医療機関における患者個人への安全な情報提供に関する研究

文献情報

文献番号
201325027A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機関における患者個人への安全な情報提供に関する研究
課題番号
H24-医療-一般-028
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
大山 永昭(国立大学法人東京工業大学 像情報工学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 喜多 紘一(保健医療福祉情報安全管理適合性評価協会)
  • 土屋 文人(国際医療福祉大学 薬学部)
  • 八幡 勝也(産業医科大学 産業生態科学研究所)
  • 秋山 昌範(国立大学法人東京大学 政策ビジョン研究センター)
  • 齋田 幸久(聖路加国際大学 放射線科)
  • 安藤 裕(放射線医学総合研究所 重粒子医科学センター病院)
  • 山本 隆一(国立大学法人東京大学 大学院医学系研究科)
  • 小尾 高史(国立大学法人東京工業大学 像情報工学研究所 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
8,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
昨今、地域医療連携が進み地域内での医療情報の共有化・ネットワーク化を前提とした診療情報を集積して管理する試みが進められている。しかし東日本大震災のような災害が発生した場合、地域医療情報システムが麻痺状態に陥ることや、患者が通院、入院している医療機関とは異なる地域の医療機関での受診が想定されるため、このような大規模災害時においても継続的に患者の医療情報を提供できる仕組みを構築することが求められている。本研究は、緊急時に必要となる患者個人の医療情報を安全・確実に管理し、緊急時にはオンラインで適切な利用が可能なシステムの実現を目的とし、災害時においても利用可能な緊急時医療情報システムの構築方法の検討、及び緊急時の医療情報利用に必要となる厳格な本人確認手段の開発を行う。
研究方法
本研究では、まず実際の大規模災害時における医療情報システムの問題事例を抽出し、その問題事例から災害時に求められる医療情報システムの機能要件を整理する。そして、これら要件を満たすための医療情報システムに必要な技術として、災害時に対応した医療情報データベースと本人確認手法を開発する。さらに、提案する手法の有効性を確認するため、災害時における医療情報活用のシナリオを具体的に設定し、このシナリオを実際に運用するための医療情報連携システムの設計を行い、提案技術の評価を行う。これらの検討に基づき、実用化へ向けての残課題を明らかにする。
結果と考察
昨年度、公的IDカード用顔画像を用いた災害時での本人確認を行う仕組みとして、顔画像の目視による本人確認システムと自動照合を利用した本人確認システムを提示したが、これら2種類のシステムについて、具体的なシステムの検討及びデモシステムの構築を行い、実現例を示した。また、大震災時においても患者の医療情報を参照可能な仕組みとして、顔画像の自動照合と基本四情報の口頭確認を組み合わせた本人確認を行った後、オンラインで患者データを参照するシステムを提案した。この提案システムについて、医療従事者へのアンケート調査による有効性評価を行った結果、提案システムの有用性は高く、災害時における利用への期待は大きいことを確認した。
結論
実用化へ向けての課題として、本人確認の確度を上げることや、個人情報漏えいに対する十分な対策を取ること、また災害時でも十分に機能するシステムのインフラを整備すること等が挙げられる。

公開日・更新日

公開日
2015-06-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201325027B
報告書区分
総合
研究課題名
医療機関における患者個人への安全な情報提供に関する研究
課題番号
H24-医療-一般-028
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
大山 永昭(国立大学法人東京工業大学 像情報工学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 喜多 紘一(保健医療福祉情報安全管理適合性評価協会)
  • 土屋 文人(国際医療福祉大学 薬学部)
  • 八幡 勝也(産業医科大学 産業生態科学研究所)
  • 秋山 昌範(国立大学法人東京大学 政策ビジョン研究センター)
  • 齋田 幸久(聖路加国際大学 放射線科)
  • 安藤 裕(放射線医学総合研究所 重粒子医科学センター病院)
  • 山本 隆一(国立大学法人東京大学 大学院医学系研究科)
  • 小尾 高史(国立大学法人東京工業大学 像情報工学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
昨今、地域医療連携が進み地域内での医療情報の共有化・ネットワーク化を前提とした診療情報を集積して管理する試みが進められている。しかし東日本大震災のような災害が発生した場合、地域医療情報システムが麻痺状態に陥ることや、患者が通院、入院している医療機関とは異なる地域の医療機関での受診が想定されるため、このような大規模災害時においても継続的に患者の医療情報を提供できる仕組みを構築することが求められている。本研究は、緊急時に必要となる患者個人の医療情報を安全・確実に管理し、緊急時にはオンラインで適切な利用が可能なシステムの実現を目的とし、災害時においても利用可能な緊急時医療情報システムの構築方法の検討、及び緊急時の医療情報利用に必要となる厳格な本人確認手段の開発を行う。
研究方法
本研究では、まず実際の大規模災害時における医療情報システムの問題事例を抽出し、その問題事例から災害時に求められる医療情報システムの機能要件を整理する。そして、これら要件を満たすための医療情報システムに必要な技術として、災害時に対応した医療情報データベースと本人確認手法を開発する。さらに、提案する手法の有効性を確認するため、災害時における医療情報活用のシナリオを具体的に設定し、このシナリオを実際に運用するための医療情報連携システムの設計を行い、提案技術の評価を行う。これらの検討に基づき、実用化へ向けての残課題を明らかにする。
結果と考察
まず、医療機関等へのヒアリング調査を行い、大規模災害時の医療情報システムや本人確認手法の要件を整理した。また、災害時における顔画像を用いた本人確認の仕組みについて検討を行い、顔画像を目視で確認する本人確認システムと、顔画像の自動照合を行う本人確認システムの具体的な実現例を示した。さらに、大震災時においても患者の医療情報を参照可能な仕組みとして、顔画像の自動照合と基本四情報の口頭確認によって本人確認を行った後、オンラインで患者データを参照するシステムを提案した。この提案システムについて、医療従事者へのアンケート調査を行い、提案システムは高い有用性を有し、また災害時における利用への期待は大きいことを確認した。
結論
実用化へ向けての課題として、本人確認の確度を上げることや、個人情報漏えいに対する十分な対策を取ること、また災害時でも十分に機能するシステムのインフラを整備すること等が挙げられる。

公開日・更新日

公開日
2015-06-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201325027C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究で提案する本人確認手法は、災害時にも利用可能な細いネットワーク回線でも利用可能な点など、大災害時に想定される環境に対応した仕組みとなっており、また、顔画像の自動照合において誤認識が起こり得る場合でも、基本4情報等の本人が知る情報の付加的な確認を組み合わせることで確実な本人確認を実現しており、現在の社会インフラや技術レベルに応じた仕組みを提案している。
臨床的観点からの成果
提案技術が実現すると、大震災のような混乱状態においても、身分証明書を持たない患者に対して、信頼性の高い公的な個人情報に基づいた確実な本人確認がおこなえる。よって、遠隔地から派遣された医師でも、患者の薬歴情報、禁忌情報等の重要な情報が安全に参照できるようになり、患者は適切な処置が受けられるようになると考えられる。
ガイドライン等の開発
本研究における災害時での医療情報参照を行う仕組みに関する検討結果は、厚労省の定める「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に反映させ、我が国の方策として実現されるよう推進活動を行っていく予定である。
その他行政的観点からの成果
2016年度に発行予定の個人番号カードでは、顔画像が券面に印刷される予定であるが、この顔画像データの利用については、自治体が条例を定めることで、二次的な利用が可能になるとされている。本研究で提案している災害時の本人確認手法は、番号カード用に収集される顔画像を有効活用できる仕組みとして期待される。
その他のインパクト
本研究で提案した本人確認の仕組みは、災害時における医療情報参照以外にも、金融機関等での本人確認や、避難者の安否確認等、災害時における幅広い分野への応用が期待される。また、このような災害時の医療情報参照システムを実用化するためには、オンラインでの医療情報参照を行うシステムの実現が必須であり、EHRのような医療情報連携の普及促進も期待できる。

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
5件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
5件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-09
更新日
2017-06-22

収支報告書

文献番号
201325027Z