医薬品の品質ガイドラインの実施に係る品質試験及び試験実施機関の品質システム等に関する研究 

文献情報

文献番号
201328012A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品の品質ガイドラインの実施に係る品質試験及び試験実施機関の品質システム等に関する研究 
課題番号
H24-医薬-一般-003
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
四方田 千佳子(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
研究分担者(所属機関)
  • 香取 典子(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部 )
  • 伊豆津 健一(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
5,820,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
GMP 査察に関しては, PIC/Sへの加盟申請に伴い、GMP査察のための公的試験検査機関(OMCL)の要件が提示された。今後、我が国において、地方衛生研究所と国立医薬品食品衛生研究所からなる試験機関群がGMP査察のためのOMCL機能を担うためには、試験機関の品質システムの構築が必須である。本研究班では、共通の品質マニュアルの構築、共通の手順書の作成、品質システムに基づく自己点検,レビュー,教育研修の体制を整備した。 
凍結乾燥製剤の品質評価法と工程制御技術に関する研究では、凍結乾燥製剤における氷晶構造および製剤成分の物理状態と、氷晶昇華過程における温度挙動の評価への新技術活用による、高機能医薬品の活性や製剤機能と工程効率化を目的とした検討を行った。
公的試験機関の溶出試験の精度確保に関する研究では,皮膚適用製剤、経皮吸収製剤の放出試験が新規設定されるのに伴って、公的機関での共同検定を行い、試験手法の妥当性を検討するとともに、試験検査機関への新規試験法導入を達成した。
研究方法
OMCLとしての試験検査機能を担うため必要な、試験検査機関の品質システムの構築に向けて、試験機関管理の要件、共通の品質マニュアルの作成を検討した。特にPIC/S加盟申請に伴うオンサイト査察に対し、OMCLの要件が満たされるよう各試験検査機関と連携し対策を行った。
凍結乾燥製剤の品質評価法と工程制御技術に関する研究では、製剤モデルとなるタンパク質や添加剤を含む水溶液を対象として、以下の方法で検討した。1)顕微X線CTスキャンを用いた固体測定による氷晶構造の評価。2)凍結溶液の熱測定により得られる最大濃縮相ガラス転移温度(Tg´)を指標とした、製剤成分の混合性と結晶化の評価。3)無線型プローブを活用した氷晶昇華過程におけるバイアル内温度の直接計測。
公的試験機関の溶出試験の精度確保に関する研究では、経皮吸収製剤のツロブテロールテープをモデル製剤とし、地方衛生研究所8機関と国衛研の9機関の参加で共同検定を行った。
結果と考察
H24年3月に我が国はPIC/S への早期加盟を目指し加盟申請を行った.PIC/S加盟に伴う、査察団体の品質システムの再構築のための、公的試験検査機関の品質マニュアル、手順書案の整備を行った。合わせてPIC/Sへの加盟申請に伴って行われるオンサイト査察に対応し,改善項目などについて査察官への対応を行った,また同時に,国立医薬品食品衛生研究所の品質システムに基づく自己点検,レビュー,教育研修などを行った.また,地衛研等に対して品質システム構築,維持の助言を行った.
凍結乾燥製剤の品質評価法と工程制御技術に関する研究では、乾燥固体の顕微X線CTスキャンによる3次元像の構築により、凍結溶液の部位による氷晶構造の違いや、昇華促進を目的とした凍結溶液の熱処理および氷晶核形成誘導操作が与える影響を、試料全体にわたって明確に評価することができた。測定域の限定により個別氷晶間の壁構造の情報を得られた。凍結溶液中で緩やかに結晶化するmyo-イノシトールと生体高分子やデキストランが、水溶液の凍結により氷晶間に過冷却状態で混合濃縮される場合と、複数相に分離する場合があることを明らかにした。結晶化は相分離後のみで観察されたことから、製剤成分を目的の結晶性で得るために単独濃縮相の形成を制御する処方選択が有用と考えられた。無線型温度プローブは従来の配線を持つ熱電対等に比べ昇華挙動に対する影響が小さく、棚上位置による品温挙動の違いを反映した温度測定が可能であった。
公的試験機関の溶出試験の精度確保に関する研究では、9機関の共同検定により、パドルオーバーディスク法による放出試験法は、機関に依らず良好な再現性と、平均値を与えることが明らかであり、試験法として適切であることが示された。また、検定に参加した試験機関はいずれも同等の技術を有していることも明らかとなった。
結論
本研究班の活動により国衛研のみならず、地衛研においても品質システム構築に大きく貢献し、さらにPIC/S加盟申請に伴うオンサイト査察への対応により、我が国のPIC/S加盟に大きな役割を果たした。
凍結乾燥製剤の品質評価法と工程制御技術に関する研究では、凍結乾燥工程と製品の評価法として、顕微X線CTスキャンと無線型温度プローブが従来法に比べて明らかな長所を持つことが確認された。高機能医薬品の品質確保に向けて、製剤設計と工程管理を一貫させた管理システム構築が期待される。
公的試験機関の溶出試験の精度確保に関する研究では、試験法の妥当性を検証できると共に、新たな試験法を適切に伝達可能であった。

公開日・更新日

公開日
2014-07-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201328012Z