新規動物試験代替法の開発、国際標準化及び普及促進に関する研究

文献情報

文献番号
201403019A
報告書区分
総括
研究課題名
新規動物試験代替法の開発、国際標準化及び普及促進に関する研究
課題番号
H25-地球規模-指定-004
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
小島 肇(国立医薬品食品衛生研究所 安全性生物試験研究センター安全性予測評価室第二室)
研究分担者(所属機関)
  • 杉林 堅次(城西大学 薬学部)
  • 川村 龍吉(山梨大学 医学部)
  • 松永 佳世子(藤田保健衛生大学 医学部)
  • 杉山 真理子(日本化粧品工業連合会 動物実験代替専門部会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 【補助金】 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
10,994,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 EUの化粧品規制により、2013年3月から成分に対する動物実験の禁止が施行される。すでに2009年より、動物実験を用いた製品の販売も禁止されており、我が国の化粧品企業にも大きな影響を与えつつある。一方、我が国でも動物愛護法の改正により動物実験の3Rs(Reduction、Refinment、Replacement)が義務づけられ、昨年の同法改正の際にも衆参付帯決議で動物試験代替法(以下、代替法と記す)の開発の促進を政府が図るよう決議している。以上の状況の中、国内外を問わず、化粧品・医薬部外品の安全性評価には代替法による開発・評価、普及を進めねばならない状況である。しかし、①安全性評価項目のそれぞれにおいて動物を用いない代替法が開発されていない。②試験法が行政的に受け入れられるためには、バリデーションが必要であり、その為に多大なる時間と経費が掛かる。③これまで開発された動物を用いない代替法では有害性の同定はできてもリスクの評価はできない。④偽陰性結果も少なからず存在するなどの問題点を抱えており、代替法だけでは適切な安全性評価ができない。
 このような状況に鑑み、本研究では、化粧品・医薬部外品の安全性評価に用いる代替法の国際標準化及びその普及の促進を目的とした。
研究方法
 化粧品・医薬部外品の安全性評価に用いる代替法の国際標準化およびその普及の促進のため、必要な調査研究、代替法の開発または改良、試験法のバリデーションおよび国際的な第三者評価、代替法を用いたリスク評価の検討、代替法で評価された成分のヒト試験の利用ガイダンス等を検討した。これらを通して、代替法を用いた安全性評価が普及することを目指した。
結果と考察
 代替法の開発または改良に関しては、1)培養細胞に刺激物質を曝露することで産生・誘導される細胞外ATP(アデノシン三リン酸)放出をバイオセンサーにて検知し、その物質の皮膚刺激性あるいは感作性を定量化するシステムを確立した。2)OECDテストガイドラインである眼刺激性試験代替法BCOP(牛摘出角膜混濁および透過性試験)に病理組織学的検討を組み合わせることで、弱い眼刺激性を評価するため、複数の化学物質において検討した。3)ヒト角膜由来細胞を用いた安価で簡便かつ、弱い眼刺激性を評価できる眼刺激性を検出する代替法の開発として、3次元ヒト角膜再構築モデルを用いた眼刺激性試験代替法については、プロトコルを固めることができた。
 試験法のバリデーションとして、1)眼刺激性試験代替法SIRC-CVS:TEA法の国際バリデーション報告書を作成した。2)3次元角膜モデルLabCyte CORNEA-MODEL24を用いた眼刺激性試験代替法は以前の共同研究で問題となったプロトコルを改訂し、プレバリデーションを実施し、問題点を解決できた。また、試験法の第三者評価として、1)眼刺激性試験代替法SIRC-CVS:TEA法および2)皮膚感作性試験代替法IL-8Lucアッセイの国際的な専門家による第三者評価を開始した。
 代替法を用いたリスク評価の検討では、皮膚透過性を考慮した手法の構築において、全層皮膚、生きた表皮・真皮中濃度は共にClogPの増加に伴い皮膚中濃度も増加する傾向が見られ、皮膚暴露・皮膚適用した化学物質の皮膚中濃度は、Chem Draw Ultra にて算出した化学物質のClogP(-1 < ClogP < 3.5)を用いて予測できる可能性が示唆された。
 ヒト試験の利用ガイダンス作成のために行ったヒト連続適用試験では、すべての被験者が最終日まで、皮膚反応を示さず、皮膚生理指標の測定結果も変化なかった。携帯電話の写真機能を用いたモニタリングシステムも活用されなかった。
 代替法を用いた安全性評価の普及としては、「眼刺激性試験を化粧品・医薬部外品の安全性評価に活用するための留意事項について」が厚生労働省より事務連絡として発表された。眼刺激性試験代替法摘出眼球試験(Isolated Chicken Eye:ICE)のガイダンスを作成した。
結論
 化粧品・医薬部外品の安全性評価に用いる代替法の国際標準化およびその普及の促進のため、研究を進め、確実に成果を残している。

公開日・更新日

公開日
2015-06-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201403019Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,994,000円
(2)補助金確定額
10,992,000円
差引額 [(1)-(2)]
2,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,533,232円
人件費・謝金 1,237,354円
旅費 2,811,762円
その他 2,410,170円
間接経費 0円
合計 10,992,518円

備考

備考
自己資金518円

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-