次世代バイオテクノロジー技術応用食品等の安全性確保に関する研究

文献情報

文献番号
201327039A
報告書区分
総括
研究課題名
次世代バイオテクノロジー技術応用食品等の安全性確保に関する研究
課題番号
H25-食品-一般-015
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
近藤 一成(国立医薬品食品衛生研究所 代謝生化学部)
研究分担者(所属機関)
  • 鎌田 博(筑波大学生命環境系・筑波大学遺伝子実験センター)
  • 山本 卓(広島大学大学院理学研究科・ゲノム生物学・数理分子生命理学専攻)
  • 吉松 嘉代(独)医薬基盤研究所・植物細胞工学(薬用植物資源研究センター筑波研究部育種生理研究室))
  • 中村 公亮(国立医薬品食品衛生研究所 代謝生化学部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年の遺伝子組換え技術の急速な進歩に伴い、遺伝子組換え技術の痕跡がゲノムDNA上に残らない手法が登場してきた。植物RNAウイルスを用いた開花促進遺伝子導入により品種改良の大幅な期間短縮を目的とした方法、遺伝子組換え台木の接ぎ木による穂木への師管輸送を介したRNAサイレンシング誘導、動物・植物へのTALEN、CRISPR/Cas9技術を用いた任意の標的配列に対するゲノム改変など進んでいる。これらの遺伝子組換え技術の痕跡が残らないと考えられるものの、技術的にはようやく確立されたばかりであり、その特徴や宿主に起こり得る現象、さらに、off-target効果などについては現在世界各国で精力的に研究されている。今後近い将来これらの技術が、食品分野においても応用されることが予測されているものの、こうして作出された生物の取り扱いやGM生物の規制の在り方、GM生物として申請がされた場合の検討項目、さらに、検知の可能性や検知可能な場合のその方法に関する検討がなされておらず、急務となっている。
研究方法
今後組換え技術の中心となると考えられる、次世代組換え技術に関する研究について、分担研究者の山本卓らのグループは、TALENの安全で高効率でゲノムDNA 上の標的部位でゲノム編集が可能なシステムとして、Platinum TALENの開発と評価を行った。近藤一成らのグループは、CRISPR/Cas9システムを培養細胞に用いてその特性を評価した。中村公亮らは、外来遺伝子を導入した時に起きる現象、例えば周辺遺伝子発現に与える影響など検討した。また、吉松嘉代らのグループは、植物を対象に(特にイネを標的として)TALENを用いた時の変異解析に取り掛かるとともに、次世代組換え技術を用いた植物の世界各国の開発状況について、および医薬品用途の遺伝子組換え植物の調査を行った。海外の開発状況や規制に関する情報は、鎌田博らが行った。
結果と考察
次世代遺伝子組換え技術の中で、ZFN, TALEN, CRISPRについて最新の文献情報および実験的な結果から、標的配列以外のoff-target切断(意図しない部位でのDNA切断)の確率、パターンとゲノム構造との関係を調査した。その結果、これら技術はゲノムDNAのアクセスしやすい環境では高い変異導入効率であるが、一方で、off-targetサイトがそのような環境にあるときも高い変異導入率で起きり可能性が示唆された。高活性型TALEN (Platinum TALEN)の開発この方法でnon-RVD variationをもったTALEN (Platinum TALEN) の効率的な作製方法を確立した。アフリカツメガエルのチロシナーゼ遺伝子に適用し、ほぼ100%で変異導入されていることが明らかになった。大きな外来遺伝子を導入した時に周辺遺伝子発現に与える影響や3次元構造との関係を調べて、周辺遺伝子発現に影響することが示唆された。これら技術は、アメリカのみならず中国で活発に研究されている。植物RNAウイルスを用いた、あるいは接ぎ木などを用いて、GM台木にnonGM穂木を繋げた場合の、生物の取り扱いについて各国の状況を調査した。
結論
ZFN, TALEN, CRISPRなどは、技術的にほぼ完成されてきたが、想定される場所以外の部位でのoff-target切断をいかに確認するか、その位置や程度により安全性評価に影響するかどうかの議論が今後必要と考えられる。各国の規制状況は、当面ケースバイケースで判断する方向である。今後も、各国の開発状況や規制の在り方など、協調していくことが重要である。

公開日・更新日

公開日
2015-06-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2015-06-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
201327039Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
13,000,000円
(2)補助金確定額
13,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 7,561,433円
人件費・謝金 709,800円
旅費 2,930,128円
その他 1,799,236円
間接経費 0円
合計 13,000,597円

備考

備考
口座利息が597円

公開日・更新日

公開日
2018-07-24
更新日
-