ハイリスク糖尿病患者における糖尿病薬、血糖管理と大血管障害発症に関するComparative Effectiveness Research

文献情報

文献番号
201412024A
報告書区分
総括
研究課題名
ハイリスク糖尿病患者における糖尿病薬、血糖管理と大血管障害発症に関するComparative Effectiveness Research
研究課題名(英字)
-
課題番号
H24-循環器等(生習)-一般-013
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
植田 真一郎(琉球大学 医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 野出 孝一(佐賀大学 医学部)
  • 井上 卓(社会医療法人友愛会南部病院)
  • 松島 雅人(東京慈恵会医科大学)
  • 大屋 祐輔(琉球大学 医学研究科)
  • 川満 克紀(南部徳洲会病院)
  • 新崎 修(豊見城中央病院)
  • 仲田 清剛(社会医療法人敬愛会ちばなクリニック)
  • 佐田 政隆(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
  • 東 幸仁(広島大学原爆放射線医科学研究所)
  • 島田 健永(大阪市立大学大学院医学研究科)
  • 石橋 豊(島根大学医学部総合医療学講座)
  • 植田 育子(慶應義塾大学医学部)
  • 安藤 真一(九州大学病院睡眠時無呼吸センター)
  • 小松 龍士(大阪市立総合医療センター)
  • 香坂 俊(慶應義塾大学医学部)
  • 百村 伸一(自治医科大学さいたま医療センター)
  • 安 隆則(獨協医科大学日光医療センター)
  • 田口 晴之(大阪掖済会病院)
  • 門上 俊明(福岡県済生会二日市病院)
  • 森本 剛(兵庫医科大学)
  • 島袋 充生(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は糖尿病患者における大血管障害予防に有効な最善の危険因子管理を見いだすことである。心血管ハイリスク糖尿病患者に焦点をあて、大規模コホート研究で、探索的にさまざまな治療法(各種糖尿病薬使用、非使用等や達成された血糖、血圧、脂質)の効果の比較を行う。
研究方法
前向きコホート研究で、対象は20歳以上の冠動脈疾患合併糖尿病患者。主要評価項目は死亡、心筋梗塞、脳卒中である。血糖、血圧、脂質の登録時および経過中の値と予後の関連、薬剤の使用,非使用と予後の関連などを解析した。
結果と考察
患者は6547 名、年齢は67歳、男性74%、糖尿病罹病期間はおよそ11年、急性冠症候群既往は43%、脳卒中既往は16%、PCI49%、CABG11%であった。登録時のHbA1cの平均値は7.3%,収縮期血圧は134mmHg、血清LDLコレステロール値は106mg/dlといずれもガイドライン推奨値をやや上回る程度であった。6547名の患者を中央値で1118日観察し、死亡、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中が1140例生じた。
登録時、観察期間中のHbA1c7%未満、以上と予後は関連しなかった。観察期間中のHbA1cで6%未満、6-7%(reference)、7-8%, 8%以上に分けて予後との関連を解析したが、6%未満群での死亡リスクが最も高かった。
結局,積極的な血糖の管理は予後に影響しない。ピオグリタゾンやメトフォルミンなどの糖尿病薬の使用,非使用は予後と関連する可能性がある。
結論
われわれの研究結果はハイリスクの冠動脈疾患合併糖尿病患者において、血糖値がガイドラインで提唱されているよりも低値であったとしてもかならずしもよい予後とは関連しないことを示唆する。また予後は薬剤の使用,非使用に関連することもある。
今後この結果を元に、ハイリスク糖尿病の危険因子管理について再考し、必要であればランダム化比較試験を実施して適切な指標を設定すべきである。

公開日・更新日

公開日
2015-09-11
更新日
-

文献情報

文献番号
201412024B
報告書区分
総合
研究課題名
ハイリスク糖尿病患者における糖尿病薬、血糖管理と大血管障害発症に関するComparative Effectiveness Research
研究課題名(英字)
-
課題番号
H24-循環器等(生習)-一般-013
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
植田 真一郎(琉球大学 医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 野出 孝一(佐賀大学 医学部)
  • 井上 卓(社会医療法人友愛会南部病院)
  • 松島 雅人(東京慈恵会医科大学)
  • 大屋 祐輔(琉球大学 医学研究科)
  • 川満 克紀(南部徳洲会病院)
  • 新崎 修(豊見城中央病院)
  • 仲田 清剛(社会医療法人敬愛会ちばなクリニック)
  • 佐田 政隆(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
  • 東 幸仁(広島大学原爆放射線医科学研究所)
  • 島田 健永(大阪市立大学大学院医学研究科)
  • 石橋 豊(島根大学医学部総合医療学講座)
  • 植田 育子(慶應義塾大学医学部)
  • 安藤 真一(九州大学病院睡眠時無呼吸センター)
  • 小松 龍士(大阪市立総合医療センター)
  • 香坂 俊(慶應義塾大学医学部)
  • 百村 伸一(自治医科大学さいたま医療センター)
  • 安 隆則(獨協医科大学日光医療センター)
  • 田口 晴之(大阪掖済会病院)
  • 門上 俊明(福岡県済生会二日市病院)
  • 森本 剛(兵庫医科大学)
  • 島袋 充生(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
冠動脈疾患合併糖尿病患者においてさまざまな治療法(糖尿病薬、血糖管理、他の危険因子の管理)の比較を、大規模患者レジストリをベースにした、新たな解析方法を取り入れたコホート研究で実施し、日本人での大血管障害の予防にとって最善の危険因子管理を探索的に見いだす。得られたエビデンスから早急にハイリスク糖尿病患者の予後の改善を図る。
研究方法
20歳以上の冠動脈疾患合併糖尿病患者を冠動脈造影による診断後連続登録しレジストリを構築する。後ろ向きコホート研究において血糖値や他の危険因子、さまざまな糖尿病薬の使用、非使用と死亡、脳卒中、心筋梗塞発生の関連を解析する。
結果と考察
登録時HbA1c7%以上の群と未満の群の間に、死亡、脳卒中、心筋梗塞の発生に関して差は無かった(補正したハザード比 0.990, 95%信頼区間 0.796,1.235,p=0.9)。また経過中のHbA1c 平均値に基づき、6%未満、6-7%,7-8%, 8%以上の4群に分け、それぞれのリスクを解析した。複合評価項目(HR1.52, p=0.0014)および死亡(HR 1.51, p=0.0077)、非致死性脳卒中のリスク(HR 1.72, p=0.048)は6%未満の群で有意に高かった。130mmHg未満の群と比べ、複合評価項目発症のリスクが21%高い(補正したハザード比1.211 95%信頼区間1.016,1.446, p=0.03)。130mmHg未満の群と比べ、複合評価項目発症のリスクが21%高い(補正したハザード比1.211 95%信頼区間1.016,1.446, p=0.03)。130mmHg未満の群と130-140mmHgの群の間には差を認めなかった。登録時の血清LDLコレステロール値100mg/dl未満と以上の群の間に死亡、心筋梗塞、脳卒中のリスクの差は認められなかった(ハザード比0.927 95%信頼区間0.754,1.141, p=0.5)。登録時のピオグリタゾンの使用、非使用群でのアウトカムを比較すると単変量解析ではハザード比0.59(95%信頼区間(0.458-0.755, p<0.0001)、多変量解析による補正後もハザード比0.53(95%信頼区間:0.354, 0.751 p=0.0002)と統計学的に有意なリスクの減少が認められた。登録時のメトフォルミンの使用、非使用群でのアウトカムを比較すると単変量解析ではハザード比0.76(95%信頼区間0.594-0.974, p=0.03)と有意なリスクの減少が認められたが、補正後リスク減少はハザード比0.86となり統計学的には有意ではなかった。(95%信頼区間0.615-1.183)。
結論
日本人冠動脈疾患合併糖尿病患者においては血糖値の低値はかならずしも予後の改善に関連せず、HbA1c6%未満ではむしろ死亡リスクが上がる。また薬剤が予後に影響する可能性もある。収縮期血圧も140mmHg以上は脳卒中死亡リスクが増大するが一方で120mmHg未満は死亡率が高い。これらの課題についてランダム化比較試験が必要である。

公開日・更新日

公開日
2015-09-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201412024C

収支報告書

文献番号
201412024Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,800,000円
(2)補助金確定額
7,800,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 858,882円
人件費・謝金 3,742,784円
旅費 1,389,100円
その他 9,286円
間接経費 1,800,000円
合計 7,800,052円

備考

備考
差額の52円は利息になります。

公開日・更新日

公開日
2015-10-16
更新日
-