCHはNKT細胞を活性化して免疫バランスを修飾する糖脂質医薬である(Nature 413:531, 2001)。
研究方法
本研究ではOCHのFirst in human試験を医師主導治験として実施して、OCHのヒトにおける安全性および薬物動態を検証するとともに、フェーズ2試験以降の薬物開発に有用な情報を得るための研究を進めている。OCHの投与は国立精神・神経医療研究センター(NCNP)病院、リンパ球解析はNCNP神経研究所において実施した。試験に参加したMS患者血液サンプルを、多色素フローサイトメーター、DNAマイクロアレイ、nCounterなどにより解析したほか、リンパ球をミエリン塩基性タンパク(MBP)で刺激して、そのサイトカイン産生を測定した。
結果と考察
平成26年3月に開始されたMS患者に対してOCHを週に1回投与する投与試験(STEP2試験)を継続した。3ヶ月間投与完了症例2例を含む6症例に対する投与が実施された。バイオマーカー解析では、健常者と同様に、MS患者においても、GM-CSF産生T細胞の減少、NK細胞の増加、抗原提示細胞のHLA-DR抗原発現低下などの変化が確認された。OCHを複数回投与することによるNKT細胞数の変化については、有意な結果が得られなかったが、NK細胞数の増加傾向が見られた。
結論
OCHの開発は、シーズの探索、前臨床試験、医師主導治験までを一貫してNCNPで行うという前例のない試みであるが、MS患者対象の反復投与試験の実現にまで到達した。新薬の開発においてヒト投与に至る例はきわめて少ないことを考慮すれば、大きな成果が挙がりつつあると言えよう。今後、複数の企業との情報交換を継続し、医師主導治験から企業連携治験への円滑な移行を進めるとともに、OCHの他疾患への適応も検討する必要がある。
公開日・更新日
公開日
2017-03-31
更新日
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