文献情報
文献番号
201412055A
報告書区分
総括
研究課題名
2型糖尿病患者を対象とした血管合併症抑制のための強化療法と従来治療とのランダム化比較試験(J-DOIT3)
研究課題名(英字)
-
課題番号
H25-循環器等(生習)-指定-020
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
岩本 安彦(公益財団法人日本糖尿病財団)
研究分担者(所属機関)
- 野田 光彦(国立国際医療研究センター糖尿病研究部)
- 門脇 孝(東京大学大学院医学系研究科)
- 新保 卓郎(国立国際医療研究センター国際臨床研究センター)
- 石塚 直樹(国立国際医療研究センター国際臨床研究センター)
- 田中 紀子(国立国際医療研究センター国際臨床研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
44,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
糖尿病の合併症には細小血管合併症と大血管合併症とがあるが、いずれの発症頻度も高く合併症が重症化すると患者のQOLは低下し、死に至ることもある。また糖尿病患者の増加により、合併症治療のために費やされる医療費も年々増加してきている。こうした国内の現状を考えると、合併症の発症・進展予防のための糖尿病の適切な管理方法を確立することは必須である。海外では、UKPDSをはじめとするこれまでの大規模臨床試験の結果から、血糖値を改善することによって細小血管合併症が有意に抑制されることが証明されてきた。大血管合併症発症予防研究に関しては、2008年に、ACCORD,等の試験結果が発表されたが、いずれも血糖コントロールによる大血管合併症の抑制効果について有意な結果を出すことはできなかった。本試験は2型糖尿病患者を対象としたランダム化比較試験によって血糖値・血圧・脂質を強力に管理する強化療法が従来の治療方法よりも糖尿病に伴う大血管合併症の発症・進展予防に優れることを検証することを目標としている。
研究方法
本試験はHbA1cが6.9%以上の2型糖尿病患者を対象として従来治療と強化療法の有効性を比較する多施設共同、オープンラベル、ランダム化並行群間比較試験である。選択基準は、2型糖尿病(HbA1c≧6.9%)に加えて、高血圧(降圧薬服用中の場合:血圧≧130/80 mmHg、降圧薬服用なしの場合:血圧≧140/90 mmHg)、脂質代謝異常(LDL-C≧120 mg/dl、またはトリグリセリド(TG)≧150 mg/dl、または HDL-C<40 mg/dl)のいずれかまたは双方をもち、かつ除外基準に該当しない症例としている。従来治療群の各目標値は日本糖尿病学会が定めている現行の目標値とした。一方強化療法群では、血糖値(HbA1c<6.2%)、血圧<120/75 mmHg、脂質(LDL-C<80 mg/dl、TG<120 mg/dl)という目標値を設定した。これらの目標値を達成するために作成されたプロトコールに沿って、生活習慣への介入、および血糖値・血圧・脂質に対する段階的な薬物療法を行っている。生活習慣を改善しても各目標値に達しない症例には、段階的に薬物療法を強化していくステップアップ治療を行っている。血糖値に関しては、ステップ1ではインスリン抵抗性が主体と考えられる場合には主に TZDを、インスリン分泌低下が疑われる場合にはインスリン分泌促進薬を投与し、目標に達しない場合にはステップ2として TZD とインスリン分泌促進薬を併用している。それでも目標に達しない場合には、ステップ3としてインスリン療法を開始している。また2011年1月よりDPP-4阻害薬が、2011年7月よりGLP-1受容体作動薬が治療薬として加わった。血圧に関しては、ステップ1ではアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)あるいはアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬を最大用量まで投与し、目標に達しない場合にはステップ2として長時間作用型 Ca 拮抗薬(CCB)を追加し、さらにステップ3ではその他の降圧薬を投与する。脂質に関しては、ステップ1ではストロングスタチンの常用量を投与し、ステップ2では同薬を最大用量まで増量し、ステップ3では陰イオン交換樹脂・ω-3脂肪酸製剤を投与する。これらの治療により、強化療法群、従来治療群のいずれに割り当てられた場合でも重篤な有害事象をほとんど起こさずに血糖値・血圧・脂質のコントロールは改善している
結果と考察
2,542人(目標被験者数3,338の76.2%)の登録がなされ、全国81の病院で研究が進行中である。両群とも血糖値、脂質値、血圧値が良好にコントロールされ、問題となる有害事象も少なく、被験者への介入は順調に実施されている。しかし、イベントの発生が事前の想定よりも少なかったため、平成22年1月、研究の趣旨を変えない範囲で評価項目の変更を行った。主な変更点は、「心筋梗塞、脳卒中、死亡のいずれかの発生」としていた主要評価項目に、冠動脈イベントと脳血管イベントを加えたことである。平成24年2月、試験評価委員会にて中間解析結果の評価を実施したが、有効中止も含めて試験継続に影響するような勧告はなかった。前述のように主要評価項目を拡大したが、依然としてイベント発生が予想を下回っており、平成24年度末の研究終了時点までに目標イベント数が確保できない見通しとなった。そこで試験実施計画書の規定に沿って、試験期間の延長を中央倫理委員会に申請し、承認を得た。平成25年4月よりさらに3年の延長期間へ入っている。
結論
さらに3年の延長期間に入っており、今後の糖尿病治療のあり方に大きな影響を与えると期待される。
公開日・更新日
公開日
2015-09-11
更新日
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