文献情報
文献番号
201411038A
報告書区分
総括
研究課題名
難治癌を標的治療できる完全オリジナルのウイルス遺伝子医薬の実用化のための前臨床研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H24-実用化(がん)-一般-003
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
小戝 健一郎(鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
- 三井 薫(鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
- 入江 理恵(前薗 理恵) (鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
- 伊地知 暢広(鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
- 王 宇清(鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
- 小宮 節郎(鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
- 永野 聡(鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
- 夏越 祥次(鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
- 福崎 好一郎(株式会社 新日本科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
188,790,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究はSurv.m-CRA の臨床用のGMP製造、GLP基準での非臨床試験のデータ取得等を3年間で行い、平成27年度よりこの分野で本邦初の医師主導治験を開始することを目的とする。
研究方法
1.医師主導治験に使用する本ウイルスの治験薬の製造と品質・安定性試験など、2.前臨床(非臨床)試験、3.医師主導治験のための準備。
結果と考察
「本研究終了後の翌(平成27)年度に本邦初の癌遺伝子治療の医師主導治験を開始」という当初の研究計画通り本研究は以下のように順調に進んだ。1.医師主導治験に使用する本ウイルスの治験薬の製造と品質・安定性試験など①治験薬のGMP原薬の製造:医師主導治験に使用することを目的として本ウイルスのGMP原薬の製造をSAFC社に委託実施し製造した。②GMP原薬の品質試験:GMP原薬の力価、品質試験をSAFC社及びBioReliance社で実施し治験に使用する上で必要な品質が確保されていることを確認した。試験項目は以下のとおりである。安全性試験(細菌・真菌,エンドトキシン,マイコプラズマ,混入ウイルス等)、製造品の確認試験(制限酵素マッピング,GLP対応の全シークエンスの確認)、純度試験(宿主DNA・蛋白,Benzonaseなどの工程由来不純物の残存)、強度試験(本ウイルスの力価,粒子数,感染ウイルス純度)、活性/能力試験(本ウイルスの癌特異的なウイルス増殖能)、その他(外観,pH)。③GMP製剤の安定性試験:GMP製剤を製造し安定性試験を開始した。2.前臨床(非臨床)試験1)POC (Proof of Concept / Efficacy)試験①in vivo治療試験:マウスの骨肉腫モデルにおいて治験薬surv.m-CRA-1を用いた治療実験を行い有効性を確認した。2)安全性試験:この分野では実績のある英国のハンティンドンライフサイエンス(HLS)社に委託して行った。①ハムスター単回投与(静脈投与)による毒性試験(GLP):PMDAの助言に従い前年度までの皮下・筋肉投与と合わせてワーストケースシナリオを想定した静脈投与の毒性試験を実施した。②ハムスター単回ならびに反復投与(静脈投与)による薬物動態試験:上記の毒性試験と併せて薬物動態試験も実施した。3.医師主導治験のための準備:当局対応、大学の治験体制整備も以下のように進めた。1)PMDAとの相談<全体の方向性の相談:個別相談、事前相談>①2012年8月2日(個別面談)、②2012年11月26日(事前相談)、③2013年10月10日(事前相談)、④2014年6月24日(事前相談)本研究が3次公募で採択されてすぐにPMDAに個別面談を申し込み実施した。その後平成24,25,26年度に事前相談を着実に行いながら、製造・品質、非臨床試験、臨床プロトコールについての全体事項を適切に進捗させた。2014年6月24日の事前相談にて最終的な方向性ならびに正式な対面助言の進め方もPMDAと確認し製造・品質、非臨床試験、臨床プロトコールの3つを順次進めることとなり、そのスケジュールにしたがって適切に3つの対面助言を以下のように進めた。<製造・品質:対面助言等>①2014年10月2日(対面助言)、②2014年12月24日(事前相談:フォローアップ)製造・品質についてはPMDAとの意見相違はなく大きな問題はなかった。生物由来原料は全情報(CMOでの20年前位のMaster cell bank製造時の使用材料の情報等まで含めて)を一旦は情報入手を試みて欲しいこと、そしてその後に物理的に情報入手不可能な部分は適切性を説明していくという方向性の助言をPMDAより受けた。それに従い情報収集をしてフォローアップの事前相談も行い確認をとった。<非臨床試験:対面助言等>①2014年11月2日(対面助言)非臨床試験はPMDAの助言を受け入れて進めているため問題は何もなかった。<臨床プロトコール:対面助言等>①2014年11月11日(事前相談)、②2015年3月3日(対面助言)事前相談で方向性などは確認し3月3日に対面助言を実施し臨床プロトコールの全体像が確定した。2大学の治験体制整備;本学に臨床研究支援センターを平成26年度4月に設置し専従スタッフも配置した。よって協力している京都大学医学部附属病院臨床研究総合センターの支援ももらいながら本プロジェクトの本学での医師主導治験の支援体制も具体的に整備していった。
結論
独自開発のm-CRA(多因子で癌特異化する増殖制御型アデノウイルスベクター)作製技術を基盤に開発したSurv.m-CRAの医師主導治験開始に向けGMP製造、非臨床試験、ならびに当局対応を計画通り行った。平成27年度に医師主導治験を開始できる予定で順調に進捗している。
公開日・更新日
公開日
2015-09-08
更新日
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