接続可能な周産期医療体制の構築のための研究

文献情報

文献番号
201405012A
報告書区分
総括
研究課題名
接続可能な周産期医療体制の構築のための研究
課題番号
H26-特別-指定-032
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
海野 信也(北里大学 医学部産婦人科)
研究分担者(所属機関)
  • 有賀 徹(昭和大学 救急医学)
  • 石川 雅俊(国際医療福祉大学 ヘルスケア経営)
  • 池田 智明(三重大学 産科婦人科学 周産期医学 新生児学 再生医療学)
  • 楠田 聡(東京女子医科大学 新生児呼吸器疾患 新生児内分泌疾患)
  • 田村 正徳(埼玉医科大学 新生児学 小児呼吸器病学 小児集中治療学)
  • 中井 章人(日本医科大学 周産期医学)
  • 中村 友彦(長野県立こども病院 新生児医療 ハイリスク妊娠 ハイリスク出産)
  • 鳴本敬一郎(浜松医科大学 家庭医療学)
  • 葛西 圭子(公益社団法人日本助産師会 教育学 心理学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 【補助金】 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
2,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
周産期医療体制は、平成22年に発出された周産期医療体制整備指針(以下、整備指針)に基づき、都道府県が周産期医療体制整備計画を策定し整備を行っている。周産期医療を取り巻く環境は常に変化しており、地域における持続可能で安心・安全な分娩環境の提供と当時に災害医療と周産期医療の連携や、母体急変症例に対応するための救命救急部門と周産期医療の連携などの整備や充実もこれからの課題である。平成26年6月の医療法改正により平成30年度からの次期医療計画は、周産期医療も含め、地域医療構想を反映した将来推計等に基づいて策定することが定められた。この整備指針は、地域医療構想との整合性を保つ必要があるが、この地域医療構想の議論が本年9月より本格的に開始されることとなり、その流れと同時に、整備指針改定に着手する必要性に迫られている。
本研究では、わが国の周産期医療の現状を把握して、その課題を整理し、次回周産期医療体制整備指針改定の方向性を検討することを目的とし、以下のような検討を行った。
・周産期医療の将来需要を人口分布などから推計し、適正な配置を提案すること。
・関連学会等の調査結果の検討を通じて、わが国の周産期医療の現状把握と問題点の整理を行うこと。
・調査結果から改善策を提案すること。
研究方法
各分担研究者はそれぞれの立場で分担研究を実施した。その研究の過程で、研究者相互の意見交換と情報共有とともに、周産期医療の実情を社会に情報提供し、広く意見を求め、公開の場で課題の整理、検討を行うことを目的として「公開研究会」を開催することとした。
結果と考察
わが国の周産期医療体制の課題として、以下の4つの主要な論点が抽出された。
1.周産期医療システムの「質」の評価→可視化
2.周産期医療機関へのアクセスの確保
3.周産期医療人材の確保と養成
4.他の診療領域との連携
結論
現行の周産期医療体制整備指針は、都道府県における高次周産期医療体制の整備を目的として、全国で統一的な基本的システムのモデルを提示し、それに基づいて都道府県に整備を促してきた。これまでに全都道府県で周産期医療システムが整備され、周産期母子医療センターの認定が行われている。わが国の周産期医療体制は、その整備の最初の段階を終え、それぞれのシステムの質的向上を目指すべき第2段階に入ったと考えられる。本研究によって、都道府県が周産期医療の整備に関して留意すべきいくつかの重要な課題が明らかになった。これらの課題の検討を通じて次の周産期医療体制整備指針の改定が行われ、安全で安心な妊娠分娩環境がすべての地域で安定的に確保される体制整備が進むことが望まれる。
1.低リスクの妊娠分娩管理を含む周産期医療提供体制を包括的に検討する必要性
2.都道府県の周産期医療システム全体としての質的評価の必要性
3.周産期医療機関への妊産婦のアクセス障害の現状把握と対策立案の必要性
4.周産期医療協議会における他の医療分野との連携強化の必要性
5.各周産期母子医療センターの役割の明確化とそれを達成するために必要な施策を検討する必要性
6.地域における周産期医療人材の養成と確保のための方策を検討する必要性
7.大規模災害時の地域周産科医療提供体制確保のための事業継続計画を早急に立案する必要性

公開日・更新日

公開日
2016-06-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2016-06-30
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201405012C

成果

専門的・学術的観点からの成果
国内学会で3講演、国外学会で1講演行い、周知普及に努めた。
臨床的観点からの成果
妊婦救急対応の必要性 産婦人科の実際 64(9)1103-1107,2015
CloCMiP「レベルIII」認証の活用による助産の質向上への期待 看護68(2)38-39,2016
ガイドライン等の開発
平成27年10月15日 厚生労働省「周産期医療体制のあり方に関する検討会」にて海野信也が本研究の成果に基づいて「地域分娩環境の確保のための方策-産婦人科医の立場から-」というテーマで報告
その他行政的観点からの成果
平成27年10月15日 厚生労働省「周産期医療体制のあり方に関する検討会」にて海野信也が本研究の成果に基づいて「地域分娩環境の確保のための方策-産婦人科医の立場から-」というテーマで報告
その他のインパクト
特になし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
2件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
学会発表(国際学会等)
1件
Korean Society of Perinatology 2015, December 5, 2015, Seoulにて報告
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2016-06-08
更新日
2019-05-22

収支報告書

文献番号
201405012Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,925,000円
(2)補助金確定額
2,925,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 372,847円
旅費 128,316円
その他 1,748,837円
間接経費 675,000円
合計 2,925,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2016-06-30
更新日
-