文献情報
文献番号
201401011A
報告書区分
総括
研究課題名
医療情報の活用のための疾病及び関連保健問題の国際統計分類のあり方に関する研究
課題番号
H26-政策-一般-001
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
今村 知明(公立大学法人奈良県立医科大学 健康政策医学講座)
研究分担者(所属機関)
- 落合 和徳(東京慈恵会医科大学 産婦人科学)
- 大江 和彦(東京大学医学部附属病院 企画情報運営部 )
- 中谷 純(東北大学大学院 医学系研究科 医学情報学分野)
- 伊藤美千穂(京都大学大学院薬学研究科薬品資源学分野)
- 小川 俊夫(国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科)
- 田嶼 尚子(東京慈恵会医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 【補助金】 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
7,380,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ICD(International Classification of Disease、国際疾病分類)は、死亡統計や患者調査、DPCなど医療情報全般において活用される重要な分類体系であり、わが国のみならず各国で幅広く活用されている。2007年より、現行のICD-10からICD-11への改訂作業がWHOにより行われており、わが国も内科分野を中心に改訂作業に参加している。本研究は、ICD-11をわが国としてより適切なものとすべく、医療における情報活用を行ううえで適切な疾病分類をとりまとめ、WHOへのわが国の対応に資する基礎資料を作成することを目的として実施する。
研究方法
本研究は、研究年度を通じてICD改訂作業の最新動向をWHO主催の各種会議等に参加して収集・分析したうえで、わが国としての対応について検討する。また、国内内科TAG検討会および国内腫瘍TAG検討会を組織してICD改訂に対するわが国の様々な意見を集約し、国際会議などの場で意見発信を行う。本年度はWHO主催の各種会議に参加してICD改訂全体のスケジュール等について情報収集を行ったほか、内科系領域や腫瘍系領域におけるICD改訂に際しての問題点や課題を明らかにし、その取りまとめ結果について意見発信を行った。また、今年度以降に実施される予定のフィールドトライアルとレビューについて情報収集を行ったほか、ICD国内分類とWHO分類との対応データベースの構築を試行した。
結果と考察
ICD改訂作業は、αフェーズで実施した構造変更の提案がほぼ出揃い、重複領域の調整が行われている状況である。この改訂作業の一環として、疾病及び死亡統計に必要な項目を抽出した「疾病・死因合同リニアライゼーション」と呼ばれる分類が作成され、この分類を中心にICD改訂作業が実施されている。また、レビュー及びフィールドトライアルについてもこの分類を用いて実施することが決定され、その準備が行われているところである。ICD改訂作業はここ1〜2年でかなりの進捗を見せたが、重複領域の調整をはじめ、ICD-11の完成までに解決しなくてはならない問題が多数残されているのが現状で、今後もICD改訂の進捗については注視する必要がある。ICD-11で導入される予定の新たな取り組みの一つに、ICDとSNOMED-CTとの統合の検討がある。この統合により、将来的にはオントロジーの概念を用いて様々な目的に応じたICDの構築が容易に出来るようになると言われている。また、ICD-11をICF(国際生活機能分類)やICHI(国際医療行為分類)と併用して利用されることも検討されており、ICDがWHO分類体系の大きな変革の中心となると考えられる。
結論
今年度は、ICD改訂に向けたWHOの最新動向を調査しつつ、国内内科TAG検討会、国内腫瘍TAG検討会とも情報共有を行い、その対応について個別に協議した。また、各種国際会議に研究分担者が出席し、改訂に向けた各国の最新状況を把握する中で日本から積極的に提案を行い、大きな成果を上げた。本研究は、国内での検討体制の確立や最新情報の共有、ICD改訂における日本の国際的なプレゼンス向上については概ね目標を達成したといえよう。今後のICD改訂は、2017年の完成に向けてより一層動きが見られると思われることに加え、ICD-11の活用についてより具体的な議論が必要になると考えられる。今後、さらなる議論および緻密なスケジュール管理が必要である。
公開日・更新日
公開日
2015-06-11
更新日
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