健康危機管理・テロリズム対策に資する情報共有基盤の整備に関する研究

文献情報

文献番号
201330023A
報告書区分
総括
研究課題名
健康危機管理・テロリズム対策に資する情報共有基盤の整備に関する研究
課題番号
H25-健危-一般-012
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
近藤 久禎(独立行政法人国立病院機構災害医療センター 臨床研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 明石 真言(独立行政法人放射線医学研究所)
  • 嶋津 岳士(大阪大学大学院)
  • 木下 学(防衛医科大学校)
  • 徳野 慎一(防衛医科大学校)
  • 金谷 泰宏(国立保健医療科学院)
  • 金 吉晴(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究部)
  • 中山 伸一(兵庫県災害医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
4,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
東日本大震災以降、危機における国の役割の強化が課題となっており、また、巨大地震の脅威やCBRNEを用いた災害、テロの脅威のリスク増大の中で、厚生労働省の健康危機管理・テロリズム対策の強化は喫緊の課題である。そこで、本研究は、国内外の専門家ネットワークを確立し、それを通じて国内外の最新の指針・ガイドライン、関連する技術の開発の動向等の知見を集約し、厚生労働省の健康危機管理・テロリズム対策の強化に資することを目的とする。一方、東日本大震災以降、公衆衛生や心のケア等医療関係の様々な分野の支援体制が確立してきている。効果的かつ効率的な連携のためには、情報共有が重要な課題となる。本研究においては、このような災害時の保健医療関係活動情報システム共有の具体的手法の開発を行うことを目的とする。また、東日本大震災においては、災害時の保健医療関連活動におけるコーディネートが課題となったため、災害・健康危機発生時における保健医療関連分野の分野横断的、フェイズ横断的なコーディネートのあり方についてそのモデルを提示することを目的とする。
研究方法
健康危機管理・テロリズム対策機能強化に関する研究は、世界健康危機行動グループ(GHSAG)会合など先進国の最新知見をまとめ、厚生労働省に資料を提示する。国内のCBRNE関係の専門家ネットワークを構築し、定期的会合を実施し、最新の知見を収集し、海外の最新知見をこのネットワークを通じて共有する。そして日本での知見をまとめ、国際的に発信する。健康危機管理情報システムの共有に関する研究は、災害医療分野の広域災害救急医療情報システム(EMIS)、公衆衛生分野は健康危機管理支援ライブラリーシステムH- Crisis、心のケアチームの情報収集システムの連携について検討する。災害・健康危機管理のコーディネートの研究は、災害・健康危機発生後、急性期から亜急性期、慢性期にいたるまでのコーディネートのあり方を検討し、技能を得るための研修カリキュラムを開発、試行し、その実効性について検証する。
結果と考察
健康危機管理・テロリズム対策機能強化に関する研究は、GHSAG等の海外の会合からの情報を整理して厚生労働省に提示し、国内におけるNBCテロ対策の専門家によるネットワークを構築し、会合によりその実効性を高めたことが成果である。今後の課題は、引き続き、諸外国の指針・ガイドライン、関連技術開発の動向等の情報を同定・収集・分析・提供する。特に、次年度日本で開催されるGHSI閣僚会合における日本から発信すべき課題について整理する。健康危機管理情報システムの共有に関する研究は、基本指針を提示し、避難所における評価項目を整理したことが成果である。このことは、今後の厚生労働省における様々な分野での情報システム開発の基礎となるものと期待される。次年度以降は、これを基に、情報共有の具体的モデルを開発し、それぞれの分野の訓練や研修、また総合防災訓練において情報共有モデルを試行し、実効性を検証することが今後の課題である。また、支援チーム情報など避難所以外の共通項目の検討も課題である。災害・健康危機管理のコーディネートのあり方についての研究は、本年度は、基本的な考え方を整理し、カリキュラムを開発したことが成果である。このことは、次年度以降、保健医療科学院などで行われる研修に直接貢献できる成果である。次年度以降は、今年度開発したカリキュラムを基に、その講義資料を作成し、保健医療科学院の健康危機管理研修会等において実施し、その実効性を検証し、その結果に基づき災害医療関係のコーディネートのあり方を再提示するとともに、研修カリキュラムを精緻化し、標準的な災害医療関係のコーディネート研修カリキュラムを提示する。
結論
厚生労働省の健康危機管理・テロリズム対策機能強化に関する研究、健康危機管理情報システムの共有に関する研究、災害・健康危機管理のコーディネートのあり方についての研究を行った、その結果、GHSAG等の海外において行われる会合からの情報を整理し、厚生労働省に提示したこと、国内におけるNBCテロ対策の専門家によるネットワークを構築し、会合によりその実効性を高めたこと、健康危機管理情報システムの共有に関する基本指針を提示し、避難所における評価項目を整理したこと、災害・健康危機管理のコーディネートのあり方については基本的な考え方を整理し、研修カリキュラムを開発したことが成果である。

公開日・更新日

公開日
2018-06-05
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201330023Z