文献情報
文献番号
201401015A
報告書区分
総括
研究課題名
子どもの貧困の実態と指標の構築に関する研究
課題番号
H26-政策-一般-005
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
阿部 彩(国立社会保障・人口問題研究所 社会保障応用分析研究部)
研究分担者(所属機関)
- 竹沢純子(国立社会保障・人口問題研究所)
- 田宮遊子(神戸学院大学 経済学部)
- Movshuk Oleksandr(モヴシュク オレクサンダー)(富山大学 経済学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 【補助金】 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
5,880,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本プロジェクトの目的は、既存の公的統計データを用いた子どもの貧困指標(群)を提案することにある。
研究方法
本研究は、既存統計を用いた子どもの貧困指標の検討と、新しい子どもの貧困指標の開発の二つの部分に分かれている。具体的には以下の通り。
1)既存統計データを活用した子どもの貧困指標群の選定・分析
① 既存の公的統計データを用いたさまざまな貧困率の妥当性の検討
② 日本における子どもの貧困を表す公的データの整理
③ 暫定的な子どもの貧困指標群の選定
2)新しい子どもの貧困指標の模索
① 剥奪指標を用いた非金銭的指標の開発
研究の2本目の柱として、EU等で主流となってきている剥奪指標を用いた非金銭的指標の開発を行う。
② 相対的貧困率の動態分析
時系列で推計が可能なデータ(例:厚生労働省「21世紀出生児縦断調査」)を用いて子どもの貧困率の動態を分析する。
③ 諸外国における子どもの貧困指標の策定動向のヒアリング
諸外国において子どもの貧困指標を設定、政策目標としている国、国際機関の状況を調査する。
1)既存統計データを活用した子どもの貧困指標群の選定・分析
① 既存の公的統計データを用いたさまざまな貧困率の妥当性の検討
② 日本における子どもの貧困を表す公的データの整理
③ 暫定的な子どもの貧困指標群の選定
2)新しい子どもの貧困指標の模索
① 剥奪指標を用いた非金銭的指標の開発
研究の2本目の柱として、EU等で主流となってきている剥奪指標を用いた非金銭的指標の開発を行う。
② 相対的貧困率の動態分析
時系列で推計が可能なデータ(例:厚生労働省「21世紀出生児縦断調査」)を用いて子どもの貧困率の動態を分析する。
③ 諸外国における子どもの貧困指標の策定動向のヒアリング
諸外国において子どもの貧困指標を設定、政策目標としている国、国際機関の状況を調査する。
結果と考察
まず、厚労省「国民生活基礎調査」の所得データを用いた相対的貧困率については、長期的な動向を見てもconsistentに推移しており、貧困の時系列の動向をみるのには支障はないと考えられる。しかし、属性別に見た場合は、父子世帯のサンプル数が少なく時系列の動きがconsistentではない。また、特に厳しい状況の子どもの状況を把握するためには、等価世帯所得の中央値の40%を貧困基準とすることも考えられる。この貧困率と、中央値の50%を基準とした通常の貧困率の動きは同じように動いているが、40%基準のほうが、よりsensitiveであった。今後は、貧困ギャップなどの他の指標との関連も見ていく必要がある。
総務省「全国消費実態調査」の分析からは、所得データよりも消費データの方が貧困の状況を的確にcaptureすることがわかった。その理由は、所得データが過少報告であると分析された。しかし、これは「全消」の所得データの問題であるとも考えられ、すべての所得データが消費データより優れているとは言えない。
既存統計からの、教育分野・健康分野の指標については、高校非卒業率、TIMSSの数学・理科スコアの平均値と、国際的ベンチマークを下回る生徒の割合、早産の割合、虫歯(齲歯)のある子の割合など、それぞれいくつかの指標について妥当であると判断され、また、より多くの指標についてはそれらの改善案が提案された。次年度の作業において、これらの指標の時系列の動態を把握する。
総務省「全国消費実態調査」の分析からは、所得データよりも消費データの方が貧困の状況を的確にcaptureすることがわかった。その理由は、所得データが過少報告であると分析された。しかし、これは「全消」の所得データの問題であるとも考えられ、すべての所得データが消費データより優れているとは言えない。
既存統計からの、教育分野・健康分野の指標については、高校非卒業率、TIMSSの数学・理科スコアの平均値と、国際的ベンチマークを下回る生徒の割合、早産の割合、虫歯(齲歯)のある子の割合など、それぞれいくつかの指標について妥当であると判断され、また、より多くの指標についてはそれらの改善案が提案された。次年度の作業において、これらの指標の時系列の動態を把握する。
結論
最後に、諸外国からのヒアリングからは、これらの貧困指標が公的に認知されるようになるまでに必要な政治的プロセスの課題が明らかになった。また、アメリカのヒアリングにあるように、現物給付やサービス給付などの貧困対策による効果を把握するためには、非金銭的指標の開発も欠かせない点が改めて確認された。
公開日・更新日
公開日
2015-06-11
更新日
-