鉛及びヒ素などの食品汚染物質の実態調査ならびにその健康影響に関する研究

文献情報

文献番号
201327030A
報告書区分
総括
研究課題名
鉛及びヒ素などの食品汚染物質の実態調査ならびにその健康影響に関する研究
課題番号
H25-食品-一般-006
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
香山 不二雄(自治医科大学 医学部 環境予防医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 吉田 貴彦(旭川医科大学 健康科学講座)
  • 野原 恵子(国立環境研究所 環境生理部 環境生理研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
9,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
胎児期および幼少時の低濃度の鉛曝露は中枢神経系の発達に悪影響を与え、IQ の低下が危惧され、JECFA、EFSAなどで耐容摂取量の再評価が予定されている。また、無機ヒ素曝露の影響評価のためのバイオマーカーの検索が喫緊の課題である。我が国の平均的な鉛及びヒ素の曝露量は低い。しかし、食生活や曝露経路およびヒ素の化学型分布が欧米とは大きく異なるため、我が国の曝露実態と影響評価が必要である。鉛及びヒ素曝露のハイリスク集団である胎児および小児の生体負荷量とその曝露源を確認し、健康影響および生体影響の可能性の有無について調査することを目的とする。
研究方法
【調査地域の条件】国内で鉛、ヒ素の曝露の高い可能性のある地域で、調査の実施可能性から、旭川市を選んだ。また、農村地帯が広がる対照地区として、自治医大のある栃木県下野市を選んだ。さらに、アガカーン大学医学部地域医療学講座Zafar Fatmi准教授との調査地域(カラチ市及びインダス川流域のシンド州Khairpur)を、鉛曝露及びヒ素曝露の陽性対照群として、臍帯血を含む生体試料を用いることとした。因みに、パキスタンでは有鉛ガソリンや化粧品として硫化鉛を多く含むスルマがまだ使用されているため、鉛曝露は高い。
【実施計画】調査地域で妊婦をリクルートし、出生児及びその兄弟姉妹(18-60月齢)を被験者とする。25~27年度に旭川市では吉田貴彦が、下野市では香山不二雄が、パキスタンのカラチ市およびKhairpurではZafar Fatmiが、それぞれ50家族の被験者を募る。リクルートした妊婦の家庭で、妊娠後期の時期に、朝1番の井戸水または上水道中の鉛濃度を測定する。また、掃除機に汎用ゴミパックを取り付け1ヶ月のゴミを収集し、ハウスダスト中の鉛および総ヒ素濃度を測定する。兄弟姉妹の陰膳3日分をプールして収集する。生体負荷量としては、妊婦の尿および臍帯血清中、化学型別ヒ素、3価、5価のヒ素、MMA, DMA, TMA, アルセノベタイン、アルセノコリン等および臍帯全血中の鉛を、外部測定機関にて測定する。その兄弟姉妹(18~60月齢)の血中鉛、ヒ素濃度を測定する。また、早朝一番の水道水または井戸水を収集し、pHも測定しておく。陰膳および飲水からの鉛およびヒ素の曝露量を算出する。健康影響に関しては、井戸水からのヒ素曝露の高いパキスタン・シンド州Khairpurでの収集する生体試料との差を解析する。平成25、26年度に、それぞれ旭川市、下野市、カラチ市、シンド州Khairpurでの一部試料を利用して、野原により解析遺伝子の候補を検索し、平成27年度に影響のバイオマーカーと推定される遺伝子発現及びエピジェネティック変異の解析を実施する。
結果と考察
平成25年度は、①4月に来日したDr. Zafar Fatmiと自治医大、旭川医科大学のスタッフとミーティングを開き、それぞれの調査地域の特徴と調査の実施可能性について討論し、当初の調査研究計画通りの調査研究が実施出来るように、研究計画の細部を調整した。②8月に2週間に亘り香山がパキスタン・カラチ市およびインダス川流域の農村地帯に赴いて、パイロット調査として、陰膳サンプルを収集し、サンプル処理にさらに必要な機器や、試料の運搬について検討した。また、サンプル送付に関して、実際にシュミレーションした。③また、パキスタンおよび日本国内で収集したパイロット調査の陰膳サンプル、飲料水を用いて、外部測定機関にてICP-MSによるヒ素濃度、鉛濃度を測定し、摂取量を評価した。④遺伝子解析を含む疫学調査倫理審査を、自治医大で申請し、旭川医科大学、国立環境研究所では迅速審査で、アガカーン大学では別途、倫理審査を受け、受理された。⑤その後に、自治医科大学で妊婦のリクルートを始めて、週1名程度の同意を得て、被験者の陰膳を採取し、出産を待つ段階である。
 下野市近郊、旭川市近郊での調査計画とパキスタンでも実施可能な調査計画とをすりあわせることに、前半の半年を用い、それに基づいて倫理審査を受け、調査が開始されたところである。産科、小児科の協力も万全で順調に調査は進みつつある。旭川ではエコチル調査のリクルートが終了後、平成26年4月以降にリクルートを開始する。パキスタンのリクルートは平成26年6月から開始する。
結論
調査が始まったばかりで、結論を述べることは困難である。

公開日・更新日

公開日
2015-06-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-06-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
201327030Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
12,740,000円
(2)補助金確定額
12,740,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 7,705,206円
人件費・謝金 717,600円
旅費 376,120円
その他 1,001,074円
間接経費 2,940,000円
合計 12,740,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-06-26
更新日
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