文献情報
文献番号
201324037A
報告書区分
総括
研究課題名
希少性難治性疾患患者に関する医療の向上及び患者支援のあり方に関する研究
課題番号
H23-難治-一般-039
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
西澤 正豊(新潟大学 脳研究所)
研究分担者(所属機関)
- 吉良 潤一(九州大学大学院医学研究院)
- 糸山 泰人((独)国立精神・神経医療研究センター病院)
- 小森 哲夫((独)国立病院機構箱根病院神経筋・難病医療センター)
- 荻野 美恵子(北里大学医学部)
- 斎藤 加代子(東京女子医科大学付属遺伝子医療センター)
- 宮井 一郎(社会医療法人大道会森之宮病院)
- 神作 憲司(国立障害者リハビリテーションセンター研究所)
- 清水 俊夫(東京都立神経病院)
- 溝口 功一((独)国立病院機構静岡富士病院 神経内科)
- 成田 有吾(三重大学医学部看護学科)
- 伊藤 道哉(東北大学大学院医学系研究科)
- 川井 充((独)国立病院機構東埼玉病院)
- 小倉 朗子((公財)東京都医学総合研究所)
- 福永 秀敏((独)国立病院機構南九州病院)
- 青木 正志(東北大学大学院医学系研究科)
- 川田 明広(東京都立神経病院)
- 小林 庸子((独)国立精神・神経医療研究センター病院)
- 中馬 孝容(滋賀県立成人病センター)
- 河原 和夫(東京医科歯科大学医歯学総合研究科)
- 戸田 達史(神戸大学大学院医学研究科)
- 美原 盤((公財)脳血管研究所附属美原記念病院)
- 武藤 香織(東京大学医科学研究所)
- 豊島 至((独)国立病院機構あきた病院)
- 千田 圭二((独)国立病院機構 岩手病院)
- 松尾 秀徳((独)国立病院機構長崎川棚医療センター)
- 宮地 隆史((独)国立病院機構柳井医療センター)
- 犬塚 貴(岐阜大学大学院医学系研究科 )
- 駒井 清暢((独)国立病院機構医王病院)
- 岡本 幸市((公財)老年病研究所)
- 加藤 丈夫(山形大学医学部)
- 森田 光哉(自治医科大学)
- 伊東 秀文(和歌山県立医科大学)
- 祖父江 元(名古屋大学大学院医学系研究科)
- 中川 正法(京都府公立大学法人京都府立医科大学大学院)
- 中島 健二(鳥取大学医学部医学科)
- 佐々木 秀直(北海道大学大学院医学研究科)
- 植竹 日奈((独)国立病院機構まつもと医療センター中信松本病院)
- 菊地 誠志((独)国立病院機構北海道医療センター)
- 菊池 仁志(医療法院財団華林会 村上華林堂病院)
- 狭間 敬憲((地独)大阪府立急性期・総合医療センター)
- 阿部 康二(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)
- 池田 修一(信州大学医学部内科学)
- 佐古田 三郎((独)国立病院機構刀根山病院)
- 梶 龍兒(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
- 難波 玲子(神経内科クリニックなんば)
- 中山 優季((公財)東京都医学総合研究所)
- 中島 孝((独)国立病院機構新潟病院)
- 佐藤 達哉(立命館大学文学部)
- 小澤 哲夫((独)国立病院機構新潟病院)
- 板井 孝壱郎(宮崎大学医学部)
- 稲葉 一人(中京大学法科大学院法務研究科)
- 清水 哲郎(東京大学大学院人文社会系研究科)
- 松田 純(静岡大学人文社会科学部)
- 伊藤 博明((独)国立病院機構宮城病院臨床研究部)
- 小長谷 百絵(昭和大学保健医療学部)
- 水澤 英洋(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
- 金谷 泰宏(国立保健医療科学院健康危機管理研究部)
- 児玉 知子(医療法人社団みどりの会あんずクリニック産婦人科医局研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患等克服研究(難治性疾患克服研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
75,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
平成23年秋に始まったわが国における希少性難治性疾患(難病)対策制度の改革は、「難病新法」の法制化を目指して、現在その最終段階を迎えている。難病に関係してきたわが国の専門家集団を総結集して平成23年度に発足した本班は、難病の当事者も初めて本格的に参加して、難病対策に関する諸課題を横断的、包括的に、実証的なデータを蓄積することを通して研究し、厚労省難病対策委員会に対して提言を行って今回の改革に資するとともに、難病対策に関する行政課題の解決を図り、健康社会の実現に貢献することを目的とした。
研究方法
本班は当初よりプロジェクト制を採用し、1)難病医療の提供体制のあり方、2)難病に関係する多職種のスキルアップと難病リハビリテーションの向上、3)難病患者支援のあり方、4)難病の定義、緩和ケア等の包括的な課題、をそれぞれ検討する4つの分科会と、本班の発足直前に発生した東日本大震災を踏まえて、5)難病の災害対策プロジェクトを設けた。それぞれ、現状から抽出された課題について、実証的なデータに基づいて、その解決のために有効な方策を検討した結果を公開するとともに、難病対策委員会等に対して提言を行った。
結果と考察
新たな難病対策制度下では、地域における難病当事者を支援するために、全県に設置された難病相談支援センターの相談員、難病拠点病院に配置される難病医療コーディネーターCo、および地域において難病対策地域協議会を主催し、難病医療専門員となる保健所保健師が、「要」となるべき役割を与えられた。そこで、それぞれの職種に対してアンケートによる実態調査を行い、勤務状況、待遇、研修制度等の現状と課題を明らかにした。さらに期待される役割、望ましいあり方を検討して、提言を行った。新法に基づいて予算措置をされる相談員と、自治体に委ねられた難病医療Coと保健所保健師が、地域における当事者支援に想定通りの役割を発揮できるか、地域の実情に見合った支援制度が構築されるか、特に保健所保健師の取り組みには遅れが目立つことが明らかになっており、今後も検証が必要である。また、難病病棟の経営を巡る課題やレスパイト入院の現状についても実態調査を行った。
難病に対するリハビリテーションは、根治的治療法が未開発である難病にも、機能維持のために極めて重要な意義を持っている。特にbrain-machine interphaseの開発と臨床応用は、今後の発展が期待される分野であり、本班としてその技術開発を支援した。また栄養・呼吸管理、コミュニケーション支援等の分野においても、具体的な支援策を検討した。難病看護の分野では、新たに難病専門看護師制度が創設され、第1回の認定が行われた。また都道府県の難病担当保健師に向けて、新制度への移行を踏まえた「難病対応マニュアル」を作成した。
難病当事者と研究班との望ましいあり方についても、アンケート調査を実施した。臨床治験への参加を含め、ステークホルダーとしての当事者参加のあり方に関する検討は、わが国では漸く緒に就いた段階にあり、今後も引き続がれるべき課題である。また、難病の終末期における意思決定や事前指示のあり方を巡る倫理的課題には、継続的な検討を行ってきたが、その多くは未だ、広い合意形成には至っていない。また、難病に対する緩和ケアのあり方に関しては、研修会を毎年開催し、その記録を刊行した。遺伝性難病に対する遺伝カウンセリングの充実に向けても、調査を実施した。
難病の災害対策に関しては、国の検討委員会の対象から除かれたため、本班として特に重視して取り組んだ。まず東日本大震災における難病当事者の被災状況とその後について継続的な調査を実施し、記録の集積を続けた。各地域において災害時要援護者支援の全体計画は概ね策定されたが、難病当事者を対象とした個別支援計画が策定されているか否か、自助による停電対策が速やかに進んでいるかに関する実態調査を継続し、その結果をまとめ、提言を行った。また人工呼吸器取扱業者の協力を得て、初めて在宅人工呼吸器装着者の各県別実数を把握することができた。今後の災害対策に生かされるべき貴重なデータである。さらに、日本神経学会が静岡県と高知県で実施した災害対策事業のシミュレーションにも協力した。併せて、難病を対象とした各種の災害対策マニュアルも改訂され、公開された。
難病に対するリハビリテーションは、根治的治療法が未開発である難病にも、機能維持のために極めて重要な意義を持っている。特にbrain-machine interphaseの開発と臨床応用は、今後の発展が期待される分野であり、本班としてその技術開発を支援した。また栄養・呼吸管理、コミュニケーション支援等の分野においても、具体的な支援策を検討した。難病看護の分野では、新たに難病専門看護師制度が創設され、第1回の認定が行われた。また都道府県の難病担当保健師に向けて、新制度への移行を踏まえた「難病対応マニュアル」を作成した。
難病当事者と研究班との望ましいあり方についても、アンケート調査を実施した。臨床治験への参加を含め、ステークホルダーとしての当事者参加のあり方に関する検討は、わが国では漸く緒に就いた段階にあり、今後も引き続がれるべき課題である。また、難病の終末期における意思決定や事前指示のあり方を巡る倫理的課題には、継続的な検討を行ってきたが、その多くは未だ、広い合意形成には至っていない。また、難病に対する緩和ケアのあり方に関しては、研修会を毎年開催し、その記録を刊行した。遺伝性難病に対する遺伝カウンセリングの充実に向けても、調査を実施した。
難病の災害対策に関しては、国の検討委員会の対象から除かれたため、本班として特に重視して取り組んだ。まず東日本大震災における難病当事者の被災状況とその後について継続的な調査を実施し、記録の集積を続けた。各地域において災害時要援護者支援の全体計画は概ね策定されたが、難病当事者を対象とした個別支援計画が策定されているか否か、自助による停電対策が速やかに進んでいるかに関する実態調査を継続し、その結果をまとめ、提言を行った。また人工呼吸器取扱業者の協力を得て、初めて在宅人工呼吸器装着者の各県別実数を把握することができた。今後の災害対策に生かされるべき貴重なデータである。さらに、日本神経学会が静岡県と高知県で実施した災害対策事業のシミュレーションにも協力した。併せて、難病を対象とした各種の災害対策マニュアルも改訂され、公開された。
結論
難病に関係してきたわが国の専門家集団を総結集した本班は、難病の当事者も初めて本格的に参加して、難病対策に関する諸課題を横断的、包括的に、実証的なデータを蓄積することを通して研究し、その成果を公開するとともに、今回の難病対策制度の改革に資するために、厚労省難病対策委員会等に対して提言を行った。
公開日・更新日
公開日
2015-06-30
更新日
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