進行非小細胞肺癌を対象としたエルロチニブとYM155の分子標的治療薬併用第I相試験

文献情報

文献番号
201332016A
報告書区分
総括
研究課題名
進行非小細胞肺癌を対象としたエルロチニブとYM155の分子標的治療薬併用第I相試験
課題番号
H24-実用化(がん)-一般-004
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
中川 和彦(近畿大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡本 勇(九州大学ARO次世代医療センター)
  • 倉田 宝保(関西医科大学)
  • 鶴谷 純司(近畿大学 医学部)
  • 清水 俊雄(近畿大学 医学部)
  • 金田 裕靖(近畿大学 医学部)
  • 田中 薫(近畿大学 医学部)
  • 岡本 邦男(近畿大学 医学部)
  • 西尾 和人(近畿大学 医学部)
  • 坂井 和子(近畿大学 医学部)
  • 千葉 康敬(近畿大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康長寿社会実現のためのライフ・イノベーションプロジェクト 難病・がん等の疾患分野の医療の実用化研究(がん関係研究分野)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
83,924,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
EGFR陽性進行非小細胞肺癌患者を対象に、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)エルロチニブに併用するサバイビン阻害薬YM155の推奨投与量の設定、及び用量制限毒性(DLT)を明らかにし、推奨投与量における安全性と抗腫瘍効果および効果に関わるバイオマーカーを探索する。
研究方法
エルロチニブは1日1錠(150mg)の連日経口投与とし、YM155(アステラス製薬より治験薬剤供給)は(シリンジポンプを用いた)168時間(7日間)の持続点滴静脈内投与とする。併用治療開始時点を1コースday1とする。併用薬エルロチニブは連日経口投与、治験薬YM155は1週間(168時間)投与2週間休薬をもって1コース(21日間隔)とする。以後、腫瘍の増悪・新病変の出現または投与継続が困難な有害事象の発現を認めるまで、1コースを21日間隔として治療を継続する。パート1(dose escalation cohort)の症例では、治験実施計画書に記載のスケジュールにてエルロチニブ゙及びYM155の薬物動態測定を行う。また同意が得られた患者に対し、抗腫瘍効果に関わるバイオマーカーの探索として1)YM155投与前後における腫瘍組織中のサバイビン蛋白質量の測定とアポトーシス誘導の有無を確認、2)肺癌組織の体細胞変異解析にあたり、LungCarta、Bio-plex (Ligand panel)等のマススクリーニングパネルを用いた半網羅的体細胞変異解析を実施する。
結果と考察
昨年の報告に引き続き、第1コホートレベルおよび第2コホートレベルでは用量制限毒性(DLT)発現及び臨床上有意な毒性は全9症例中、1症例のみに認められ(血清クレアチニン値上昇 2.4mg/dl:治験薬休薬中止にて可逆的回復)、既に現在までに2回目の外部委員による効果安全性委員会承認を経て治験実施計画書に準じて予定通り第3コホートレベルでの治験実施中である。また、治験薬投与前後の腫瘍組織採取(気管支鏡生検および肝転移部からの経皮的腫瘍針生検等)も既に採取施行可能例には被験者の同意取得のもとに実施されており、抗腫瘍効果に関わるバイオマーカーの探索として1)YM155投与前後における腫瘍組織中のサバイビン蛋白質量の測定とアポトーシス誘導の有無を確認、2)肺癌組織の体細胞変異解析にあたり、LungCarta、Bio-plex (Ligand panel)等のマススクリーニングパネルを用いた半網羅的体細胞変異解析を行うための病理組織サンプルを病院病理部にて保管中である。
結論
近畿大学医学部附属病院腫瘍内科単施設(1施設)にて同医師主導治験開始後、約1年4か月で第3コホートレベル迄の合計11症例の治験症例登録および治験薬投与開始が実施出来ており、症例集積に関しても予定していた症例集積スピードと差異の無い状況である。用量制限毒性(DLT)発現及び臨床上有意な毒性評価に関しても現在の用量レベルまでは安全性・忍容性を確認済みであり、引き続き平成26年度においても当初の研究計画書・治験実施計画書に基づいた第Ⅰ相試験実施を継続する予定である。

公開日・更新日

公開日
2015-09-07
更新日
-

収支報告書

文献番号
201332016Z