重症虚血性心疾患に対する低出力体外衝撃波治療法の開発

文献情報

文献番号
201409026A
報告書区分
総括
研究課題名
重症虚血性心疾患に対する低出力体外衝撃波治療法の開発
研究課題名(英字)
-
課題番号
H24-被災地域-指定-011
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 健太(東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 下川 宏明(東北大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【補助金】 医療技術実用化総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
29,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国では、高齢化や生活の欧米化のため、従来の治療法では十分な効果が得られない重症例や複数の疾患を合併する症例が増えている。そのため低侵襲で身体的負担が少なく、かつ有効性の高い新しい治療法が期待されている。私達は、低出力(尿路結石破砕治療に用いる出力の約10%)の衝撃波を用いた侵襲性の低い血管新生療法を開発し、重症狭心症を対象にした基礎研究・臨床試験を行い、その有効性と安全性を確認し論文発表してきた。これらの成果をもとに私達が申請した「重症虚血性心疾患に対する低出力体外衝撃波治療法」は、平成22年7月に第3項先進医療(現在の先進医療B)として承認され、同年10月から先進医療としての治療(臨床試験)を行っている。今回の申請では、治験あるいは薬事承認申請に向けたデータ収集を加速することを目的とする。
研究方法
冠動脈カテーテルインターベンション(PCI)や冠動脈バイパス手術(CABG)の適応とならない重症安定狭心症患者、いわゆる『No-option症例』を対象に低出力体外衝撃波治療を行い、3ヵ月後に評価を行う。予定症例数は50名とする。
結果と考察
平成26年度は、東北大学病院と石川県立中央病院に加えて、藤田保健衛生大学病院が協力医療機関として承認され、実施施設は3施設となった。3施設において、重症狭心症症例6例に対して衝撃波治療を行い、平成26年度までの総数は32例となった。東北大学病院の症例のうち、3カ月後の評価を終了している16例の自覚症状については、狭心症重症度分類であるCCSクラススコアは有意に改善し(2.7±0.5→1.8±0.7, P<0.0001)、ニトログリセリン使用頻度も有意に改善した(3.8±1.1→0.7±0.5, P<0.01)。研究期間については、当初、平成27年3月までであったが、東日本大震災の影響もあり症例登録が遅れているため、平成29年3月まで2年間の延長を厚生労働省へ申請し承認された。初期症例の成績から、低出力体外衝撃波治療の有効性が示唆された。
結論
低出力体外衝撃波治療は、PCIやCABGの適応とならない、いわゆる『No-option』の狭心症症例に対する新しい治療法として期待される。今後、症例数を重ねてデータ収集を加速し、有効性・安全性についてさらに検証を行う。

公開日・更新日

公開日
2015-06-09
更新日
-

収支報告書

文献番号
201409026Z