アカデミック臨床研究機関(ARO)によるプロジェクト管理型Investigator Initiated Trial(IIT)

文献情報

文献番号
201409056A
報告書区分
総括
研究課題名
アカデミック臨床研究機関(ARO)によるプロジェクト管理型Investigator Initiated Trial(IIT)
研究課題名(英字)
-
課題番号
H24-実用化(国際)-指定-005
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
花岡 英紀(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 桑原 聡(千葉大学大学院医学研究院)
  • 羽田 明(千葉大学大学院医学研究院)
  • 高橋 和久(千葉大学大学院医学研究院)
  • 岡本 美孝(千葉大学大学院医学研究院)
  • 本橋 新一郎(千葉大学大学院医学研究院)
  • 山本 修一(千葉大学大学院医学研究院)
  • 松原 久裕(千葉大学大学院医学研究院)
  • 横手 幸太郎(千葉大学大学院医学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【補助金】 医療技術実用化総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
75,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
臨床試験の実施において、ICH-GCP水準の試験による信頼性の高いデータの確保が重要となる。臨床研究中核病院整備事業にて構築したアカデミア臨床研究機関(Academic research organization,以下ARO)によるプロジェクト管理の上でICH-GCPに準拠した臨床研究及び医師主導治験等のInvestigator Initiated Trialを実施し、承認申請の評価に耐えうる明確な成果及び質の高いエビデンスを世界に発信し、新規治療法を国民へ還元する。
研究方法
本研究では、医師主導治験、先進医療、ARO主導国際共同試験、創薬の計9試験を実施する。なお、研究実施にあたっては関連法令を遵守し被験者から自由意思による文書同意を得た上で実施する。
結果と考察
POEMS症候群の移植前サリドマイド治療は、目標症例数の10例を登録、満了し、例をカットオフデータとして、結果を集計した。
重症川崎病を対象としたシクロスポリンの有効性に関する試験は、4月に治験届を提出、5月より治験を開始した。平成27年1月現在27例の登録であった。症例登録促進対策として、関係学会にてブース展示を行い、併せてInvestigator Meetingを開催した。
急性脊髄損傷に対するG-CSFを用いた臨床試験は、平成25年度にPMDA薬事戦略事前面談で、医師主導治験の実施を推奨されたため、企業を含め再検討を行った。企業とは、プラセボを含む治験薬提供で合意した。6月にPMDAの薬事戦略相談対面助言を受け、フォローアップ面談を9月に実施した。10月に日本医師会治験促進センターに医師主導治験の研究申請を行い、11月に採択された。現在、施設を選定中である。
非小細胞肺癌に対するNKT細胞を用いた免疫細胞療法は、先進医療として継続して実施し、本年度は11例の登録を行った。原病悪化による中止例があったが、本年度細胞投与を実施した症例に重篤な有害事象の発生を認めなかった。
頭頸部扁平上皮癌に対するNKT細胞を用いた免疫細胞治療は、先進医療として継続して実施した。本年度は8例の登録を行い、全症例で重篤な有害事象の発生を認めなかった。
ACSに対する新規作用薬物治療では、日本における開発戦略を再考することとなったため、海外における試験の進捗を鑑み、治験薬の安全性を確認しながら準備を進めることとした。
網膜色素変性症に対するウノプロストンの試験は、プラセボ対照比較試験期の被験者観察を終え、症例検討会を実施した。
裂孔原性網膜剥離に対するウノプロストンの試験は、平成25年2月にPMDA薬事戦略個別面談での指摘を受け、主要評価項目の根拠となる疫学データの収集と解析を行うとともに、企業を交え開発戦略・開発方針に関し確認した。
高度進行食道癌に対する樹状細胞を用いた免疫細胞治療は、4症例の登録を行った。登録した1例に重篤な有害事象を認めたが、他3例では安全に遂行可能であった。
家族性LCAT欠損症に対する遺伝子治療は、治験実施に向けた実施体制確立のため、まず患者数把握を目的として腎臓内科を専門とする診療機関へのアンケート調査を実施した。本症に合致する症例はなかったが、2施設から症例の照会があり、変異解析を実施した。また、定期的にミーティングを開催し、情報共有・実施体制の構築を進めた。増設したCPC1ユニットの移植用細胞のGMP製造・品質管理実施体制を整備し、CPCのP2申請、遺伝子組換え実験申請を行った。患者移植細胞の免疫不全マウスへの移植とクローナリティ解析について、製造した細胞と遺伝子を過剰に導入した細胞についての評価系を確立した。その結果、現状の方法により製造した細胞、過剰導入した細胞ともに異常所見は認められなかった。
医師主導治験、先進医療、創薬(POC試験立案に向けての準備)につき、概ね当初の予定通り進行した。ARO主導国際共同試験に関してはグローバル企業内で開発戦略について再検討が行われており、一時中断をしていたが再開が決定した。ARO組織構築及び人材育成も進み、モニタリング、データマネジメント、プロジェクトマネジメント等各人材を有効に配置できたと考える。
結論
各プロジェクトについて、概ね当初の予定どおり進行した。次年度は経験者や若手の増員が予定されており、細部にわたる組織構築に臨む。また教育カリキュラムを充実し、人材のスキルアップを図る所存である。

公開日・更新日

公開日
2017-07-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2016-05-13
更新日
-

収支報告書

文献番号
201409056Z