中小規模事業場向けのリスクアセスメント手法の開発

文献情報

文献番号
201326019A
報告書区分
総括
研究課題名
中小規模事業場向けのリスクアセスメント手法の開発
課題番号
H25-労働-一般-010
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
和田 有司 (独立行政法人産業技術総合研究所 安全科学研究部門爆発利用・産業保安研究グループ)
研究分担者(所属機関)
  • 牧野 良次(独立行政法人 産業技術総合研究所 安全科学研究部門爆発利用・産業保安研究グループ)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
2,693,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
労働災害の多くは中小事業場で発生している.したがって,労災発生件数削減のためには中小事業場における災害を効率的に削減することが重要であり,労災削減にはリスクアセスメントの実施が効果的であると期待されている.しかしながら,現実には中小事業場でこそリスクアセスメントの普及が進んでいない.その要因の一つとしてリスクアセスメントを実施するための人員的,時間的,資金的余裕が必ずしも十分でないことが考えられる.そこで本研究では中小事業場におけるリスクアセスメント定着を促進する手法を開発することを目的とする.
研究方法
(1)保安力評価を基礎とした導入容易なリスクアセスメント手法の開発:既存の大規模事業所向け保安力評価システムを基礎として,中小事業場で容易に適用できる簡易リスクアセスメント手法(暫定版)を開発した.具体的には「はい・いいえによる回答」や「5段階からの選択による回答」といった簡単に回答可能な質問群を作成し,回答パターンに応じて「事業場のどこにどの程度のリスクが存在するか」が近似的に定量化される手法を目指した.
(2)リスクアセスメント導入阻害要因の現状分析:茨城県内の中小事業場経営者を対象としたアンケート調査を実施し,リスクアセスメント導入状況について質問した.一方で,事業場の労働時間,稼働率,安全訓練度といった情報,およびヒヤリハット件数,事故件数といった客観的データも可能な限り収集し,これら客観的データとリスクアセスメント導入状況との関係を統計的に検討することにより導入阻害要因をより詳細に検討した.
結果と考察
(1)経済産業省が公開している保安力評価項目をベースにチェック形式の簡易リスク評価項目を作成した.保安力評価項目を修正する際のポイントとして,質問項目数の削減,項目あたり文字数の削減,平易な表現への修正,中小規模事業場の評価に必要な新たな質問項目の追加という方針で進めた.
(2)1,418企業に調査票を発送し,回収数は319(22.9%)であった.そのうちリスクアセスメントを実施しているのは32企業(12.6%)であった.データからは,リスクアセスメントを実施していない企業は,実施している企業(のリスクアセスメント実施前)と比較して,労働災害数が少ないことが観察された.
結論
(1)平成26年度での課題としては,作成した簡易リスク評価を実際の中小規模事業場の現場で試行すること,チェック項目のブラッシュアップ,および詳細リスク評価結果との整合性をチェックすることがあげられる.
(2)自社で労働災害がそれほど発生していないことがリスクアセスメントを実施しないひとつの理由であると推察される.平成26年度では調査票を改善した上で全国の中小規模事業場を対象に調査を実施する.

公開日・更新日

公開日
2015-06-22
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201326019Z