重症心不全を対象とする脂肪組織由来多系統前駆細胞による心筋再生細胞医薬品の開発

文献情報

文献番号
201409003A
報告書区分
総括
研究課題名
重症心不全を対象とする脂肪組織由来多系統前駆細胞による心筋再生細胞医薬品の開発
課題番号
H24-臨研推-一般-002
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
松山 晃文(国立大学法人大阪大学 臨床医工学融合研究教育センター)
研究分担者(所属機関)
  • 早川 堯夫(近畿大学 薬学総合研究所)
  • 宮川 繁(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科 心臓血管外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【補助金】 医療技術実用化総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
重症心不全を適応症とする経冠動脈的投与再生医療等製品に特化した評価指標はなく、研究開発に逡巡を与えるものだった。本研究により、開発者側から詳細な基準を提示することを目標とする。
研究方法
本研究分担者である早川堯夫らが主体となった作成したいわゆる平成24年5指針をベースに、重症心不全を適応症とする経冠動脈的投与再生医療等製品に関する評価指標に特化して詳細な基準を提示することとする。
(倫理面への配慮)
1. 非臨床試験(研究)において遺伝子改変動物、プラスミドDNA あるいは遺伝子導入ウイルス等を用いる場合は、使用に際して遺伝子組み換え生物などの使用等の規制による生物多様性の確保に関する法律、カルタヘナ条約等各種法令・告示・通知に基づき研究を実施する。
2. 動物操作に当たっては、(独)医薬基盤研究所の動物実験規定に従って行なう。
3. 臨床試研究の実施にあっては、計画書(プロトコール)に関して医学倫理委員会での承認を受け、本人の書面によるinformed consent を取得した患者のみを対象とする。
結果と考察
生物由来原料基準適合性の確認に加え、製造工程の頑健性とその恒常性は、治験のみならず、製造販売承認後にも重要な課題である。本研究で、原材料としての脂肪組織の有用性が再認識された。今後は、verificationによる検証を進めるべきであろう。
結論
本研究をもとに、薬事戦略相談対面助言戦確 P31 を実施した。品質に関しては概ね治験開始可能水準となった。今後、すみやかな治験届提出にすすみたい。

公開日・更新日

公開日
2015-05-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2016-01-28
更新日
-

文献情報

文献番号
201409003B
報告書区分
総合
研究課題名
重症心不全を対象とする脂肪組織由来多系統前駆細胞による心筋再生細胞医薬品の開発
課題番号
H24-臨研推-一般-002
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
松山 晃文(国立大学法人大阪大学 臨床医工学融合研究教育センター)
研究分担者(所属機関)
  • 早川 堯夫(近畿大学 薬学総合研究所)
  • 宮川 繁(国立大学法人大阪大学 大学院医学系研究科 心臓血管外科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【補助金】 医療技術実用化総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
重篤な虚血性心疾患・心筋梗塞症例に選択される冠動脈バイパス術によっても、残存心筋細胞の枯渇により治療効果が得られない症例が存在する。これまで、これら重症心不全を対象疾患とし、経冠動脈的投与脂肪組織由来多系統前駆細胞を細胞医薬品として開発するため研究開発を実施してきた。本研究の到達点は治験届package構築であり、その概要版としてスペルミン加培養脂肪組織由来多系統前駆細胞試験物概要書を提示することを目的とする。
研究方法
平成24年度から平成26年度までに実施した有効性試験、非臨床安全性試験、ならびに品質にかかるpartを統合し、試験物概要書とする。
(倫理面への配慮)
1. 非臨床試験(研究)において遺伝子改変動物、プラスミドDNA あるいは遺伝子導入ウイルス等を用いる場合は、使用に際して遺伝子組み換え生物などの使用等の規制による生物多様性の確保に関する法律、カルタヘナ条約等各種法令・告示・通知に基づき研究を実施する。
2. 動物操作に当たっては、(独)医薬基盤研究所の動物実験規定に従って行なう。
3. 臨床試研究の実施にあっては、計画書(プロトコール)に関して医学倫理委員会での承認を受け、本人の書面によるinformed consentを取得した患者のみを対象とする。
結果と考察
わが国の心不全による年間死亡数は約4万3千人、特に末期的重症心不全にあっては1年死亡率が75%であり、その多くが末期虚血性心疾患に起因する。最も重篤な虚血性心疾患・心筋梗塞症例に選択される冠動脈バイパス術によっても、残存心筋細胞の枯渇により治療効果が得られない症例があり、その多数は年齢制限(65歳未満)により心臓移植待機リストに掲載されさえしない。本研究により開発してきた再生医療等製品は、冠動脈バイパス術で十分な治療効果が得られない症例(poor-responder)を適応症とする経冠動脈的に投与する再生細胞治療医薬品であって、新規間葉系幹細胞である脂肪組織由来多系統前駆細の有するin situ differentiation能をConfidence-in-Mechanism(CIM)としたin situ stem cell therapyである。本研究期間の集大成としての試験物概要書は、低分子化合物のようなでは非臨床試験パッケージがないために大手企業が手を出せなかった再生細胞医薬品に関して、非臨床動物試験(毒性試験・安全性薬理試験・体内動態試験:ADMET)を含む非臨床試験パッケージの提案そのものとなっている。
結論
重篤な虚血性心疾患・心筋梗塞症例に選択される冠動脈バイパス術によっても、残存心筋細胞の枯渇により治療効果が得られない症例が存在する。これまで、これら重症心不全を対象疾患とし、経冠動脈的投与脂肪組織由来多系統前駆細胞を細胞医薬品として開発するため研究開発を実施してきた。本研究の到達点は治験届package構築であり、平成24年度から平成26年度までに実施した有効性試験、非臨床安全性試験、ならびに品質にかかるpartを統合し、試験物概要書としてスペルミン加培養脂肪組織由来多系統前駆細胞試験物概要書を提示した。本研究成果として提示することで、今後多くの再生医療等製品が開発され、多くの国民を救うと信じている。

公開日・更新日

公開日
2015-06-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2016-01-28
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201409003C

成果

専門的・学術的観点からの成果
脂肪組織由来多系統前駆細胞をポリアミン添加培養することで、心筋細胞系譜へとcommitmentすることを見出し、当該細胞が経冠動脈的投与にて心筋組織内で心筋細胞として分化生着することを見出した。この知見をもとに、in situ reprogrammingとの概念を世界に先駆けて提唱した。iPS細胞などを用いる再生医療でも、拍動する心筋細胞を移植しても効果がなく、前駆細胞が委嘱されて始めて効果が発現することから、in situ reprogrammingとの概念は幅広く受けいれられつつある。
臨床的観点からの成果
これまでの心疾患治療再生医療研究開発は、外科医によってなされてきた。細胞シートも開胸して移植するものであり、直接心筋注射製剤も先天心疾患手術時に併用して行うものである。本研究開発では、内科医が心臓カテーテルの技術を駆使することで、重症心不全治療を可能とするということに臨床意義があり、心臓血管外科医がいない地方病院であっても再生医療の福音を教授できるという点で、臨床的意義は大きい。
ガイドライン等の開発
本研究の成果をもとに、「経冠動脈的投与再生医療等製品の審査評価ガイドライン(案)」を提唱し、PMDAおよび厚生労働省審査管理課参事官室に情報提供している。
その他行政的観点からの成果
該当無し
その他のインパクト
神戸新聞、日経産業新聞に取り上げられた。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
11件
その他論文(和文)
4件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
20件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
1件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
その他成果(普及・啓発活動)
1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-16
更新日
2019-05-21

収支報告書

文献番号
201409003Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
39,000,000円
(2)補助金確定額
39,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 29,661,096円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 338,904円
間接経費 9,000,000円
合計 39,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2016-01-28
更新日
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