わが国の関節リウマチ診療標準化のための研究

文献情報

文献番号
201414018A
報告書区分
総括
研究課題名
わが国の関節リウマチ診療標準化のための研究
課題番号
H26-免疫ー指定-021
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
宮坂 信之(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科膠原病・リウマチ内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 山中 寿(東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター)
  • 針谷 正祥(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科薬害監視学講座)
  • 池田 啓(千葉大学医学部附属病院アレルギー・膠原病内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 難治性疾患等克服研究(免疫アレルギー疾患等予防・治療研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
3,850,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国の関節リウマチ診療の標準化を目指して、1)エビデンスに基づいた一般医向け診療ガイドラインの作成、2)リウマチ診療の地域格差、施設間格差などに関する実態調査のための疫学データベースの構築、3)医療の標準化・及び拠点病院の構築、4)リウマチ対策の実施状況の調査と評価、などの研究活動を多角的に行う。
研究方法
1)RA診療ガイドライン作成分科会:平成23年~25年度の厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等克服研究事業において「関節リウマチ診療ガイドライン2014」として発表した。本年度は、初期治療を行う一般医家向けの診療ガイドラインの策定を行う。
2)RA臨床疫学データベース構築分科会:T2T研究;本研究では、①米国リウマチ学会/欧州リウマチ学会新分類基準を満たす中等度疾患活動性以上(SDAI>11またはCDAI>10)のRA患者、②RAによる(主治医判断による)腫脹関節数2個以上、かつ圧痛関節数2個以上を有する患者、③成人かつ本研究への参加に関する同意を文書にて得られる患者、④生物学的製剤を未使用のRA患者、⑤登録時に抗リウマチ薬を開始・変更・追加する患者、⑥定期的な外来通院が可能な患者を対象とした。本研究ではT2Tの治療アルゴリズムに沿って3か月毎に治療の有効性を評価し、治療を見直す。3か月毎に臨床的疾患活動性を、6か月ごとに身体機能(Health Assessment Questionnaire, HAQ)、EQ-5D(Euro QOL-5D)および手足のレントゲン画像を評価する。主要評価項目は、試験開始時と比較した72週後のHAQ等の評価による機能的予後およびvdH-modified Total Sharp Score(vdH-mTSS)での構造的予後の規定因子である。因子の同定は多変量解析により実施する。副次的評価項目は寛解、低疾患活動性の日常臨床における達成率、T2Tの実施率、T2T実施の阻害要因などである。
3)RA診療拠点病院ネットワーク構築分科会:1. 超音波検査を用いた標準的関節リウマチ診療の普及/教育:標準化された指針とモデルを用い、日本リウマチ学会各支部において、関節リウマチ評価のための超音波検査講習会を実施し、関節リウマチ診療の標準化を図る。2. 滑膜病変評価のためのガイドライン作成:今回は同委員会で、得られた画像を用いた標準的評価のためのガイドライン/画像アトラスを作成する。
結果と考察
我が国の関節リウマチ診療の標準化を目指して、1)エビデンスに基づいた一般医向け治療ガイドラインの作成、2)リウマチ診療の地域格差、施設間格差などに関する実態調査のための疫学データベースの構築、3)医療の標準化及び拠点病院の構築、4)リウマチ対策の実施状況の調査と評価などの研究活動を行った。すでに、前年度指定研究において、「関節リウマチ診療ガイドライン2014」を作成し、日本リウマチ学会からこれを冊子として刊行したが、今回は一般医及び患者向けに診療
ガイドラインを策定することを目指しており、本年度はその準備を行った。疫学データベース構築に
関しては、我が国における関節リウマチ診療においてTreat-to-target (T2T)の治療アルゴリズムに
沿って診療が行われた際に、どこまで関節組織破壊の防止ができるか、T2T診療の実施率及びその阻害要因などについて解析を始めている。医療の標準化及び拠点病院の構築のツールとして関節超音波
検査を用い、滑膜病変評価のためのガイドライン策定を始めている。また、日本リウマチ学会と連携をとりながら、関節リウマチの疾患活動性評価のための超音波検査講習会を行い、リウマチ診療の標準化を図っている。
結論
これまでの本研究の進捗状況は順調である。本研究の成果は、我が国の関節リウマチ診療の標準化及び適正化、関節リウマチ患者の疫学データベースの構築と発展、診療の地域格差の縮小・改善、さらには今後のリウマチ対策の策定に大きく貢献するものと思われる。

公開日・更新日

公開日
2015-06-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-06-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
201414018Z