アジア諸国における血漿分画製剤の製造体制の構築に関する研究

文献情報

文献番号
201403026A
報告書区分
総括
研究課題名
アジア諸国における血漿分画製剤の製造体制の構築に関する研究
課題番号
H26-地球規模A-指定-002
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
河原 和夫(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科医歯学系専攻環境社会医歯学講座政策科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 佐川 公矯(福岡県赤十字血液センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 【補助金】 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
11,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
アジア諸国の血漿分画製剤の製造技術水準、生産性や国内市場の視点から製造体制、そして原料血漿の確保の現状などを調べた。また、わが国の医療現場で各社の分画製剤が如何にして選ばれているのか、また悪意の献血防止のための法政策等に関しわが国や先進諸国の状況を調査した。これらを通じて、わが国が有する安全で安心な血液事業を取り巻く技術・制度のアジア諸国への普及方策や安全な原料血漿を確保する前提となる善意の献血者の確保方策を検討し、結果を国際貢献に資することが研究目的である。
研究方法
アジア諸国の実態を知るために分画事業者を集めて開催された第3回Bio Plasma Asiaに参加して情報を得た。海外大手・準大手血漿分画事業者のホームページ、年次報告、調査会社の販売資料などからその戦略を検討した。アジア諸国の血漿分画製剤の製造あるいは必要量を確保するための基礎的諸条件を把握するための事例としてラオスを選び、調査・分析した。医療機関での製剤選択の実態を知るために福岡県と佐賀県の医療施設を対象に採用に至る経緯や影響因子を調査した。
(倫理面への配慮)
 内外の公表資料のみを研究材料にしているため、倫理的な問題は生じない。ただ、東京医科歯科大学医学部倫理審査委員会に研究内容を念のため付託した結果、倫理審査非該当との判断を得ている。
結果と考察
アジアにおいては、それぞれの国の血漿はこれまではCSLやKGCCを中心とした受託製造から、自国での製造への切り替えを計画している国がでるなど、国内自給への動きが活発となっている。海外大手/準大手が規模を拡大しているなかで、日本の分画事業者は国内自給化の方針のもと国内市場で事業を展開してきた。日本の分画事業者がアジアにおいてまた、世界においてその存在価値を示すことができるかは、彼らとの事業体制の比較など、今後さらに研究を進めていく必要がある。
ラオスのような小国での血漿分画製剤を製造することは経済的にも無駄であり、日本が製造委託を受けるなど支援すべき対象となり得ると考える。
医療施設の規模別にアルブミン製剤の採用状況を解析すると、大規模施設では国産品の採用が多く、また国産品と輸入品の両方を採用している施設が多かった。
血漿分画製剤事業は成長性と収益性がともに低い成熟事業であると見なされていることから、国際化に際しては価値提案、利益公式、バリューチェーンの3要素からなるビジネスモデルを検討して事業展開を行なうことが不可欠である。
悪意の献血防止のためにHIVなどの高感染リスク者の意図的な献血防止に向けた海外の法政策を調べた。台湾、シンガポール、アメリカ合衆国、オーストラリアで悪意の献血者を対象とした立法措置が講じられていることがわかった。
結論
世界的な企業統合が進み国内市場が縮小していくと予想される中では、こうした事業環境の相違を明らかにして事業の国際展開を考えていかねばならない。

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201403026Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
11,500,000円
(2)補助金確定額
11,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 529,854円
人件費・謝金 4,337,927円
旅費 3,551,053円
その他 3,081,204円
間接経費 0円
合計 11,500,038円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
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