文献情報
文献番号
201327016A
報告書区分
総括
研究課題名
新開発バイオテクノロジー応用食品の安全性確保並びに国民受容に関する研究
課題番号
H24-食品-一般-005
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
手島 玲子(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
研究分担者(所属機関)
- 今村 知明(奈良県立医科大学 健康政策医学講座)
- 小関 良宏(東京農工大学大学院 工学研究院)
- 太田 大策(大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科)
- 五十君 静信(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
- 名古屋 博之(独立行政法人水産総合研究センター 増養殖研究所)
- 近藤 一成(国立医薬品食品衛生研究所 代謝生化学部)
- 野口 秋雄(国立医薬品食品衛生研究所 代謝生化学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
41,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、多様化、複雑化する新機能遺伝子組換え食品の安全性確保のための科学的知見の蓄積、当該食品並びに未承認組換え食品の検知に関する試験法の確立、安全性審査基準への反映並びに社会的受容の促進を図るためのリスクコミュニケーションを行い、遺伝子組換え食品の安全性のより一層の確保を目的とする。
研究方法
(1)新機能性組換え体として成長期別にサンプリングした成長ホルモン導入・アマゴおよびアレルゲン低減化コメを用いてDNAチップを用いたトランスクリプトーム解析および食品成分分析、フーリエ変換型質量分析(FT-ICR/MS)にLC-TOF/MSとGC-MSを補完したメタボロミクスプラットフォームによるメタボローム解析、2D-DIGEによるプロテオーム解析及びアレルゲノーム解析を行った。また、2 品種の耐塩性遺伝子組換えシロイヌナズナの後代交配品種スタックのトランスクリプトーム解析を委託した。
(2) 組換え食品の検知法に関する研究では、今年度は、未承認組換え食品として中国産コメの複数の品種に対応できる検査法の開発、並びにタイ産パパイアに対応する検査法を開発した。さらに、品種数の多いGMトウモロコシ試料に適応可能な新規定量試験法として、GM品種に広く用いられている導入遺伝子を対象とした簡便な定量検査法の開発を行った。
(3)遺伝子組換え食品の社会的受容の調査研究として、消費者意識の国内外比較調査、食品に対する安心感の調査、遺伝子組換え動物に関する海外動向の調査、新植物育種技術(NBT)に関するリスクコミュニケーションの検討を実施し、あわせて組換え微生物、遺伝子組換え魚、遺伝子組換え薬用植物に関して、国内外の現状の把握を行った。
(2) 組換え食品の検知法に関する研究では、今年度は、未承認組換え食品として中国産コメの複数の品種に対応できる検査法の開発、並びにタイ産パパイアに対応する検査法を開発した。さらに、品種数の多いGMトウモロコシ試料に適応可能な新規定量試験法として、GM品種に広く用いられている導入遺伝子を対象とした簡便な定量検査法の開発を行った。
(3)遺伝子組換え食品の社会的受容の調査研究として、消費者意識の国内外比較調査、食品に対する安心感の調査、遺伝子組換え動物に関する海外動向の調査、新植物育種技術(NBT)に関するリスクコミュニケーションの検討を実施し、あわせて組換え微生物、遺伝子組換え魚、遺伝子組換え薬用植物に関して、国内外の現状の把握を行った。
結果と考察
非意図的並びに意図的影響を知るためのポストゲノム手法導入のための調査研究では、アマゴ(サケ科魚)及びコメの網羅的プロファイルの比較解析が可能となった。組換えアマゴの筋肉組織のトランスクリプトーム解析で、脂肪酸関連遺伝子、Parvalbumin遺伝子の発現低下が認められ、プロテオーム解析でも、Parvalbuminの発現の低下が認められた。アレルゲン低減化コメを用いたオミクス解析では、アレルゲンタンパク質の発現の低下、及びそれらタンパク質をコードする遺伝子の発現の減少を確認することができた。遺伝子組換え食品の検知に関する試験法の確立では、安全性未審査の3種(東南アジア産ヒヨコマメ、東南アジア産バスマチィコメ、タイ産パパイア)の定性試験法を開発した。社会的受容に関する調査研究では、組換え食品の消費者意識調査の国内外比較分析を進め、日本人の抵抗感は強いが、リスクに対する知的願望の高いこと等が明らかとなった。また、新植物育種技術(NBT)に関するリスクコミュニケーションの検討を開始し、NBT説明書案の作成を行った。
結論
多様化、複雑化する新開発バイオテクノロジー応用食品の安全性に関する研究、当該食品の検知に関する試験法の確立は、安全性審査への反映、監視体制に直接つながる社会的に要請の高い研究である。これら研究をさらに進めると共に、社会的受容に関する研究等も持続することにより、透明性を確保しつつ、より一層の安全確保、消費者の不安解消に努める必要があると考えられる。
公開日・更新日
公開日
2015-06-29
更新日
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