文献情報
文献番号
201405003A
報告書区分
総括
研究課題名
地域医療構想策定及び医療計画PDCAサイクルの推進に資する都道府県の人材育成等手法に関する研究
課題番号
H26-特別-指定-004
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
熊川 寿郎(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
研究分担者(所属機関)
- 福田 敬(国立保健医療科学院 地域医療システム研究分野)
- 平塚 義宗(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
- 小林 健一(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
- 玉置 洋(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
- 白岩 健(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
- 菅原 琢磨(法政大学経済学部 社会政策・医療経済)
- 佐藤 栄治(宇都宮大学 工学部)
- 松浦 正浩(東京大学公共政策大学院)
- 松田 晋哉(産業医科大学 公衆衛生学教室)
- 藤森 研司(東北大学大学院医学系研究科医療管理学分野)
- 森村 尚登(横浜市立大学院医学研究科)
- 六車 崇(横浜市立大学附属市民総合医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 【補助金】 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
5,124,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
平成27年度からは各都道府県において地域医療構想(ビジョン)の策定が開始されること等に鑑み、平成26年度中に、都道府県において医療計画の立案・評価に携わる職員が自ら地域医療構想を組み立てられるような能力が育成されている必要がある。具体的には、地域の保健医療関連データを分析し医療計画のPDCAサイクルを推進する能力の習得が求められている。そのためには、こうした人材の育成手法を確立する必要がある。しかしながら、現状では、保健医療関連領域において医療計画のPDCAサイクル手順習得を視野に入れた研修プログラムは開発されていない。
本研究の目的は、都道府県職員を対象とした、医療計画におけるPDCAサイクルを推進する能力を養成する人材育成プログラムの教材の開発、研修のデザインを行うことである。
本研究の目的は、都道府県職員を対象とした、医療計画におけるPDCAサイクルを推進する能力を養成する人材育成プログラムの教材の開発、研修のデザインを行うことである。
研究方法
人材育成プログラム教材(研修教材)の開発と研修のデザイン・実施・評価を行った。研修教材は、厚生労働省医政局指導課(現地域医療対策課)が作成した医療計画支援データブックの内容を理解し、実際に都道府県職員が地域医療計画の策定に活用できるようになるような内容とした。医療計画支援データブックの中でも、国の定める5疾病5事業及び在宅医療について都道府県全体、二次医療圏、さらには市町村毎の課題を抽出するために作成された電子データブックの内容を理解し、そこから得られる情報を整理し、地域の問題を同定できるようになるような教材の作成を行った。大量の指標データの位置関係を理解し、地域の現状を構造化した上で整理した。その際ドナベディアン・モデルを用いて、地域医療の現状の構造化を助けるような枠組みの検討を行った。次に、実際の作業を実施できるようにするための実習法としてグループワークの方法についての検討を行った。最後に、グループ毎に実施した作業内容の共有とお互いの評価を行うためのプレゼンテーションの方法についての検討を行った。研修は、2014年7月14~16日の3日間(前期)と9月1~3日の3日間、計6日間、埼玉県和光市の国立保健医療科学院にて実施された。原則、各都道府県から1名ずつの参加で前期46名、後期47名の参加者を得た。研修終了後、各参加者にアンケート調査を行い、今回の試みについての総合的な評価を実施した。
結果と考察
研修は講義とグループワーク、グループによる発表を含んだ前期10、後期10の計20のモジュールに分けて構成された。
電子データブックに対応した教材の作成に関しては、大量のデータをうまく整理する標準的フレームワークの設定が最大の懸案であったが、フレームワークを開発することで、講義、グループワーク、プレゼンテーションを円滑に進めることができた。また、データをフレームワークに落とし込んだ後に、問題点の分析を行うという手順を実習として複数回くり返したことにより、初回の救急医療の分析に比べ、最後の糖尿病に関する分析はその内容を大きく改善させることができた。
グループワークに関しては、近隣の県による8グループ分けを行ったが、地域により討論の内容が異なり、有意義な検討が行われた。近隣の県でも、日常的な情報の共有はできていないことが多く、今回の研修によって相談できるネットワークができたことは本研修のもう一つの大きな意義といえよう。 また、プレゼンテーションを行うことで、各グループでの討論内容を全研修生で共有することができ、また質疑応答を行うことで、お互いのグループの理解を促すことができた。
電子データブックに対応した教材の作成に関しては、大量のデータをうまく整理する標準的フレームワークの設定が最大の懸案であったが、フレームワークを開発することで、講義、グループワーク、プレゼンテーションを円滑に進めることができた。また、データをフレームワークに落とし込んだ後に、問題点の分析を行うという手順を実習として複数回くり返したことにより、初回の救急医療の分析に比べ、最後の糖尿病に関する分析はその内容を大きく改善させることができた。
グループワークに関しては、近隣の県による8グループ分けを行ったが、地域により討論の内容が異なり、有意義な検討が行われた。近隣の県でも、日常的な情報の共有はできていないことが多く、今回の研修によって相談できるネットワークができたことは本研修のもう一つの大きな意義といえよう。 また、プレゼンテーションを行うことで、各グループでの討論内容を全研修生で共有することができ、また質疑応答を行うことで、お互いのグループの理解を促すことができた。
結論
都道府県職員を対象とした「医療計画におけるPDCAサイクルを推進する能力を養成する人材育成プログラム」の教材の開発、研修のデザインを行い、実際に研修を実施した結果、研修内容の評価を事後的に行い、その結果を次回以降の研修内容に反映することで、今後の本プログラムの継続的な改善につながる一連のプログラム改善PDCAサイクルを同時に構築することができた。特にデータブックの内容や使い方については実際に利用した都道府県の研修生から有意義な意見を頂いたことにより、次年度からのデータブックの作成にあたって改善点が明らかにされたといえる。また研修生が「データブックをどう使うか、実務に生かすか」に関して、より具体的なイメージを持てるように改善が必要なことが明らかとなった。具体的には、研修目標の明確化、講義の集約・拡充、モデル的なデータ分析手法やデータ活用事例等の提示等が考えられる。
公開日・更新日
公開日
2016-06-07
更新日
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