文献情報
文献番号
201330016A
報告書区分
総括
研究課題名
レセプトデータを活用した療養場所移行とサービス利用の追跡調査に基づく効果的な地域連携体制の明確化
課題番号
H25-健危-一般-005
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
永田 智子(東京大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
- 辻 哲夫(東京大学 高齢社会総合研究機構)
- 飯島 勝矢(東京大学 高齢社会総合研究機構)
- 吉江 悟(東京大学 高齢社会総合研究機構)
- 山本 則子(東京大学 大学院医学系研究科)
- 五十嵐 歩(東京大学 大学院医学系研究科)
- 石崎 達郎(東京都健康長寿医療センター研究所)
- 村山 洋史(東京都健康長寿医療センター研究所)
- 成瀬 昂(東京大学 大学院医学系研究科)
- 岩本 康志(東京大学 大学院経済学系研究科)
- 両角 良子(富山大学 経済学部)
- 湯田 道生(中京大学 経済学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
4,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究事業は、1県を対象として住民のサービス利用状況・アウトカム・医療費・介護費のデータを収集するとともに、県内の医療・介護資源とそれらのネットワークの現況、サービス利用や療養場所の移行の関連要因等に関するヒアリングや質問紙調査等を行う。これにより、地域の医療・介護連携が地域住民のアウトカムに与える影響を把握するとともに、当該県における効果的・効率的な医療・介護サービス提供や連携体制の構築に対する提言を行うことを目指す。後者に関しては、レセプトデータ等の行政が保有する大規模データの活用についての機運が高まる中、各自治体が各種計画立案等にどのようにこうしたデータ等を活用していけばよいかに関する示唆を得ることを目標とする。
研究方法
まず、医療レセプトデータから、福井県の医療サービスの利用状況を概観するとともに、本研究のデータの特徴を確認した。また、居住地によるサービスの利用範囲を把握することにより、医療ニーズの発生状況とサービス利用における地域特性を把握した。次いで、介護保険レセプトデータから、福井県の介護保険サービスの種類別利用状況の月次変化を把握するとともに、市町によるサービスの利用状況の相違を確認した。さらに、福井県内の市町の基礎情報および保健医療に関する状況を整理し、複数の市町に対してはヒアリングを行って連携体制に対する情報を得た。加えて、療養場所の移行に関する住民の意向を把握する一環として、福井県内の1市の中年期住民を対象として、将来生活に手助けが必要になった際の居住場所についての意向に関する質問紙調査を行った。
結果と考察
医療レセプトデータでは、月当たりの入院医療費と入院日数のピークは必ずしも一致しておらず、65歳前後は入院日数がさほど多くないが医療費が高くなっていた。疾患別では、レセプト件数が多く、入院日数が長いのは精神疾患、入院医療費が高額なのは新生物や循環器であり、一般的な医療ニーズの発生状況と一致する結果と考えられた。また、疾患により自市町内や二次医療圏内での受診・入院の割合が異なること、市町によって他の市町や二次医療圏への受診の割合が異なることが確認され、地域の資源の配置状況に応じた地域医療連携体制の構築が必要であること、疾患の特性を考慮した連携体制が必要であることが改めて確認された。
介護保険レセプトデータからは、市町により利用されるサービスの種類が異なっており、サービス資源の配置やサービスに対する住民の利用意向等について併せて検討する必要性が改めて確認された。
ヒアリングからは、各市町とも、自治体内でも地域によって資源配置や住民の意識などに差があることが示、実際に各市町への提言を行っていく際には詳細なデータが必要なことが明らかになった。
質問紙調査からは、40~65歳未満の約半数の住民が現在の居住場所から移動する意向を持っており、中でも外出に手助けが必要になった段階で居住場所を移動するとの回答が4分の1を占めること、移動先の多くは介護保険施設等であることが明らかとなった。療養場所の移動に関するニーズの高さを踏まえた施策の必要性が示されるとともに、療養場所や在宅ケア資源に関する情報提供の重要性が示唆された。
介護保険レセプトデータからは、市町により利用されるサービスの種類が異なっており、サービス資源の配置やサービスに対する住民の利用意向等について併せて検討する必要性が改めて確認された。
ヒアリングからは、各市町とも、自治体内でも地域によって資源配置や住民の意識などに差があることが示、実際に各市町への提言を行っていく際には詳細なデータが必要なことが明らかになった。
質問紙調査からは、40~65歳未満の約半数の住民が現在の居住場所から移動する意向を持っており、中でも外出に手助けが必要になった段階で居住場所を移動するとの回答が4分の1を占めること、移動先の多くは介護保険施設等であることが明らかとなった。療養場所の移動に関するニーズの高さを踏まえた施策の必要性が示されるとともに、療養場所や在宅ケア資源に関する情報提供の重要性が示唆された。
結論
初年度である今年度は、医療・介護保険それぞれのレセプトデータを用い、サービス利用の概略を把握するとともに、データの特徴を把握して今後の分析に向けた示唆を得ること、また、一部の自治体に対するヒアリングと住民に対する質問紙調査により、サービス利用や療養場所の移行についての本県の特徴を把握することを目指した。その結果、医療・介護レセプトの分析から、サービス利用の地域特性を把握した。また、ヒアリングからは在宅ケアへの整備体制に地域差がある可能性が示唆された。質問紙調査からは、住民が比較的早い段階で介護施設等へ移動する意向を有していることが明らかになった。
次年度は、レセプトデータを用いて、医療・介護あるいは施設・在宅サービス間の円滑な移行とアウトカムとの関連についての検討を進める。また、サービス導入やそのタイムラグの発生状況が地域によって異なるかどうかについても検証したい。また、前述のサービス導入に関する地域差とを合わせみて、医療連携体制の構築がアウトカムに与える影響について考察することを目指す。それにより、地域特性に応じた連携体制に関する提言を行っていきたい。
次年度は、レセプトデータを用いて、医療・介護あるいは施設・在宅サービス間の円滑な移行とアウトカムとの関連についての検討を進める。また、サービス導入やそのタイムラグの発生状況が地域によって異なるかどうかについても検証したい。また、前述のサービス導入に関する地域差とを合わせみて、医療連携体制の構築がアウトカムに与える影響について考察することを目指す。それにより、地域特性に応じた連携体制に関する提言を行っていきたい。
公開日・更新日
公開日
2018-06-05
更新日
-