文献情報
文献番号
201331008A
報告書区分
総括
研究課題名
次世代シーケンサーを用いた遺伝性ミオパチーの原因解明
課題番号
H23-実用化(難病)-一般-008
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
西野 一三(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所疾病研究第一部)
研究分担者(所属機関)
- 野口 悟(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所疾病研究第一部 )
- 林 由起子(東京医科大学医学部医学科 神経生理学講座)
- 後藤 雄一(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所疾病研究第二部 )
- 小牧 宏文(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 病院小児神経診療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康長寿社会実現のためのライフ・イノベーションプロジェクト 難病・がん等の疾患分野の医療の実用化研究(難病関係研究分野)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
53,847,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者 林由起子 所属機関
(独)国立精神・神経医療研究センター神経研究所 疾病研究第一部(平成25年7月31日まで)
→東京医科大学医学部医学科 神経生理学講座(平成25年8月1日以降)
研究報告書(概要版)
研究目的
原因不明の遺伝性ミオパチー例に対して、次世代シーケンサーを用いたエクソームのリシーケンス解析を行って原因遺伝子を同定し、分子病態を明らかにする。
研究方法
(1) 全エクソーム解析
(2) 網羅的既知遺伝子スクリーニング
(3) 遺伝性ミオパチー患者臨床情報の集積
(4) 遺伝子変異病原性の実証実験
(5) ミトコンドリアミオパチーの原因解明
(2) 網羅的既知遺伝子スクリーニング
(3) 遺伝性ミオパチー患者臨床情報の集積
(4) 遺伝子変異病原性の実証実験
(5) ミトコンドリアミオパチーの原因解明
結果と考察
(1) 全エクソーム解析
a) Tutubular aggregate ミオパチー
3家系にORAI1遺伝子変異、1家系にSTIM1遺伝子変異、2家系にGFPT1遺伝子変異を見出した。
b) α-ジストログリカノパチー
11例でbiallelicな変異を同定した。8例の日本人患者のうち、GTDC2変異は3例に、ISPD変異は2例に、DAG1、FKRP、GMPPB変異はそれぞれ1例に見いだされた。
c) ネマリンミオパチー
日本人患者でKLHL40の共通変異が存在し、本邦乳児重症型ネマリンミオパチーの原因としてACTA1に次いで頻度の高い原因遺伝子であることを明らかにした。
d) EMARDD
一例でMEGF10遺伝子にnull変異を認めた。
(2)網羅的既知遺伝子スクリーニング
39遺伝子について全エクソンのターゲットリシークンシングを行い、網羅的既知原因遺伝子変異スクリーニングを行った。120例の変異未確定の先天性ミオパチー例の約半数で変異を同定した。
(3) 遺伝性ミオパチー患者臨床情報の集積
遺伝性ミオパチーの原因解明の基礎となる臨床データの集積を、既知の筋病理学的な特徴の分類に基づいて行った。
(4) 遺伝子変異病原性の実証実験
HAP1細胞にCRISPR/Cas9システムを用いてISPD、FKTN、FKRP、GMPPB遺伝子KO細胞を作製することに成功し、病原性をスクリーニングに活用できることを示した。
(5) ミトコンドリアミオパチーの原因解明
高乳酸血症を伴い脳MRI画像で、大脳白質に嚢胞性病変を認める白質障害例の2家系3例で、遺伝子Xにナンセンス変異を含むbiallelicな変異を認めた。
a) Tutubular aggregate ミオパチー
3家系にORAI1遺伝子変異、1家系にSTIM1遺伝子変異、2家系にGFPT1遺伝子変異を見出した。
b) α-ジストログリカノパチー
11例でbiallelicな変異を同定した。8例の日本人患者のうち、GTDC2変異は3例に、ISPD変異は2例に、DAG1、FKRP、GMPPB変異はそれぞれ1例に見いだされた。
c) ネマリンミオパチー
日本人患者でKLHL40の共通変異が存在し、本邦乳児重症型ネマリンミオパチーの原因としてACTA1に次いで頻度の高い原因遺伝子であることを明らかにした。
d) EMARDD
一例でMEGF10遺伝子にnull変異を認めた。
(2)網羅的既知遺伝子スクリーニング
39遺伝子について全エクソンのターゲットリシークンシングを行い、網羅的既知原因遺伝子変異スクリーニングを行った。120例の変異未確定の先天性ミオパチー例の約半数で変異を同定した。
(3) 遺伝性ミオパチー患者臨床情報の集積
遺伝性ミオパチーの原因解明の基礎となる臨床データの集積を、既知の筋病理学的な特徴の分類に基づいて行った。
(4) 遺伝子変異病原性の実証実験
HAP1細胞にCRISPR/Cas9システムを用いてISPD、FKTN、FKRP、GMPPB遺伝子KO細胞を作製することに成功し、病原性をスクリーニングに活用できることを示した。
(5) ミトコンドリアミオパチーの原因解明
高乳酸血症を伴い脳MRI画像で、大脳白質に嚢胞性病変を認める白質障害例の2家系3例で、遺伝子Xにナンセンス変異を含むbiallelicな変異を認めた。
結論
次世代シークエンサーを導入して解析パイプラインを構築し、全エクソーム解析とターゲットリシークンシングを行える体制を整えた。遺伝性筋疾患の新規原因遺伝子変異同定および既知遺伝子変異同定の何れにおいても、一定の効率を示し、少なくとも2つの新規原因遺伝子を同定し、6つの既知遺伝子について、本邦初例を見いだした。
公開日・更新日
公開日
2018-05-22
更新日
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