200ml輸血由来の赤血球濃厚液の安全性と有効性の評価及び初回献血を含む学校献血の推進等に関する研究

文献情報

文献番号
201328067A
報告書区分
総括
研究課題名
200ml輸血由来の赤血球濃厚液の安全性と有効性の評価及び初回献血を含む学校献血の推進等に関する研究
課題番号
H25-医薬-一般-022
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
室井 一男(自治医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 浅井 隆善(千葉県赤十字血液センター)
  • 竹下 明裕(浜松医科大学 医学部)
  • 梶原 道子(東京医科歯科大学 医学部)
  • 岩尾 憲明(山梨大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成21年の献血率のまま少子高齢化が進展すると、血液製剤の需要がピークを迎える平成39年には、献血者約101万人分の血液製剤が不足するという。若年者の献血は、その後の複数回献血に繋がることが示されている。学校献血を含む初回献血、若年者、女性の献血では、200ml献血を希望することが多い。一方、医療機関においては、400ml献血由来の400ml赤血球液を使用することが多いと思われるが、200ml献血由来の200ml赤血球液の使用状況と使用理由が不明である。今回の研究では、200ml献血および200ml赤血球液に関係する以下の4つの項目を明らかにする。(1)200ml赤血球液と400ml赤血球液の比較、(2)医療機関における200ml赤血球液の使用状況、(3)本邦および海外における献血の状況、(4)学校献血の意義を明らかにする。
研究方法
(1)については、日本赤十字社に収集された輸血副作用報告を、輸血後肝炎と非溶血性副作用に分け解析する。赤血球液の製造に係わるコストを比較する。(2)については、平成24年度血液製剤使用実態調査の集計データに含まれる200ml赤血球液の使用について解析する。小児および成人の患者を対象として、200ml赤血球液の使用に係わるアンケートを医療機関に送付し結果を解析する。(3)については、以下の3つの調査を行う。(3-1)アジア地区における400ml未満の献血(言い換えれば、400ml未満の赤血球液の製造)の現状を調査する。(3-2)本邦と米国のドナーとなり得る住民の体格の差を調査する。(3-3)本邦における200ml献血と400ml献血の献血者の背景を調査し、両献血における採血副作用の血管迷走神経反応(VVR)の頻度を調査する。(4)については、静岡県西部の高校へ学校献血に関するアンケートを送付し結果を解析する。
結果と考察
(1)については、両血液製剤のB型肝炎とC型肝炎の感染リスクには差がないと判断された。呼吸困難等の重篤な輸血副作用の発生頻度は、200ml赤血球液の方が400ml赤血球液より低い傾向があった。両血液製剤の製造に係る費用は、ほぼ同等であった。(2)については、多くの病院で200ml赤血球液の使用経験があった。200ml赤血球液の使用患者は、新生児、小児、高齢者が多くを占めていた。200ml赤血球使用の理由として、輸血関連循環過負荷防止を挙げる回答が目立った。(3-1)については、アジア地区の13カ国で、400ml未満の献血(200から350ml)が行われていた。アジア地区の9カ国で、採血量に大小2つの基準(例えば、200mlと400ml)が設けられていた。(3-2)については、本邦と米国の住民には体格差があり、本邦の男性と女性の体重は、米国の男性と女性の各々約80%と70%であった。本邦の成人女性の平均体重は約55kg、米国女性のそれは約75kgであった。本邦の男性のヘモグロビン値は米国の男性のそれとほぼ同様(約95%)であった。本邦の女性のヘモグロビン値も米国の女性のそれとほぼ同様であった(約98%)。(3-3)については、平成22年度における200ml献血は全血献血の約12%を占め、その中での女性の割合は約82%と高率であった。平成24年度上半期に収集された献血によるVVRは、初回献血、年齢が10から20歳代、体重が60kg未満で多かった。特に、400ml献血における10歳代女性のVVRの発生率は、約3.5%と極めて高率であった。(4)については、7,927人(94%)より回答を得た。献血経験者8%、献血場所を知っている者45%、献血に関する広報を見たり聞いたりした者は52%、献血に関心がある者32%、献血に際してお菓子や飲み物が配られることが献血推進に役立つとした者74%、ボランティア活動の経験者66%であった。
結論
200ml赤血球液は、輸血関連循環過負荷発症のリスクを有する患者に対して、相応しい血液製剤であると考えられる。献血については、VVR防止の観点から、体重が60kg未満の若年女性からの献血や初回献血では、200ml献血が望ましいと考えられる。高校生献血を一層推進するためには、ボランティア活動としての献血教育の必要性が認識された。

公開日・更新日

公開日
2017-05-22
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-05-22
更新日
-

収支報告書

文献番号
201328067Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,000,000円
(2)補助金確定額
2,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,194,330円
人件費・謝金 198,140円
旅費 56,340円
その他 551,210円
間接経費 0円
合計 2,000,020円

備考

備考
分担研究者の浅井隆善の管理していた口座に利息が20円が発生したため、支出が20円多くなりました。

公開日・更新日

公開日
2014-05-27
更新日
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