化粧品等のアレルギー確認方法確立に関する研究

文献情報

文献番号
201328050A
報告書区分
総括
研究課題名
化粧品等のアレルギー確認方法確立に関する研究
課題番号
H25-医薬-指定-005
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
松永 佳世子(学校法人藤田学園 藤田保健衛生大学 医学部皮膚科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 矢上 晶子(冨高 晶子)(学校法人藤田学園 藤田保健衛生大学 医学部皮膚科学講座)
  • 杉浦 伸一(名古屋大学大学院 医学系研究科 医療システム 管理学寄付講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
4,231,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
研究代表者は日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会会員にアレルギー性接触皮膚炎 (ACD)の症例調査を平成22年より2年行い、合計108施設より延べ2097件の登録を得た。その第一原因は化粧品(63%)、次いで医薬品(18%)で合計81%を占めた。原因製品として、旧茶のしずく石鹸障害例は平成22年度に17例でトップであり、この調査は、この重大事例を把握できていたことになる。この事例で学んだことは、化粧品等によるアレルギー症例をできるだけ迅速に把握する重要性である。医師が迅速に症例登録し、学会等の公的に認知された機関が定期的に報告例全体の調査解析を行い、医師および厚生労働省、消費者庁など関係省庁への報告と連携を密に行うことが健康被害の対策として重要となる。医師から得た症例情報は企業へ提供され、企業は医師へ製品の成分開示・成分提供などを行い、医師によるアレルギーの原因精査に協力し、その結果を明らかにする。行政はその結果をもとに、企業への指導や対策の判断根拠とする。全体として国民の健康被害を少なくし、より安全な化粧品等を開発していくネットワークを構築することが、安全で安心な住みやすい日本にするために重要である。
平成25年度はオンライン症例登録方法を確立することを目的とした。2年目は原因化粧品等の原因アレルゲンを迅速に確定する医師と企業および行政の協力システム確立を、3年目は化粧品等によるACDの迅速な診断に必要なアレルゲン供給システムの構築を行うことを目的としている。
研究方法
研究方法
1.平成25年度は、平成24年4月から平成25年3月までにパッチテストを行いACDと確定した症例のデータを年度終了後に紙ベースで、JSDACD会員全員にアンケート調査を行い、データの回収が7月に終了し解析を行った。
2.平成25年7月4日にカネボウ化粧品(株)の開発したロドデノール含有化粧品を使用後に脱色素斑が生じたために自主回収になった。多数例の症例があることが予測されたために、具体的な健康被害に対して,医師が症例情報を把握し,患者と医療者への的確な情報を発信する中核となる委員会を組織し,行政および企業との情報の連携を行う活動を開始し、本研究の目的とする産官学の連携のネットワーク構築を試みた。また、ロドデノール誘発性脱色素斑患者の一部は接触感作も生じており、あらたなアレルゲンとして、ロドデノールのパッチテスト濃度の検討、試薬の作製、日本皮膚科学会員への配付とデータ収集および解析を行った。
3.平成26年度より開始予定の、「化粧品等安全性症例情報ネット」の産官学の情報交換会を設け検討した。オンライン随時入力システムを活用し、医療者、患者、企業、行政、消費者に有益な情報の収集と共有・活用について、検討を行った。
結果と考察
1.平成24年度の化粧品等によるアレルギー性接触皮膚炎・接触蕁麻疹の報告症例数は、1,499例であった。平成22年より3年の合計は146施設より延べ3,596件の障害例の集積を得た。第一原因は化粧品2,317件(64%)、次いで医薬品624件(17%)で合計81%を占めた。旧茶のしずく石鹸による障害例は平成22年度に17例でトップであり、またロドデノール含有化粧品も、平成24年度にはじめて20件を超えた。この調査でも、この重大事例を把握できていたといえる。
2.昨年7月ロドデノール配合化粧品が脱色素斑の問題で自主回収になった。松永は、(株)カネボウ化粧品からの情報の収集、日本皮膚科学会、JSDACD、日本臨床皮膚科医会、日本色素細胞学会、化粧品工業連合会との連絡を取り、また、厚生労働省安全対策課はじめ、消費者庁、NITEとの連絡を密にして、この研究でめざす産官学連携ネットワーク構築の機会を得た。松永は日本皮膚科学会 ロドデノール含有化粧品の安全性に関する特別委員会の委員長となり、症例の疫学調査の調査票作成、ロドデノールのパッチテスト試薬の作成と配付体制を整え、患者への正しい情報の提供、医療者への診療の手引きを作り、マスメディアを通じて、正しい情報の提供を試みた。その結果、患者および医療者への必要な情報提供を行えた。ロドデノール2%白色ワセリン試薬は台湾の皮膚科医からの要請があり、厚生労働省の許可を得て台湾に送付し、国際的な貢献も行えた。
3.「化粧品等皮膚安全性症例情報ネット」の基本構築を完成することができた。症例情報は,アレルギー性接触皮膚炎,アレルギー性接触蕁麻疹を中心に登録するが,その他,脱色素斑,熱傷などの皮膚健康被害についても,アレルギー以外の症例登録サイトを作成した。
結論
化粧品等のアレルギー確認方法確立に関する研究として「化粧品等皮膚安全性症例情報ネット」のシステムを産官学の参加と共同検討により構築できた。今後はその改善と実際運用を行う。

公開日・更新日

公開日
2015-04-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201328050Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,500,000円
(2)補助金確定額
5,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,460,550円
人件費・謝金 893,481円
旅費 274,480円
その他 1,602,489円
間接経費 1,269,000円
合計 5,500,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-06-26
更新日
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