文献情報
文献番号
201407027A
報告書区分
総括
研究課題名
BIM遺伝子多型に起因するEGFR変異肺がんのEGFRチロシンキナーゼ阻害薬耐性をボリノスタット併用で克服する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H25-創薬-一般-005
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
矢野 聖二(金沢大学 がん進展制御研究所)
研究分担者(所属機関)
- 萩原 弘一(埼玉医科大学 医学部)
- 長谷川 好規(名古屋大学 医学部)
- 高橋 利明(静岡県立静岡がんセンター)
- 井上 彰(東北大学 附属病院 )
- 西岡 安彦(徳島大学 ヘルスバイオサイエンス研究部 )
- 片上 信之(公益財団法人先端医療振興財団 先端医療センター病院 )
- 里内 美弥子(兵庫県立がんセンター)
- 安藤 昌彦(名古屋大学 医学部附属病院 )
- 清水 忍(名古屋大学 医学部附属病院 )
- 藤原 忠美(名古屋大学 医学部附属病院 )
- 竹内伸司(金沢大学 がん進展制御研究所)
- 長瀬 克彦(金沢大学 附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【補助金】 創薬基盤推進研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
39,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
目的は、BIM遺伝子多型に起因した耐性症例の臨床的特徴を明らかにすること、およびEGFR-TKIに耐性となったBIM遺伝子多型陽性のEGFR変異肺がんを対象にゲフィチニブ+ボリノスタット併用の第1相試験により安全性プロファイルを明らかにし、最大耐容量を決定することである。
研究方法
1. BIM遺伝子多型を有するEGFR変異肺がんの臨床的特徴を明らかにする前向き研究 (PEOPLE-J)
新たにEGFR-TKI治療を受けるEGFR変異肺がん400例(約51例のBIM遺伝子多型陽性が見込まれる)において、末梢血を用いBIM遺伝子多型を測定し、ゲフィチニブの奏効性や生存期間との相関を前向きに検討する。
2. BIM遺伝子多型を有しEGFR-TKI耐性を示すEGFR変異肺がんに対するゲフィチニブ+ボリノスタット併用の多施設共同臨床第I相試験 (VICTORY-J)
BIM遺伝子多型陽性のEGFR変異肺がんで、EGFR-TKIおよび殺細胞性抗がん剤治療に抵抗性を示した患者に対し、ゲフィチニブ(250mg/日、連日)+ボリノスタット(200mg, 300mg, あるいは400mg/日、7日間服薬、7日間休薬)の治療による第1相試験を医師主導治験として行い、安全性を評価し最大耐容量を決定する。
新たにEGFR-TKI治療を受けるEGFR変異肺がん400例(約51例のBIM遺伝子多型陽性が見込まれる)において、末梢血を用いBIM遺伝子多型を測定し、ゲフィチニブの奏効性や生存期間との相関を前向きに検討する。
2. BIM遺伝子多型を有しEGFR-TKI耐性を示すEGFR変異肺がんに対するゲフィチニブ+ボリノスタット併用の多施設共同臨床第I相試験 (VICTORY-J)
BIM遺伝子多型陽性のEGFR変異肺がんで、EGFR-TKIおよび殺細胞性抗がん剤治療に抵抗性を示した患者に対し、ゲフィチニブ(250mg/日、連日)+ボリノスタット(200mg, 300mg, あるいは400mg/日、7日間服薬、7日間休薬)の治療による第1相試験を医師主導治験として行い、安全性を評価し最大耐容量を決定する。
結果と考察
1. BIM遺伝子多型を有するEGFR変異肺がんの臨床的特徴を明らかにする前向き研究 (PEOPLE-J)
平成27年3月末までに、金沢大学をはじめとする20施設において施設倫理委員会の承認を得て、症例登録を開始した。平成28年3月末までに400症例を登録する予定であったが、平成27年3月31日までに340例の登録を完了した。うち287例の多型解析を終了し、32例(11.0%) のBIM遺伝子多型陽性症例を検出した。PEOPLE-Jは予定を上回るペースで進んでいるため、目標症例数を200例追加し、600例に変更した。
2. BIM遺伝子多型を有しEGFR-TKI耐性を示すEGFR変異肺がんに対するゲフィチニブ+ボリノスタット併用の多施設共同臨床第I相試験 (VICTORY-J)
PMDAへの治験届提出を平成5月15日に行った。金沢大学附属病院に治験調整事務局を設置し、5月29日に監査を受け治験実施体制整備を完了した。5月30日に治験情報登録(NCT02151721) を行った。6月1日より医師主導治験を開始し、6月17日に1例目の治療を名古屋大学において開始した。2コース終了時までの治療の安全性情報確認も完了した。6コースまで治療を継続し、重篤な有害事象は発生せず、治療を終了した。平成27年3月31日に2例目の同意を得て、登録への準備を完了した。また、PEOPLE-JにおいてBIM遺伝子多型陽性症例を7例同定している先端医療センター病院をVICTORY-Jの治療施設として追加した。さらに、平成27年11月14日に班会議を開催し、PEOPLE-JおよびVICTORY-Jの登録状況等について情報を共有するとともに、登録促進の対策を議論した。
3. 新規薬剤のBIM遺伝子多型に起因したEGFR-TKI耐性克服効果の基礎的検討:
in vitroの実験系においてボリノスタットより耐性克服効果の高い3つの薬剤を同定し、新たな特許出願(特願2014-176674号)を行った。
PEOPLE-Jにおいては、予想を上回るペースで症例登録が進んだが、その要因としては協力施設の担当医の熱意に加え、試験登録に必要な検体が末梢血5mlのみであることも関与していると思われる。
医師主導治験(VICTORY-J)の症例登録は、1例目の登録後時間を要したが、その主な要因はBIM遺伝子多型陽性例が少なかったためではなく、BIM遺伝子多型陽性EGFR変異症例において前治療(殺細胞性抗がん剤あるいはEGFR-TKI)での病勢進行を待たざるを得なかったためである。H27年3月末になりVICTORY-Jの適格基準を満たす症例が相次いで出てきたため、H27年度には症例集積が進むものと期待される。
平成27年3月末までに、金沢大学をはじめとする20施設において施設倫理委員会の承認を得て、症例登録を開始した。平成28年3月末までに400症例を登録する予定であったが、平成27年3月31日までに340例の登録を完了した。うち287例の多型解析を終了し、32例(11.0%) のBIM遺伝子多型陽性症例を検出した。PEOPLE-Jは予定を上回るペースで進んでいるため、目標症例数を200例追加し、600例に変更した。
2. BIM遺伝子多型を有しEGFR-TKI耐性を示すEGFR変異肺がんに対するゲフィチニブ+ボリノスタット併用の多施設共同臨床第I相試験 (VICTORY-J)
PMDAへの治験届提出を平成5月15日に行った。金沢大学附属病院に治験調整事務局を設置し、5月29日に監査を受け治験実施体制整備を完了した。5月30日に治験情報登録(NCT02151721) を行った。6月1日より医師主導治験を開始し、6月17日に1例目の治療を名古屋大学において開始した。2コース終了時までの治療の安全性情報確認も完了した。6コースまで治療を継続し、重篤な有害事象は発生せず、治療を終了した。平成27年3月31日に2例目の同意を得て、登録への準備を完了した。また、PEOPLE-JにおいてBIM遺伝子多型陽性症例を7例同定している先端医療センター病院をVICTORY-Jの治療施設として追加した。さらに、平成27年11月14日に班会議を開催し、PEOPLE-JおよびVICTORY-Jの登録状況等について情報を共有するとともに、登録促進の対策を議論した。
3. 新規薬剤のBIM遺伝子多型に起因したEGFR-TKI耐性克服効果の基礎的検討:
in vitroの実験系においてボリノスタットより耐性克服効果の高い3つの薬剤を同定し、新たな特許出願(特願2014-176674号)を行った。
PEOPLE-Jにおいては、予想を上回るペースで症例登録が進んだが、その要因としては協力施設の担当医の熱意に加え、試験登録に必要な検体が末梢血5mlのみであることも関与していると思われる。
医師主導治験(VICTORY-J)の症例登録は、1例目の登録後時間を要したが、その主な要因はBIM遺伝子多型陽性例が少なかったためではなく、BIM遺伝子多型陽性EGFR変異症例において前治療(殺細胞性抗がん剤あるいはEGFR-TKI)での病勢進行を待たざるを得なかったためである。H27年3月末になりVICTORY-Jの適格基準を満たす症例が相次いで出てきたため、H27年度には症例集積が進むものと期待される。
結論
BIM遺伝子多型に起因した耐性症例の臨床的特徴を明らかにする試験、およびEGFR-TKIに耐性となったBIM遺伝子多型陽性のEGFR変異肺がんを対象にゲフィチニブ+ボリノスタット併用の第1相試験を開始した。H27年度にはさらに症例集積を進め、試験を完了する予定である。
公開日・更新日
公開日
2015-06-18
更新日
-