多発性硬化症の新規免疫修飾薬を検証する医師主導治験

文献情報

文献番号
201324045A
報告書区分
総括
研究課題名
多発性硬化症の新規免疫修飾薬を検証する医師主導治験
課題番号
H24-難治等(難)-一般-007
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
山村 隆(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 神経研究所免疫研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 典子(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 放射線診療部)
  • 立石 智則(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター トランスレーショナル・メディカルセンター臨床研究支援部)
  • 三宅 幸子(順天堂大学医学部免疫学講座)
  • 大木 伸司(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 神経研究所免疫研究部)
  • 佐藤和貴郎(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 神経研究所免疫研究部)
  • 佐藤 準一(明治薬科大学薬学部生命創薬科学科 バイオインフォマティクス)
  • 案浦 洋一(アスビオファーマ株式会社 生物医学研究所創薬化学研究部)
  • 木村 円(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター トランスレーショナル・メディカルセンター臨床研究支援部)
  • 福田 昂一(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター トランスレーショナル・メディカルセンター臨床研究支援部)
  • 米本 直裕(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター、トランスレーショナル・メディカルセンター情報管理・解析部)
  • 服部 正平(東京大学大学院新領域創成科学研究科 ゲノム微生物学)
  • 村田 美穂(国立精神・神経医療研究センター病院 神経内科学)
  • 鈴木麻衣子(独立行政法人国立精神・神経医療研究センター トランスレーショナル・メディカルセンター臨床研究支援部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
285,000,000円
研究者交替、所属機関変更
三宅幸子は平成25年6月1日付けで、国立精神・神経医療研究センターより順天堂大学医学部に異動し、業務を継続した。 国立精神・神経医療研究センターの人事異動により、福田昴一の業務は、平成25年12月1日付けで、鈴木麻衣子が継承した。

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、国産の多発性硬化症(MS)治療薬OCHをMSの安全な経口薬として開発することである。OCHは申請者らが発見した糖脂質医薬で、安全性に優れた経口薬である(Nature 413:531, 2001)。本薬剤のコンセプト(=免疫制御細胞NKT細胞の抗炎症性機能のみを選択的に誘導する)には、堅固な基盤研究に立脚した独創性がある。OCHはMSの動物モデルに対する治療効果を示すのみならず、関節リウマチ、1型糖尿病、喘息などのモデルにも有効であり、多方面に応用できる可能性を秘めている。
研究方法
・NCNP附属病院クラスター病棟において、健常者被験者を対象とするSTEP1試験を完了し、OCHの安全性および薬物動態評価を進める。
・CNP神経研究所において被験者の末梢血液のリンパ球亜分画数をフローサイトメーターで解析する他、抗原特異的リンパ球応答の測定、DNAマイクロアレイによる分子発現プロフィル解析やnCounterによるmRNA発現解析を実施し、ヒトにおけるOCH薬効に関するPOCを獲得する。また、MSの疾患活動性を反映し再発予防のバイオマーカーとなりうる指標の探索を実施する。
・齧歯類及び非齧歯類において、MS患者対象STEP2試験の実施に必要な長期毒性試験(非臨床試験)を完了する(外部委託)。
・早期探索試験及び長期毒性試験の成績を踏まえ、患者を対象とする早期Phase II試験計画の概要を立案する。
・PMDAの薬事戦略相談を申請・実施し、試験計画概要について合意を得る。
・MS患者を対象とするSTEP2試験を開始する。
結果と考察
・健常者被験者を対象とするSTEP1試験において、OCHの安全性、薬物動態、免疫修飾作用が確認され、詳細なデータ解析をもとに特許出願を進めた。
・OCHを内服した被験者の血液リンパ球フローサイトメーター解析によって、GM-CSF産生T細胞の減少を確認した。
・OCHを内服した被験者のリンパ球DNAマイクロアレイ解析によって、複数の炎症関連分子の発現低下を確認した。
結論
多発性硬化症を含めた、炎症・自己免疫疾患に対するOCHの有効性を示唆する解析結果が得られた。日本発の薬剤を目指して、今後患者対象試験をさらに発展させていく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2015-06-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201324045Z