小児の肉腫や脳腫瘍等に対するがんペプチドワクチン単剤療法の開発

文献情報

文献番号
201411032A
報告書区分
総括
研究課題名
小児の肉腫や脳腫瘍等に対するがんペプチドワクチン単剤療法の開発
課題番号
H23-実用化(がん)-一般-009
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
中面 哲也(国立がん研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 細野 亜古(国立がん研究センター)
  • 金田 英秀(国立がん研究センター)
  • 原 純一(大阪市立総合医療センター)
  • 真部 淳(聖路加国際大学)
  • 木下 義晶(九州大学)
  • 塩田 曜子(国立成育医療研究センター)
  • 孝橋 賢一(九州大学)
  • 佐藤 暁洋(国立がん研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
81,240,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児がんの中でも比較的対象も多く予後も不良な神経芽腫やユーイング肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫を対象に、GCPに準じた臨床試験体制の下で、薬事承認につなげるためのペプチドワクチン療法の第1相の医師主導治験を実施する。神経芽腫やユーイング肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫に高発現している3種類の抗原(KOC1、FOXM1、KIF20A)由来のがんペプチドカクテルワクチン療法の医師主導治験を実施し、科学的エビデンスを創出することを目的としており、当該ペプチドワクチンの大手製薬企業への導出、企業治験の実施、医薬品としての承認申請までの道のりを一気に短縮することを目指している。
研究方法
再発小児腫瘍を対象としたがんペプチドカクテルワクチン療法の第1相臨床試験医師主導治験を実施する。治癒の見込めない神経芽腫、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、横紋筋肉腫、骨肉腫患者に対するがん抗原KOC1、FOXM1、KIF20A由来のがんペプチドカクテルワクチン(NCCV Cocktail-1)の有害事象を評価し、用量制限毒性(Dose limiting toxicity:DLT)発現割合から推奨用量を決定する。国立がん研究センター中央病院、東病院、大阪市立総合医療センター、聖路加国際病院の4施設において治験を実施する。予定登録数はDLT評価対象が10例に達するまで。
結果と考察
平成26年度は、2例には投与を継続しながら、1年間経過を追跡し、全登録患者へのペプチドワクチン投与を終了した。1月19日に班会議を行い、副次的評価項目でもある有害事象について協議し、本治験薬と関連があるものとしては多くが注射部位反応であり、本治験薬の安全性については、特に問題なしと判断された。最後の2例(横紋筋肉腫、骨肉腫)において、第2寛解以降で評価病変がない患者にほぼ1年間再発がなく投与出来たことは今後の試験デザインの構築につながる結果と言える。一方で、かなり進行した患者には当該ペプチドワクチンの投与だけではなかなか満足のいく治療効果は得られないことも明らかとなった。今後のペプチドワクチン単剤の第2相試験の対象としては、進行がんではなく、第2寛解以降の患者を対象に開発を進めるべきと考えられた。
本研究の特色、独創的な点は、対象の小児がんに最も効果が期待できる組み合わせとして、成人のがん患者に既に投与実績があり、企業が成人がんを対象に開発中である3種類の抗原ペプチドを選択して組み合わせたペプチドカクテルワクチンを用いる点であり、本治験で期待できる成果が得られた場合は、即座に企業治験に移行したいという希望があった。残念ながら即座に企業治験に移行できるほどの劇的な効果は得られなかったが、今回のカクテルワクチンの安全性は確立し、引き続き開発を進める方針となった。本研究結果をベースにして、今後も引き続き質の高い臨床試験を遂行し、科学的エビデンスを創出することで、小児がんにおけるがんペプチドワクチンの迅速な創薬化を実現し、がん患者のQOL・予後の改善、医療費の削減など保健医療への多大な貢献につなげたい。
結論
小児がんの中でも比較的対象も多く予後も不良な神経芽腫やユーイング肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫を対象に、それらのがんに高発現している3種類の抗原(KOC1、FOXM1、KIF20A)由来のペプチドを用いて、GCPに準じた臨床試験体制の下で、薬事承認につなげるためのペプチドワクチン療法の第1相の医師主導治験を実施した。計12例登録し、うちDLT評価対象の10例全例でDLT無が確認され、本治験の主要評価項目であるDLT評価の目的は達成した。最後の2例(横紋筋肉腫、骨肉腫)において、第2寛解以降で評価病変がない患者にほぼ1年間再発がなく投与出来たことは今後の試験デザインの構築につながる結果と言える。一方で、かなり進行した患者には当該ペプチドワクチンの投与だけではなかなか満足のいく治療効果は得られないことも明らかとなった。今後のペプチドワクチン単剤の第2相試験の対象としては、進行がんではなく、第2寛解以降の患者を対象に開発を進めるべきと考えられた。

公開日・更新日

公開日
2015-09-08
更新日
-

文献情報

文献番号
201411032B
報告書区分
総合
研究課題名
小児の肉腫や脳腫瘍等に対するがんペプチドワクチン単剤療法の開発
課題番号
H23-実用化(がん)-一般-009
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
中面 哲也(国立がん研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 細野 亜古(国立がん研究センター)
  • 金田 英秀(国立がん研究センター)
  • 原 純一(大阪市立総合医療センター)
  • 真部 淳(聖路加国際大学)
  • 木下 義晶(九州大学)
  • 塩田 曜子(国立成育医療研究センター)
  • 孝橋 賢一(九州大学)
  • 佐藤 暁洋(国立がん研究センター)
  • 金森 豊(国立成育医療研究センター)
  • 吉村 健一(神戸大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 【補助金】 がん対策推進総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児がんの中でも比較的対象も多く予後も不良な神経芽腫やユーイング肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫を対象に、GCPに準じた臨床試験体制の下で、薬事承認につなげるためのペプチドワクチン療法の第1相の医師主導治験を実施する。神経芽腫やユーイング肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫に高発現している3種類の抗原(KOC1、FOXM1、KIF20A)由来のがんペプチドカクテルワクチン療法の医師主導治験を実施し、科学的エビデンスを創出することを目的としており、当該ペプチドワクチンの大手製薬企業への導出、企業治験の実施、医薬品としての承認申請までの道のりを一気に短縮することを目指している。
研究方法
再発小児腫瘍を対象としたがんペプチドカクテルワクチン療法の第1相臨床試験医師主導治験を実施する。治癒の見込めない神経芽腫、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、横紋筋肉腫、骨肉腫患者に対するがん抗原KOC1、FOXM1、KIF20A由来のがんペプチドカクテルワクチン(NCCV Cocktail-1)の有害事象を評価し、用量制限毒性(Dose limiting toxicity:DLT)発現割合から推奨用量を決定する。国立がん研究センター中央病院、東病院、大阪市立総合医療センター、聖路加国際病院の4施設において治験を実施する。予定登録数はDLT評価対象が10例に達するまで。
結果と考察
平成23年度は、当該臨床試験を治験で実施する手続きを進め、薬事戦略相談を行った。平成24年度は、追加を要求された非臨床試験の実施に時間がかかったものの、国立がん研究センターならびに大阪市立総合医療センターの倫理審査委員会に24年12月末に承認を得た後、25年1月初めに治験開始届を提出して、25年3月に症例登録を開始した。平成25年度は、聖路加国際病院も実施施設として追加し、治験開始が遅れた分を取り戻せるよう、迅速な症例登録により早期の症例登録終了を目指した。25年度内に計12例登録し、うちDLT評価対象の10例全例でDLT無が確認され、本治験の主要評価項目であるDLT評価の目的を達成して、症例登録が完了した。治験開始が遅れた分を迅速な症例登録でなんとか挽回できたと言える。平成26年度は、2例には投与を継続しながら、1年間経過を追跡し、全登録患者へのペプチドワクチン投与を終了した。班会議で副次的評価項目でもある有害事象について協議し、本治験薬と関連があるものとしては多くが注射部位反応であり、本治験薬の安全性については、特に問題なしと判断された。最後の2例(横紋筋肉腫、骨肉腫)において、第2寛解以降で評価病変がない患者にほぼ1年間再発がなく投与出来たことは今後の試験デザインの構築につながる結果と言える。一方で、かなり進行した患者には当該ペプチドワクチンの投与だけではなかなか満足のいく治療効果は得られないことも明らかとなった。今後のペプチドワクチン単剤の第2相試験の対象としては、進行がんではなく、第2寛解以降の患者を対象に開発を進めるべきと考えられた。
本治験で期待できる成果が得られた場合は、即座に企業治験に移行したいという希望があった。残念ながら即座に企業治験に移行できるほどの劇的な効果は得られなかったが、今回のカクテルワクチンの安全性は確立し、引き続き開発を進める方針となった。本研究結果をベースにして、今後も引き続き質の高い臨床試験を遂行し、科学的エビデンスを創出することで、小児がんにおけるがんペプチドワクチンの迅速な創薬化を実現し、がん患者のQOL・予後の改善、医療費の削減など保健医療への多大な貢献につなげたい。
結論
小児がんの中でも比較的対象も多く予後も不良な神経芽腫やユーイング肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫を対象に、それらのがんに高発現している3種類の抗原(KOC1、FOXM1、KIF20A)由来のペプチドを用いて、GCPに準じた臨床試験体制の下で、薬事承認につなげるためのペプチドワクチン療法の第1相の医師主導治験を実施した。計12例登録し、うちDLT評価対象の10例全例でDLT無が確認され、本治験の主要評価項目であるDLT評価の目的は達成した。最後の2例(横紋筋肉腫、骨肉腫)において、第2寛解以降で評価病変がない患者にほぼ1年間再発がなく投与出来たことは今後の試験デザインの構築につながる結果と言える。一方で、かなり進行した患者には当該ペプチドワクチンの投与だけではなかなか満足のいく治療効果は得られないことも明らかとなった。今後のペプチドワクチン単剤の第2相試験の対象としては、進行がんではなく、第2寛解以降の患者を対象に開発を進めるべきと考えられた。

公開日・更新日

公開日
2015-09-08
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-09-08
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201411032C

収支報告書

文献番号
201411032Z