文献情報
文献番号
201326007A
報告書区分
総括
研究課題名
大学等における効果的な安全教育プログラムに関する研究
課題番号
H24-労働-一般-003
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
大久保 靖司(東京大学 環境安全本部)
研究分担者(所属機関)
- 刈間 理介(東京大学 環境安全研究センター)
- 森 晃爾(産業医科大学 産業医実務修練センター)
- 福田 隆文(長岡科学技術大学 技術経営研究科)
- 大島 義人(東京大学 新領域創成科学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 労働安全衛生総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
3年間の研究によって高等教育機関において安全意識・感度の高い人材の育成と社会への輩出を行うための、在学期間中の安全に関する教育の方策について検討し、提言を行うことを目的とする。
研究方法
安全な社会の基礎となる人材を育成するためには、①有効な安全教育プログラム、②安全教育の効果の評価方法の確立、③国際化への対応が求められる。本研究では、①学生を対象とした安全教育の実態(平成24年度)と好事例の収集(平成24、25、26年度)、②安全教育を受けた学生の安全意識・感性に与える短期影響調査(平成24、25年、26年度)、③社会人となった既卒生の後ろ向き追跡調査(平成24年度)、④企業の大学教育に求めるニーズの聞き取り調査、⑤大学における安全教育の日米比較検討(平成25年度)、⑥安全衛生専門職育成における安全教育の実態(平成24年度)を調査し、加えて安全教育の効果と評価についての系統的文献調査により、安全教育についての情報及びエビデンスを集約する。この結果を基に、高等教育機関における安全教育のあり方と安全管理の基礎教育プログラムについて提言をとりまとめ、モデルとなる教育プログラム及びツールの開発を行い、これらをウェブ等を通じて公表する。
研究は、初年度と2年目に実態調査を主として事例の収集及び過去の知見の集約を行う。また、安全教育の効果の評価を行い。これらを基礎とした提言案を2年目にとりまとめる。3年目はその提言の修正補完を行うとともに、大学等における効果的な安全教育プログラムのモデルの開発を行いその効果の実証を行う。
研究は、初年度と2年目に実態調査を主として事例の収集及び過去の知見の集約を行う。また、安全教育の効果の評価を行い。これらを基礎とした提言案を2年目にとりまとめる。3年目はその提言の修正補完を行うとともに、大学等における効果的な安全教育プログラムのモデルの開発を行いその効果の実証を行う。
結果と考察
研究は、初年度と2年目に実態調査を主として事例の収集及び過去の知見の集約を行う。また、安全教育の効果の評価を行い。これらを基礎とした提言案を2年目にとりまとめる。3年目はその提言の修正補完を行うとともに、大学等における効果的な安全教育プログラムのモデルの開発を行いその効果の実証を行う。平成25年度は、①平成24年度に引き続き高等教育機関での安全教育の実態調査、企業の聞き取り調査を行った。その結果、理系文系の学部の相違、大学院と学部の相違を確認し、教育手法として実習などの工夫は行われているが、グループワークなど思考力、論理力等を育成する手法の取り込みは多くないことを明らかにし、また好事例の収集を行った。企業の聞き取り調査では、若年者の危険性への感性の低下は認められること、危険性への感受性を高めるのに体験型学習やProject Based Learningは一定の効果があることを明らかにした。②在校生への安全教育として化学物質をテーマにリスク認知を考慮した教育プログラムの試行を行った。結果として危険有害性の評価はそれぞれの研究において得た知識が自らの中で整理体系化されることによって、最終的に危険有害性を判断する普遍的指標に向かって揃ってくることが示された。③専門教育における安全教育として農学部のフィールドに注目した実態の調査を行い、卒後の進路選択範囲の大小によって、高等教育機関で取り扱われる安全教育の範囲も総論的または各論的になること、またこの点は高等教育機関における有効な安全教育プログラムを検討する上で、考慮すべきであることを指摘した。④欧米の大学における安全教育の実態調査の結果、教育の主体はリスクアセスメントであることを踏まえて日本の大学におけるリスクアセスメントの導入にあたっての課題を欧米と比較しつつ課題点を整理した。⑤日本における大学の安全教育に関する文献調査と関係団体の動向を調査し研究及び施策の方向性を検討した結果、日本における安全教育プログラム開発の先行研究は殆ど無いことが明らかとなった。その一方で、安全教育資料の共有化、共同開発、標準化の動きは実務レベルで進められてきていることが明らかとなった。⑥これらの調査結果を検討し、日本の大学等における安全教育のであることから大学等における学生の安全教育のためのガイドラインの草案を作成した。
結論
安全教育プログラムについての先行研究は日本においてはほとんどなく、欧米においてはリスクアセスメントの普及等を中心とした安全の確保が行われている。日本においても、安全教育に関する情報の共有化の動きがあり、安全教育のプログラム化の基盤はできつつある。研究室等での活動で得た経験が体系化されることでリスクの認知と判断が普遍指標化していくことが示されたが、体系的教育プログラムによる安全に関する知識の整理と習得は必要であり、またリスクの認知とリスクへの対応についてはグループワークやProject based learningなどの教育プログラムが有効と考えられた。これらを考慮した安全教育プログラムの開発が求められていると考えられる。
公開日・更新日
公開日
2015-06-22
更新日
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