文献情報
文献番号
201412025A
報告書区分
総括
研究課題名
未成年者、特に幼児、小・中学生の糖尿病等の生活習慣病予防のための総合検診のあり方に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H24-循環器等(生習)-一般-014
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
吉永 正夫(国立病院機構鹿児島医療センター 小児科)
研究分担者(所属機関)
- 堀米 仁志(筑波大学附属病院・茨城県小児地域医療教育ステーション)
- 高橋 秀人(福島県立医科大学医学部 放射線医学県民健康管理センター 情報管理・統計室)
- 長嶋 正實(あいち小児保健医療総合センター)
- 篠宮 正樹(医療法人社団西船内科)
- 宮崎 あゆみ(社会保険高岡病院)
- 青木 真智子(青木内科循環器科小児科クリニック)
- 緒方 裕光(国立保健医療科学院)
- 伊藤 善也(日本赤十字北海道看護大学臨床医学領域)
- 徳田 正邦(徳田こどもクリニック)
- 久保 俊英(国立病院機構岡山医療センター)
- 立川 倶子(鹿児島県栄養士会)
- 郡山 暢之(国立病院機構鹿児島医療センター)
- 濱島 崇(あいち小児保健医療総合センター)
- 原 光彦(東京都立広尾病院)
- 岩本 眞理(横浜市立大学附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
14,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
当該研究の最終年度として下記を目的とした。
1. Latent class growth modelにより日本人小児の肥満形成時期を決定すること。
2. 介入試験を行い、生活習慣改善により肥満度および心血管危険因子値が改善するか検討すること。
1. Latent class growth modelにより日本人小児の肥満形成時期を決定すること。
2. 介入試験を行い、生活習慣改善により肥満度および心血管危険因子値が改善するか検討すること。
研究方法
1. 肥満形成時期の決定:参加者計1,843名(男子907名、女子936名)から、出生時、各乳幼児健診時(1か月、3~4か月、6~7か月、9~10か月、1歳、1歳6か月、3歳)、小学校入学後は各学年1学期時の身長、体重の縦断的データを収集し、BMI Z scoreを算出した。Latent class growth model はstatistical analysis softwareである"proc traj"を用いて作成した。
2. 介入試験:UMINに登録 (介入試験ID; UMIN000014896) 後、並行群間比較、ランダム化、オープン試験方式によって行った。肥満度の減少を主要アウトカム、心血管危険因子値の変化を副次アウトカムとした。試験デザインはA群: 休日に1万歩歩く群、B群: スクリーンタイムを制限する群(平日90分、休日150分)、C群: コントロール群(歩数とスクリーンタイムの記録のみを行う)とした。
2. 介入試験:UMINに登録 (介入試験ID; UMIN000014896) 後、並行群間比較、ランダム化、オープン試験方式によって行った。肥満度の減少を主要アウトカム、心血管危険因子値の変化を副次アウトカムとした。試験デザインはA群: 休日に1万歩歩く群、B群: スクリーンタイムを制限する群(平日90分、休日150分)、C群: コントロール群(歩数とスクリーンタイムの記録のみを行う)とした。
結果と考察
1. 肥満形成時期の決定:性別に4群に分類し検討した場合、男女とも同様のtrajectoryを示した。肥満に向かう群は乳児期後半からZ score値が高値を示しその後も高値が続く群と、3歳以降緩やかな上昇を続け、小学校入学後も上昇が続く群であった。小児期の肥満形成時期は従来、胎児期、adiposity reboundを示す4~6歳、思春期と言われて来た。日本においては乳児期後半~幼児期前半、小学生低・中学年も肥満形成時期であることがわかった。
2. 介入試験:全国7地域で平成27年4月現在177名が終了し、drop out者はなかった。介入条件はA群、B群ともに順守されていた。肥満度はA群、B群ともに介入前後で有意に減少していた。介入前後の肥満度差の比較では、A群はC群に比し有意に減少していた。心血管危険因子については、A群では介入後に拡張期血圧、総コレステロール、LDLコレステロール、non HDLコレステロール、Ln (ALT)、尿酸が有意に低下していた。B群ではHDLコレステロールが有意に増加し、尿酸が有意に低下していた。A群においては全ての肥満指標(肥満度、BMI、腹囲)の変化は内臓脂肪面積の変化と有意な正の関係があり、内臓脂肪面積の変化は皮下脂肪面積の変化よりより強い関係にあった。小児期肥満の治療指針として、中途度~強度の運動moderate-to-vigorous physical activity (MVPA)の時間確保が推奨されてきた。ただ、推奨されている1日60分間のMVPAを守れるのは介入者の15%に過ぎないこと、軽度の運動の方がMVPAよりバリアーが少なく、どのような運動でもエネルギー消費ができれば心血管危険因子を改善すること、成人期においても軽度な運動により全脂肪量、 内臓脂肪量が改善すること、などが報告され始めている。本研究では運動として1万歩の散歩を採用した。平成24~26年度の研究においても、過去の論文においても休日の運動量が大きく減少していることから、休日のみとした。その結果、休日のみの軽度の運動(散歩)によっても、肥満指標の有意な減少と、TC, LDL-C, non HDL-C, ALT, 尿酸値の有意な低下が得られることがわかった。小児期において散歩という軽度な運動による肥満指標の減少、心血管危険因子値の改善の報告は初めてと考えられる。
スクリーンタイムの制限としては1日2時間以内が推薦されている。本研究では平成25年度にスクリーンタイムを実測したデータのうち、心血管危険因子を持っていなかった児童生徒の90%信頼限界下限値に近い平日90分、休日120分とした。スクリーンタイムの制限は肥満指標(肥満度、腹囲)の有意な低下、HDL-Cの上昇、尿酸値の有意な低下を認めたが、A群の1万歩歩く群の改善より少なかった。
2. 介入試験:全国7地域で平成27年4月現在177名が終了し、drop out者はなかった。介入条件はA群、B群ともに順守されていた。肥満度はA群、B群ともに介入前後で有意に減少していた。介入前後の肥満度差の比較では、A群はC群に比し有意に減少していた。心血管危険因子については、A群では介入後に拡張期血圧、総コレステロール、LDLコレステロール、non HDLコレステロール、Ln (ALT)、尿酸が有意に低下していた。B群ではHDLコレステロールが有意に増加し、尿酸が有意に低下していた。A群においては全ての肥満指標(肥満度、BMI、腹囲)の変化は内臓脂肪面積の変化と有意な正の関係があり、内臓脂肪面積の変化は皮下脂肪面積の変化よりより強い関係にあった。小児期肥満の治療指針として、中途度~強度の運動moderate-to-vigorous physical activity (MVPA)の時間確保が推奨されてきた。ただ、推奨されている1日60分間のMVPAを守れるのは介入者の15%に過ぎないこと、軽度の運動の方がMVPAよりバリアーが少なく、どのような運動でもエネルギー消費ができれば心血管危険因子を改善すること、成人期においても軽度な運動により全脂肪量、 内臓脂肪量が改善すること、などが報告され始めている。本研究では運動として1万歩の散歩を採用した。平成24~26年度の研究においても、過去の論文においても休日の運動量が大きく減少していることから、休日のみとした。その結果、休日のみの軽度の運動(散歩)によっても、肥満指標の有意な減少と、TC, LDL-C, non HDL-C, ALT, 尿酸値の有意な低下が得られることがわかった。小児期において散歩という軽度な運動による肥満指標の減少、心血管危険因子値の改善の報告は初めてと考えられる。
スクリーンタイムの制限としては1日2時間以内が推薦されている。本研究では平成25年度にスクリーンタイムを実測したデータのうち、心血管危険因子を持っていなかった児童生徒の90%信頼限界下限値に近い平日90分、休日120分とした。スクリーンタイムの制限は肥満指標(肥満度、腹囲)の有意な低下、HDL-Cの上昇、尿酸値の有意な低下を認めたが、A群の1万歩歩く群の改善より少なかった。
結論
1. 肥満形成時期の決定:日本人小児において、肥満形成時期は乳児期~幼児期前半と幼児期後半~小学校低・中学年と予測される。介入はこれらの時期を考慮に入れ行う必要があると考えられる。
2. 介入試験:従来、中等度~強度の運動でないと心血管危険因子値の改善効果はないとされてきたが、小児において“休日に1万歩歩く”という“軽度の運動”により肥満を含めた心血管危険因子は改善することを世界に先駆けて証明できた。今後のガイドライン作成に寄与すると考えられる。軽度の運動とスクリーンタイム制限の同時介入による効果の検討が必要である。
2. 介入試験:従来、中等度~強度の運動でないと心血管危険因子値の改善効果はないとされてきたが、小児において“休日に1万歩歩く”という“軽度の運動”により肥満を含めた心血管危険因子は改善することを世界に先駆けて証明できた。今後のガイドライン作成に寄与すると考えられる。軽度の運動とスクリーンタイム制限の同時介入による効果の検討が必要である。
公開日・更新日
公開日
2015-09-11
更新日
-