文献情報
文献番号
201406017A
報告書区分
総括
研究課題名
再生アソシエイト細胞によるiPS細胞移植時の免疫寛容治療研究
課題番号
H25-実用化(再生)-一般-006
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
浅原 孝之(東海大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 福嶌 五月(大阪大学 医学部)
- 田中 里佳(順天堂大学 医学部)
- 増田 治史(大阪大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 【補助金】 再生医療実用化研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
平成26年度まで参加していた順天堂大学の田中里佳先生は、最終年度の分担研究者は担当しないことになった。臨床患者サンプル研究は東海大学で引き続き解析を続ける。
研究報告書(概要版)
研究目的
移植治療研究の基盤が整えられ臨床応用への道が開けてきたが、iPS細胞由来組織作製技術の進捗に較べ、移植時におけるiPS組織生着・機能化を図る技術が未開発のままである。近年本研究室で、血液単核球の血管再生コンディション培養によって、血管再生細胞EPCの増幅とともに、マクロファージ・Tリンパ球の「再生型」への変換が進み、免疫寛容細胞の出現を確認した。そこで、本プロジェクトではこの「再生アソシエイト細胞」と命名された細胞群による免疫抑制効果について、以下の2つの視点で研究を進める。
1)再生アソシエイト細胞の制御性T細胞による免疫寛容効果
2)「再生型」組織環境における抗炎症・血管再生を伴った免疫抑制作用
この免疫寛容作用は、バンクiPS細胞を用いた再生治療のための移植免疫制御の効果が期待できるとともに、移植細胞の生着・機能化に大きく貢献できる。
1)再生アソシエイト細胞の制御性T細胞による免疫寛容効果
2)「再生型」組織環境における抗炎症・血管再生を伴った免疫抑制作用
この免疫寛容作用は、バンクiPS細胞を用いた再生治療のための移植免疫制御の効果が期待できるとともに、移植細胞の生着・機能化に大きく貢献できる。
研究方法
課題①:再生アソシエイト細胞移植の免疫寛容研究
再生アソシエイト細胞の免疫寛容効果を研究し、同種・異種移植実験によって病変部での免疫寛容効果および抗炎症・血管再生効果を探索し、再生アソシエイト細胞移植治療の基盤メカニズムを以下の課題研究で明らかにする。
(1)再生アソシエイト細胞の獲得免疫反応に対する免疫寛容効果のin vitro研究
(2)再生アソシエイト細胞(同種同系)移植実験
課題②:iPS組織移植のための再生アソシエイト細胞免疫寛容研究
iPSバンクのHLA matchingでのiPS組織移植を想定し、再生アソシエイト細胞の免疫寛容作用の実用化について検討する。すでに骨髄細胞での免疫寛容研究を進めている大阪大学のチームとの共同研究で以下の課題を進める。
(1) マウスiPS移植における再生アソシエイト細胞同種異系移植の免疫寛容作用の研究
(2)マウスiPS由来心筋細胞シート移植における再生アソシエイト細胞同種異系移植の免疫寛容作用の研究
課題③:再生アソシエイト細胞基盤・応用研究
(1)再生アソシエイト細胞免疫寛容メカニズムの最適化研究
各因子を用いた再生アソシエイト細胞培養法における、末梢血EPC・単球Mp・Tリンパ球それぞれの表現型の変化を確認し、培養を最適化する開発研究を進める。
(2)臨床再生アソシエイト細胞培養開発
臨床患者サンプルで、培養試験を行う。
再生アソシエイト細胞の免疫寛容効果を研究し、同種・異種移植実験によって病変部での免疫寛容効果および抗炎症・血管再生効果を探索し、再生アソシエイト細胞移植治療の基盤メカニズムを以下の課題研究で明らかにする。
(1)再生アソシエイト細胞の獲得免疫反応に対する免疫寛容効果のin vitro研究
(2)再生アソシエイト細胞(同種同系)移植実験
課題②:iPS組織移植のための再生アソシエイト細胞免疫寛容研究
iPSバンクのHLA matchingでのiPS組織移植を想定し、再生アソシエイト細胞の免疫寛容作用の実用化について検討する。すでに骨髄細胞での免疫寛容研究を進めている大阪大学のチームとの共同研究で以下の課題を進める。
(1) マウスiPS移植における再生アソシエイト細胞同種異系移植の免疫寛容作用の研究
(2)マウスiPS由来心筋細胞シート移植における再生アソシエイト細胞同種異系移植の免疫寛容作用の研究
課題③:再生アソシエイト細胞基盤・応用研究
(1)再生アソシエイト細胞免疫寛容メカニズムの最適化研究
各因子を用いた再生アソシエイト細胞培養法における、末梢血EPC・単球Mp・Tリンパ球それぞれの表現型の変化を確認し、培養を最適化する開発研究を進める。
(2)臨床再生アソシエイト細胞培養開発
臨床患者サンプルで、培養試験を行う。
結果と考察
1. 課題①:再生アソシエイト細胞移植の免疫寛容研究
【①-1】in vitro免疫抑制効果の判定(東海大学)
in vivo移植実験の為の基盤データとして、in vitro免疫抑制実験が行われ、再生アソシエイト細胞の免疫寛容担当細胞である制御性T細胞が、質的に強い免疫抑制効果を有すると判定された。
【①-2】マウス同種異系移植実験
(A)マウス再生アソシエイト細胞培養条件の至適化が確認された(東海大学)。
(B)同種同系マウスにおける外側腓腹筋移植モデルが確立された(東海大学)。
(C)同種異系外側腓腹筋移植実験で、再生アソシエイト細胞が異系マウスの移植組織片に対する免疫拒絶を抑制し、その生着に貢献した結果を得た。
2. 課題②:iPS組織移植のための再生アソシエイト細胞免疫寛容研究(大阪大学)
【②-1】同種異系iPS細胞移植実験
iPS同種異系移植によって生じる拒絶反応を、再生アソシエイト細胞が抑制することが示唆され、同種異系iPS細胞由来心筋シート移植実験へのIVIS測定基盤評価が出来た。
【②-2】[18F]-DPA714-PETによる同種異系細胞移植による免疫拒絶反応評価の確立
活性型マクロファージを特異的に描出することが証明されている[18F]-DPA714-PET法を用いて、細胞移植における免疫拒絶反応の経時的に評価を試み、本法が細胞移植における拒絶反応の定量的評価に有用であることが示唆された。
3. 課題③:再生アソシエイト細胞基盤・応用研究
【③-1】再生アソシエイト細胞免疫寛容メカニズムの最適化研究(東海大学)
増殖因子、性ホルモンにおいて、再生アソシエイト細胞増殖への効果実験の途中結果が出ているが、さらに因子を拡大し実験を続けている。
【③-2】糖尿病患者における再生アソシエイト細胞の確立 (順天堂大学)
40例のDM患者において再生アソシエイト細胞の組成を調べた結果、CD34陽性細胞が平均1.85%、CD206細胞が平均13.9%、であった。これらの値は健常人比べ低下していたが、培養前と比べ有意に高くなっていた。
【①-1】in vitro免疫抑制効果の判定(東海大学)
in vivo移植実験の為の基盤データとして、in vitro免疫抑制実験が行われ、再生アソシエイト細胞の免疫寛容担当細胞である制御性T細胞が、質的に強い免疫抑制効果を有すると判定された。
【①-2】マウス同種異系移植実験
(A)マウス再生アソシエイト細胞培養条件の至適化が確認された(東海大学)。
(B)同種同系マウスにおける外側腓腹筋移植モデルが確立された(東海大学)。
(C)同種異系外側腓腹筋移植実験で、再生アソシエイト細胞が異系マウスの移植組織片に対する免疫拒絶を抑制し、その生着に貢献した結果を得た。
2. 課題②:iPS組織移植のための再生アソシエイト細胞免疫寛容研究(大阪大学)
【②-1】同種異系iPS細胞移植実験
iPS同種異系移植によって生じる拒絶反応を、再生アソシエイト細胞が抑制することが示唆され、同種異系iPS細胞由来心筋シート移植実験へのIVIS測定基盤評価が出来た。
【②-2】[18F]-DPA714-PETによる同種異系細胞移植による免疫拒絶反応評価の確立
活性型マクロファージを特異的に描出することが証明されている[18F]-DPA714-PET法を用いて、細胞移植における免疫拒絶反応の経時的に評価を試み、本法が細胞移植における拒絶反応の定量的評価に有用であることが示唆された。
3. 課題③:再生アソシエイト細胞基盤・応用研究
【③-1】再生アソシエイト細胞免疫寛容メカニズムの最適化研究(東海大学)
増殖因子、性ホルモンにおいて、再生アソシエイト細胞増殖への効果実験の途中結果が出ているが、さらに因子を拡大し実験を続けている。
【③-2】糖尿病患者における再生アソシエイト細胞の確立 (順天堂大学)
40例のDM患者において再生アソシエイト細胞の組成を調べた結果、CD34陽性細胞が平均1.85%、CD206細胞が平均13.9%、であった。これらの値は健常人比べ低下していたが、培養前と比べ有意に高くなっていた。
結論
H25年度の研究事業によって、再生アソシエイト細胞の免疫寛容作用がin vitroおよびin vivoで確認されている。最終年度は、iPS細胞由来組織あるいはアロ組織移植における免疫寛容・組織生着効果を中心に事業をまとめあげる予定である。
公開日・更新日
公開日
2015-06-01
更新日
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