医薬品の微生物学的品質確保のための高度試験法導入に関する研究

文献情報

文献番号
201328034A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品の微生物学的品質確保のための高度試験法導入に関する研究
課題番号
H24-医薬-指定-022
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
棚元 憲一(武蔵野大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
  • 山口 進康(大阪大学 大学院)
  • 片山 博仁(バイエル薬品株式会社 プロダクトサプライジャパン本部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本薬局方には医薬品の微生物学的品質確保のためいくつかの微生物試験法が規定されているが、これらの試験法は随時科学の進歩、国際的な変化に歩調を合わせて改善もしくは新規試験法の導入を図らなければならない。そのような観点から本研究では、①遺伝子組換え体を用いた新規エンドトキシン測定用試薬の開発、②細菌数迅速測定法のバリデーションにかかる基盤データの構築、③無菌医薬品品質確保のための製造と管理の技術に関する研究、の3研究を行うことを目的とした。
研究方法
①では、開発品につき、各種エンドトキシン及び類縁物質との反応性を既存リムルス試薬と比較検討し、さらに薬局方収載注射剤、生物学的製剤、医療機器に対する適用性を標準エンドトキシンの添加回収率を指標に評価した。②では、日本薬局方微生物関連試験(微生物限度試験および無菌試験)に用いる溶解剤や中和剤が難染色性の緑膿菌の蛍光染色に与える影響を検討した。③では無菌医薬品の品質を確保するための消毒剤の有効性を評価する方法として「硬質表面キャリアー法」が実用可能であることを確認することを目的に、実施する基礎実験で使用する回収液の組成を検討した。
結果と考察
組換えエンドトキシン比色試薬3ロットを製造し、それぞれの分析能パラメータについて評価した。直線性および真度は局方エンドトキシン試験法予備試験の要求基準に適合し、精度および定量限界は生体試料中薬物濃度分析法のバリデーションに関するガイドラインに記載された要求基準に適合した。また、特異性はカブトガニ血球ライセートを利用する既存試薬で問題となる(1→3)-β-D-グルカンとの反応性が認められないことを確認した。また、日本薬局微生物限度試験および無菌試験に用いる溶解剤や中和剤が蛍光活性染色による緑膿菌の検出に影響を与えないことを明らかにした。また、蛍光活性染色法は抗菌性物質や、色素の含まれる非無菌製剤中に混入した細菌の検出にも応用できることを明らかにした。さらに、さまざまな硬質キャリアーに対する種々の回収液を検討し、汎用消毒剤を添加しても十分に試験菌を回収できる回収液の組成を決定することができた。
結論
組換えエンドトキシン比色試薬の性能を分析法バリデーションに従い評価と行い、全ての分析能パラメータにおいて判定基準に適合したことから、当該試薬が既存のライセート試薬と同等のエンドトキシン測定に必要かつ十分な性能を有していることが確認できた。
日本薬局方微生物限度試験および無菌試験に用いる各溶解剤や中和剤が難染色性の緑膿菌の検出に影響を与えないことを明らかにし、蛍光活性染色法は抗菌性物質や、色素の含まれる非無菌製剤中に混入した細菌の検出にも応用できることを明らかにした。
日本薬局方 参考情報 「微生物殺滅法」の改訂案に消毒剤の有効性を評価する方法として掲載される予定の「硬質表面キャリアー法」が実用可能であることを確認するために実施する基礎実験で使用する回収液の組成を検討し、決定することができた。

公開日・更新日

公開日
2015-06-24
更新日
-

収支報告書

文献番号
201328034Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,000,000円
(2)補助金確定額
3,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,992,916円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 7,084円
間接経費 0円
合計 3,000,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2014-05-27
更新日
-