希少性難治性疾患-神経・筋難病疾患の進行抑制治療効果を得るための新たな医療機器、生体電位等で随意コントロールされた下肢装着型補助ロボット(HAL-HN01)に関する医師主導治験の実施研究

文献情報

文献番号
201324044A
報告書区分
総括
研究課題名
希少性難治性疾患-神経・筋難病疾患の進行抑制治療効果を得るための新たな医療機器、生体電位等で随意コントロールされた下肢装着型補助ロボット(HAL-HN01)に関する医師主導治験の実施研究
課題番号
H24-難治等(難)-一般-006
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
中島 孝(独立行政法人国立病院機構新潟病院 神経内科)
研究分担者(所属機関)
  • 山海嘉之(筑波大学 大学院システム情報工学研究科)
  • 鍋嶌厚太(CYBERDYNE株式会社 研究開発本部)
  • 新宮正弘(CYBERDYNE株式会社 研究開発本部)
  • 斎藤加代子(東京女子医科大学附属遺伝子医療センター)
  • 青木正志(東北大学大学院 医学系研究科)
  • 中野今治(東京都立神経病院)
  • 中川正法(京都府立医科大学 大学院医学研究科)
  • 中川義信(独立行政法人国立病院機構四国こどもとおとなの医療センター 脳神経外科)
  • 駒井清暢(独立行政法人国立病院機構医王病院 神経内科)
  • 齊藤利雄(独立行政法人国立病院機構刀根山病院 神経内科)
  • 石川悠加(独立行政法人国立病院機構八雲病院 臨床研究部)
  • 小林庸子(国立精神・神経医療研究センター病院 リハビリテーション科)
  • 前島伸一郎(藤田保健衛生大学 医学部)
  • 伊藤道哉(東北大学大学院 医学系研究科)
  • 松田純(静岡大学 人文社会科学部)
  • 美馬達哉(京都大学 医学研究科附属脳機能総合研究センター)
  • 中山優季(公益財団法人東京都医学総合研究所 難病ケア看護研究室)
  • 澤口信(滋賀医科大学 医学部)
  • 井手口直子(帝京平成大学 薬学部)
  • 川口有美子(NPO法人ALS/MNDサポートセンターさくら会)
  • 高田信二郎(独立行政法人国立病院機構徳島病院 整形外科・リハビリテーション科)
  • 梶龍兒(徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
  • 田中惠子(金沢医科大学 神経内科)
  • 安藤喜仁(自治医科大学 内科学講座神経内科学部門)
  • 玉岡晃(筑波大学 医学医療系)
  • 松村明(筑波大学 医学医療系)
  • 山野嘉久(聖マリアンナ医科大学 難病治療研究センター)
  • 池田哲彦(独立行政法人国立病院機構新潟病院 神経内科)
  • 河本浩明(CYBERDYNE株式会社 臨床研究担当役員)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
278,663,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
希少性難病である脊髄性筋萎縮症,球脊髄性筋萎縮症,シャルコー・マリー・トゥース病,筋萎縮性側索硬化症,遠位型ミオパチーなど筋萎縮を来す疾患群は進行性・難治性であり根本的治療法は成功しておらず,多専門職種ケアによるQOLの向上が試みられているのみである.いかなる治療によっても,上記疾患等による骨格筋の筋力低下・萎縮の悪化を抑制することができず,至急に解決すべき課題である.HAL(Hybrid assistive limb)は研究分担者の山海により開発された生体電位駆動型の装着型ロボットで,人の皮膚表面の筋電位などの生体電位に加速度,関節角度,床反力センサなどの情報を組み合わせ,リアルタイムに骨格筋の随意運動を増強するために開発された.この技術を基に,上記疾患において作動可能なHAL-神経・筋難病型下肢モデル(HAL-HN01)が開発された.これは他のHALとは異なり,病的筋の微小な電位をも検出し罹患筋をアシストできる.本研究の目的は上記などの治療法が無い希少性神経・筋難病患者がこのHAL-HN01を定期的,間欠的に装着し,適切なアシストにより筋収縮を助けられることで,疾患の経過でおきる筋萎縮と筋力低下の進行を抑制する事ができるという背景仮説の下で,短期使用の歩行不安定症の改善効果により新医療機器としての承認を目指す医師主導治験方法を研究し実施することである.疾患専門家と臨床評価研究者により対照群と群間評価する短期試験の実施方法を研究し,安全性と被験者保護のために,倫理・哲学者,患者団体を加え研究し,薬事法に基づく治験を実施し薬事承認に必要な結果を得る.
研究方法
希少性神経筋難病疾患に対するHAL-HN01を使用した治療プログラムの科学的臨床評価のために,薬事法GCPに基づく治験(NCY-3001試験)研究を行うと同時に,治験の信頼性および多施設共同で質のコントロールのための研究を行った.関連する治験として,HAM(ヒトT細胞白血病ウイルスI型関連脊髄症)など痙性対麻痺症に対するHAL治験の準備研究を行い,HAMなどを対象とした臨床試験HHH-1001試験およびNCY-2001試験プロトコールを作成した.
結果と考察
希少性神経筋難病疾患の内,病変部位を脊髄運動ニューロンより下位の疾患群を対象とする治験として「希少性神経・筋難病疾患の進行抑制治療効果を得るための新たな医療機器,生体電位等で随意コントロールされた下肢装着型補助ロボット(HAL-HN01)に関する医師主導治験-短期効果としての歩行改善効果に対する無作為化比較対照クロスオーバー試験(NCY-3001試験)」の治験を開始(H25年3月6日)し,多施設共同治験として進捗し,2014年3月までに許可された30例の二次登録が終了した.9実施医療機関で治験を行い現在も進行中である. 現時点での内訳は完了10例,中止6例,後観察期8例,治験中6例である.割り付けは成功し,A群,B群に均衡して割り付けられた.本治験の質のコントロールのために,モニタリングが行われ,GCP監査は新潟病院,国立・精神神経医療研究センター,徳島病院,およびCROに対して行われ,GCPの遵守状況は問題無かった.各治験実施施設に対して行うHAL-HN01の安全使用講習会とは別に合同安全使用講習会を行った.この内容はGCPの遵守についての説明と有効性評価方法の質のコントロールの議論を行い,H25年9月29日第1回の班員会議で,治験データの質の管理のために2分間歩行テストの信頼性確保のための運用について決定した. 治験進捗は順調であり,NCY-3001試験はH26年7月31日までに,全症例(30症例)の観察期を終了し,解析結果に基づきH26年12月までに,治験総括報告書を完成提出する.病変部位として脊髄運動ニューロンより上位の疾患群を対象とする「希少性神経・筋難病疾患の進行抑制治療効果を得るための新たな医療機器,生体電位等で随意コントロールされた下肢装着型補助ロボット(HAL-HN01)に関する医師主導治験-HTLV-1関連脊髄症(HAM)等の痙性対麻痺症による歩行不安定症に対する,短期の歩行改善効果についての多施設共同無作為化比較対照並行群間試験(NCY-2001試験)」の準備を行った. H26年6月11日に治験相談を行い多施設共同治験を行う予定である.
結論
NCY-3001試験の進捗は順調であり,H26年度中に治験完了および治験総括報告書作成が可能となった,希少性疾患用医療機器として薬事承認を目標とする. 生体電位駆動型の装着型医療ロボットであるHAL-HN01の治験を行う事で,希少性神経・筋難病疾患における歩行不安定症に対する治療法のエビデンスを確立可能である.

公開日・更新日

公開日
2015-06-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2015-02-25
更新日
-

収支報告書

文献番号
201324044Z