医業ないし歯科医業停止処分対象となった医師・歯科医師の再教育のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
201325061A
報告書区分
総括
研究課題名
医業ないし歯科医業停止処分対象となった医師・歯科医師の再教育のあり方に関する研究
課題番号
H25-医療-指定-008
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
野村 英樹(杏林大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 大生 定義(立教大学 社会学部)
  • 宮田 靖志(北海道大学病院)
  • 植村 和正(名古屋大学 医学部附属病院)
  • 岡田 智雄(日本歯科大学附属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
4,395,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
再教育研修(団体研修及び個別研修)に使用可能なテキスト・資料の作成、ならびに、我が国における今後の行政処分後再教育のあり方について専門的およびグローバルな見地からの提言を行う。
研究方法
1)過去13年間の医師・歯科医師を対象とした行政処分を分析し、主たる処分理由別に5つのカテゴリーに分類した。各カテゴリー毎に、そこに分類された処分理由の類型と違反したとみなされる法律および罪状、それぞれの処分理由に対して下された行政処分の種類と軽重、それぞれの処分理由が医師・歯科医師の倫理に違反する理由、および、復帰のために必要と考えられる再教育ないし治療法について記述したテキストを作成した。加えて、医のプロフェッショナリズム、ならびにその基盤となるヒトの道徳性に関する科学的知見について概説した。
2)英米における医師・歯科医師の対する行政処分のシステムと処分後再教育の現状を詳細に調査し、また、日本における行政処分と再教育の現状の問題点を抽出して、両者を比較検討した。その結果を踏まえ、今後の再教育ならびに行政処分のあり方について提言をまとめた。
結果と考察
1)再教育研修用テキスト「信頼される医師・歯科医師として再び社会に貢献するために」を作成した。
2)英国総合歯科医療評議会、総合医療評議会、英国臨床評価機構、(ロンドン3地区研修協議会の)共同サービス、全米医学試験実施者協議会、カリフォルニア州医師免許委員会の拡大LA地区保護観察部門および調査部門、カリフォルニア大学サンディエゴ校の医師のアセスメントと臨床教育プログラムの活動内容、および、日本における行政処分後医師・歯科医師の再教育システムの現状についてまとめ、比較検討した上で、以下の提言を行った。
① 現在の行政処分ならびに再教育の枠組みの中で実施可能な提言
 ○ 団体研修では、倫理とプロフェッショナリズムに関する内容を中心とする
 ○ 団体研修では、全員が参加するセッションと、カテゴリー別のセッションを提供する
 ○ 団体研修においても、処分の理由となった原因に関する省察の機会を設ける
 ○ 職業倫理に関する助言指導者を養成し、被処分者全員に担当の助言指導者を選任して、月1回以上の面談を一定期間(3ヶ月以上)行う
 ○ 職業倫理に関する再教育効果の評価法を確立する
② 現在の行政処分ならびに再教育の枠組みそのものの改編を必要とする提案
 ○ 行政処分と再教育の目的を、「患者と住民を守ること」と明記する
 ○ 処分類型に執行猶予・保護観察を設け、監督下で働きながら更生する道を開く
 ○ 全ての処分対象者について総合的な医師・歯科医師としての適性診断を行う
 ○ 薬物不正使用事案では、継続的な生物学的モニタリングも実施する
 ○ 医師・歯科医師が守るべき職業倫理の設定、設定した職業倫理指針に基づく卒前・卒後教育、および行政処分の決定は、専門職の自律の原則に則り、医師・歯科医師の自律団体が行う
結論
行政処分後の医師・歯科医師を対象とした再教育(団体研修、課題研修、ならびに個別研修)においては、本研究でまとめたテキストを活用されたい。また、本研究でまとめた「①現在の行政処分ならびに再教育の枠組みの中で実施可能な提言」の実現、ならびに、「②現在の行政処分ならびに再教育の枠組みそのものの改編を必要とする提案」に基づく関係者の議論を期待する。

公開日・更新日

公開日
2015-06-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201325061C

収支報告書

文献番号
201325061Z